重症喘息での気管支サーモプラスティー(温熱療法,気管支熱形成術)を始めました

気管支喘息の治療は重症度別に行われています。慢性的に症状がみられ、呼吸機能が低い場合には高用量の吸入ステロイド薬を使用し、さらに長時間作用型吸入気管支拡張薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、徐放性テオフィリン薬、抗IgE抗体療法を併用します。これらの治療でも症状のコントロールが不良な重症持続型の喘息患者が数万人はいるといわれており,年間約2000人の患者さんが喘息で亡くなられています。
重症喘息患者さんの気道は炎症が持続した結果、健常人と比べても気管支平滑筋が非常に肥厚した状態にあります。

気道断面図

その状態で発作が起こると肥厚した気管支平滑筋が収縮し、気道を閉塞してしまい、高度な呼吸不全をきたすことがあります。
気管支サーモプラスティー(Bronchial Thermoplasty: BT療法,気管支熱形成術)は気管支内視鏡を使って細いカテーテルを細くなった気管支にアプローチして、カテーテルの先端につけたバスケット型の電極から高周波エネルギーを発して約10秒間の熱をかけることにより、平滑筋量を減らす治療です。かける熱は約65度で平滑筋の量を減らす最適の温度にコントロールされています。気管支平滑筋の量が減ることで喘息発作が起こりにくくなります。

図2

重症喘息患者さんに対して行われた気管支サーモプラスティー(BT療法)の効果は、1年間で喘息症状の悪化による救急外来の受診が84%減少、喘息による仕事や学校、その他の日常生活の損失日数が66%減少し、日常生活の質(QOL)が79%改善したと報告されています1)。そしてこれらの効果が約5年間持続したことも明らかになっています2)。
手技は3回に分けて肺の異なる部位の気道平滑筋を慎重に加熱し、肥厚した気道平滑筋を減少させます。気管支内視鏡を口から挿入して治療します。現行の薬物治療に追加して行われるもので、薬物治療に代わるものではありませんので、BT療法の治療後は継続的に喘息を管理させていただきます。
気管支サーモプラスティー(BT療法)で最も一般的な有害事象は、咳嗽や喘鳴など呼吸器症状の一時的な悪化です。この事象は手技後1日以内に起こる場合が多く、適切な処置をすれば通常1週間以内に症状が消えると報告されています。当院では基本的に5泊6日の入院治療で行います。
気管支サーモプラスティー(BT療法)は喘息の治療に関する十分な知識と経験のある呼吸器専門医もしくはアレルギー専門医が、有効性と安全性に関する十分な理解のもとに、治療の適応となるかどうかを適切に判断した上で行います。十分な治療を受けているにも関わらず、日々の生活の中で、常に喘息症状でお困りの患者さんはアレルギーセンター外来にまずご相談ください。

参考文献:

  1. Castro M, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2010; 181: 116-124.
  2. Wechsler M et al. J Allergy Clin Immunol. 2013; 132: 1295-302.

図表:ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社 製品説明資料より転載