髙橋健夫

 埼玉医科大学大学院医学研究科は、高度で最先端の基礎的・臨床的医学研究に従事し、豊かな学識をもつ優れた医学・医療の指導者を育成することを目的に、昭和53年に開設されました。大学院医学研究科博士課程では、これまでに824名の学生を受け入れ(令和4年10月現在)、令和5年3月までに甲種602名、乙種965名の計1567名に博士(医学)の学位を授与してまいりました。

 本学博士課程は生物・医学研究系専攻、社会医学研究系専攻、臨床医学研究系専攻からなりますが、これまでに多くの大学院運営に関する改革を行ってきました。埼玉医科大学における最先端の医学研究の推進、地域に根差した高度な医療、さらに国際化を推進するためには多くの優秀な若い力が必要です。そのため本学大学院では医師・医学研究者、医療者に広く門戸を開き、社会人大学院生や外国人留学生の受け入れをはじめ、初期研修医のうちから大学院の修学を可能とした「研究マインド育成自由選択プログラム」と、学生のうちから大学院講義を履修し基礎医学研究者を目指す「研究医養成プログラム」を設けています。さらに他の高度な研究機関や大学との連携を推進しており、今年度からは国立がん研究センターとの連携大学院制度や関東次世代のがん専門医療人養成プラン(第4期がんプロフェッショナル養成プラン)も開始されます。本学大学院博士課程の方針は、常に夢を持ち、幅広い社会的視野と高い倫理観持った指導的役割を果たすことのできる医療人を育成することです。そのために3つのポリシーを定め、大学院生の受け入れ、教育方針、学位授与に関する明確な基準を定めています。特に、学位授与に関するディプロマ・ポリシーについては、指導教員とともに自ら抽出した課題について自ら考え、自ら研究を行い、そして独創性のある学術論文としてまとめた研究成果を、客観的かつ透明性の高い方法で評価する仕組みを構築してまいりました。ぜひディプロマ・ポリシーに基づき、自らが中心となって作成した「品格ある学位申請論文」を発表していただきたいと考えています。

 埼玉医科大学大学院医学研究科博士課程の果たすべき社会的使命は、建学の理念のもと、国際的な水準を満たす質の高い医学・医療研究を推進し、多様性のあるこの社会を牽引する国際的視野と高い倫理観を持った人材を育成することで、社会に貢献していくことにあると考えます。大学院医学研究科博士課程に集う多くの若き医療者・研究者が、目指す目標に向かって真摯に研究を進め、医学・医療の世界に大きく羽ばたいて行くことを願っています。

 学内外、さらには海外から多くの夢を持った人材が本学に集い、大学院という場で研鑽を積むことで、それぞれが医学・医療の発展に寄与できる指導的立場の人材に大きく成長していくことを期待しています。

                  令和5年4月  医学研究科長  髙橋 健夫