千田 みゆき

 埼玉医科大学大学院の歴史は、1978年(昭和53年)の医学研究科博士課程の開設にはじまります。2006年(平成18年)に医学部に加え保健医療学部が開設され、看護学科、健康医療科学科、医用生体工学科、翌年には理学療法学科が開設され、医療系総合大学となりました。そして2010年(平成22年)、保健医療学部看護学科を教育基盤として、埼玉医科大学大学院看護学研究科修士課程が設置されました。埼玉医科大学では、期待する医療人像として、高い倫理観と人間性の涵養、国際水準の医学・医療の実践、社会的視点に立った調和と協力を掲げています。看護学研究科におきましても、これを踏まえ、生命の尊厳を守ることを最優先し、その上で21世紀の保健・医療・福祉分野の動向や環境変化に応じて適切に対応できる、漸進的、創造的、先駆的に看護を探究する看護専門職者の育成と、高度かつ最新の専門的知識と技術を持った看護ケアの実践者、教育者、研究者の育成、それらのリーダーとなり得る人材の育成を教育理念としています。
 また、本研究科での学びを、実践の中に還元していただきたいという思いから、さらに働きながら学びたいという臨床現場の声にこたえるため、長期履修制度を設け、平日昼間の授業以外に夜間開講、土曜中心の授業時間割を設定しています。そして、通学時間の短縮と学生の便宜を図るため、川越サテライトキャンパスでの授業も行っています。
 カリキュラムは、学生の皆さんの将来の希望にあわせて選択できるよう、専門看護師資格取得をめざす実践コースと教育者・研究者をめざす論文コースで構成されています。実践コースは実習と課題研究もしくは特別研究を選択しますが、論文コースは実習がなく特別研究を選択します。2011年度(平成23年度)にはがん看護の専門看護師(CNS : Certified Nurse Specialist)の教育課程の認定を受けました。2013年度(平成25年度)は精神看護においても専門看護師教育課程の認定を申請する準備を行っています。また、修了生に対し、がん看護、精神看護の領域ではフォローアップ研修を実施し、専門看護師の資格取得と専門的能力の向上を支援しています。また、筑波大学、千葉大学、群馬大学、日本医科大学、獨協医科大学、茨城県立医療大学、群馬県立県民健康科学大学とともに文部科学省「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」として採択された「国際協力型がん臨床指導者養成拠点」に参加していますので、学生はこのコースのe-learning科目を受講することができます。
 このように、私たち教員は、学生の学習ニーズに応えるようできるだけの配慮をし、社会の変化に応じた教育改革に努め、看護学の発展に寄与する人材の育成をめざしています。私たちとともに看護学を深め真理を追究し科学的なエビデンスを蓄積することを通して、人々の幸せと社会に貢献するために第一歩を踏みだそうではありませんか。私たちは、看護学の将来に希望をもって意欲的に取り組もうとしている「あなた」をお待ちしています。

平成25年4月1日
看護学研究科長  千田 みゆき