我々の身体は、骨によって支えられています。一般に、骨は固くて頑丈な組織だと考えられていますが、実際には細胞によって絶えず形成と破壊が繰り返されています。骨を造るのは骨芽細胞で、骨を壊すのは破骨細胞と呼ばれる細胞です。一生の間で見ると、成長期は骨芽細胞による形成が優位なために骨の量が増えますが、加齢に伴って破骨細胞による破壊が優位となり骨の量が減少していきます。骨粗鬆症と呼ばれる疾患は、骨の破壊が進行したために骨の量が極度に減少し、骨折の危険が高まった疾患です。
我々の身体はとても巧妙にできていて、骨の場合も形成と破壊がバランスを保つようにできています。最近の研究によって、破骨細胞による骨破壊の分子メカニズムが明らかにされました。すでに、これらの知見を基にして新たな医薬品の開発が進められています。しかし、骨形成のメカニズムには不明な点が多く、骨の量を増やすことはとても困難なのが現状です。一般にも骨折が治癒することは知られていますが、実はこのメカニズムも解明されていない点が多く残されています。健常な成人の骨代謝では骨の形成と破壊のバランスが保たれています。この骨代謝のバランスを保つ仕組みがどのようなものなのか、今日の骨代謝研究における大きな謎です。
現在、我々が目指しているのは、この骨芽細胞による骨形成のメカニズムを分子のレベルで明らかにすることです。これらの成果は、骨粗鬆症や関節リウマチ、骨折のような骨疾患に対して、より有効な予防法や治療法の開発に繋がることが期待されます。骨代謝の全体像が解明できる日は近いと信じて、病態生理部門では研究に励んでいます。
略歴:
1987年 北里大学薬学部卒業
1992年 北里大学大学院薬学研究科博士後期課程修了[博士(薬学)]
1992年 昭和大学歯学部 助手
1996年 米国テキサス大学MDアンダーソン癌センター 博士研究員
1997年 米国マサチューセッツ総合病院 博士研究員
1998年 昭和大学歯学部 講師
2001年 昭和大学歯学部 助教授
2004年 埼玉医科大学ゲノム医学研究センター 病態生理部門 助教授
2005年 埼玉医科大学ゲノム医学研究センター 病態生理部門 部門長代理・助教授
2007年 埼玉医科大学ゲノム医学研究センター 病態生理部門 部門長・教授
受賞:
日本骨代謝学会奨励賞(1994年)
米国骨代謝学会(ASBMR)奨励賞(1995年)
歯科基礎医学会学会賞(1997年)
北里大学同窓会若手研究者奨励賞(1999年)
日本整形外科学会骨系統疾患研究会最優秀ポスター賞(2006年)
森村豊明会奨励賞(2007年)
ノボノルディスク成長・発達研究賞2008(2008年)
日本骨代謝学会研究奨励賞(2008年)
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