ゲノム医療科

ゲノム医療科
ゲノム医療科
Department of Genomic Medicine
遺伝の鍵、未来のケア。
幅広い分野との連携で、専門的にサポートします。

診療部長ご挨拶

ゲノム医療科は埼玉医科大学病院で遺伝診療の中核を担う診療科です。
産婦人科領域から、小児、成人まで、幅広い遺伝性疾患について院内外の様々な領域の先生方と連携して対応しています。

実際には、① 小児遺伝性疾患の診断・診療、② 成人の遺伝性疾患の(神経疾患など)遺伝子診断、③ 保因者診断、発症前診断④ オプショナルスクリーニングを含む新生児マススクリーニングの精密検査、⑤ ミトコンドリア病の診療、⑥ 非侵襲性出生前遺伝学的検査(NIPT)、⑦ 重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)、⑧ 羊水細胞や絨毛細胞を用いた出生前診断などを十分な遺伝カウンセリング後に行っております。

遺伝カウンセリングとは、遺伝にかかわる不安や悩みのある方々へ、正しく新しい情報を提供し、対話をとおして来談者の意思決定や課題の解決、適応を支援する場です。
これらの悩みをお持ちの場合は、ご相談ください。
ゲノム医療科 沼倉 周彦
診療部長、准教授
沼倉 周彦 NUMAKURA, Chikahiko

診療内容・専門性・特徴

ゲノムとは、遺伝子(gene)と、全体を意味する -omeを合わせた言葉で、DNAに含まれる遺伝情報全体をさします。ヒトのゲノムは人間の体をつくるための設計図のようなものです。
ゲノムを調べた結果をもとにして、より効率的に病気の診断を行い、効果的な治療につなげていくのがゲノム医療です。近年、ゲノム医科学研究の目覚ましい進歩により、病気とゲノムのかかわりが次々に明らかにされてきています。

当院は、2018年度に埼玉県の難病診療連携拠点病院として認定され、ゲノム医療科は難病センター内の遺伝子診療担当の中核を担う診療科として2019年に開設されました。
2023年1月現在、6名の臨床遺伝専門医(常勤5名)と3名の認定遺伝カウンセラー(常勤2名)が在籍しています。

ゲノム医療科では主に以下の診療を行っております。
  1. 重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)
    (産婦人科,ウィメンズクリニックふじみ野と連携)
  2. 出生前診断
    非侵襲性出生前遺伝学的検査(NIPT)
    羊水・絨毛採取による出生前診断
    (産婦人科,小児科と連携)
  3. 新生児マススクリーニングの精査
    新生児マススクリーニング、オプショナルスクリーニングの精査(小児科、希少疾患の医療と研究を推進する会 (CReARID*)と連携)
  4. 染色体異常症,単一遺伝子疾患,ゲノムインプリンティング病などの診断・診療
    (院内各科,および埼玉医科大学の各病院との連携)
  5. 発症前診断
    (院内各科と連携)
  6. 遺伝カウンセリング
 
PGT-Mは、新しい医療分野で、実施している施設は限られていますが、当院は日本産科婦人科学会から実施施設に認定されております。
また、NIPTは、日本医学会の定める実施基幹施設に認定されており、実施前のしっかりとした情報提供から結果の解釈、結果開示後のフォローまで責任を持って対応しております。
着床前診断・出生前診断を希望される方はご相談ください。また、繰り返す流産の精査中にご夫婦のどちらかに染色体異常があると言われた方、着床前診断を受ける予定で第三者遺伝カウンセリングが必要と言われた方のご相談にも対応しております。

当科は埼玉県立小児医療センターとともに埼玉県における新生児マススクリーニング陽性例の精密検査の主担当施設で、埼玉県西部地区、北部地区を主担当しています。
新たにはじまったオプショナルスクリーニングの精密検査も担当しています。マススクリーニングの対象疾患は遺伝性疾患が多いため、遺伝カウンセリングも提供しています。

染色体異常症、単一遺伝子疾患、ゲノムインプリンティング疾患などの遺伝性疾患は、それぞれの患者さんの数がたいへん少ないこと、専門医が少ないことなどから正確な情報の入手が難しい状況となっています。私たちは、これらの疾患についての診療、特にミトコンドリア病は全国の医療機関からの相談を受けております。
新生児マススクリーニングやオプショナルスクリーニングで検出された先天代謝異常症(フェニルケトン尿症、シトリン欠損症、ファブリー病など)や様々な症候群の診療を行っています。また、遺伝性の難聴や、成人期に発症する遺伝性神経・筋疾患などに対しても遺伝学的なサポートを行っております。さらに、家族に遺伝性疾患の方がいて、発症する可能性を調べる発症前診断にも対応しています。このように着床前・出生前から成人まで幅広い年齢を対象に診療を行っております。
先天性疾患や遺伝性疾患は、病名の確定そのものが困難であることも多く、患者さんの生活や治療面で多くの困難に直面することがあります。当院では当科が中心となって希少疾患や未診断疾患に対する研究である、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)**にも高度協力病院として参加しており、国内で報告のない症例を診断することも経験しております。
 
先天性疾患や遺伝性腫瘍を含む遺伝性疾患は、用語が難しいため正確な理解が難しい場合があります。患者さんは、周囲への病気の伝え方、次の世代への伝わり方、子どもが病気になったのは自分のせいであるなど多くの悩みを抱えることも多くあります。このような場合の解決策として遺伝カウンセリングがあります。臨床遺伝専門医および認定遺伝カウンセラーを含む私たちスタッフは、認定遺伝カウンセラーとともに十分な時間をかけて、単に遺伝や疾患の情報を伝えるだけではなく、悩みや心配を解決する道筋を一緒に考えていくことを行っています。遺伝カウンセリングは、遺伝学的検査を行う前の情報提供や不安への対応、検査結果開示時にも行います。

遺伝子の病気にかかっていると言われた方、ご家族やご親戚に遺伝性疾患をお持ちの患者さんがいらっしゃる方、小児慢性特定疾病、指定難病にかかっていると言われた方とそのご家族、遺伝性のがんについてご心配の方、ご家族やご親戚に遺伝性のがんと診断された患者さんがいらっしゃる方等を遺伝カウンセリングの対象としています。
お気軽にご相談ください。

* 希少疾患の医療と研究を推進する会(CReARID:http://www.crearid.or.jp/
**未診断疾患イニシアチブ(IRUD:https://plaza.umin.ac.jp/irud/
詳細は、それぞれのHPをご参照ください。

主な疾患

  • 常染色体異常症(Down(ダウン)症候群、18トリソミー、13トリソミーなど)
  • 性染色体異常症(Turner(ターナー)症候群)
  • インプリンティング疾患(Prader-Willi(プラダー・ウィリ)症候群など)
  • 先天代謝異常症
     アミノ酸代謝異常症(フェニルケトン尿症など)
     有機酸代謝異常症(メチルマロン酸血症など)
     脂肪酸代謝異常症(VLCAD欠損症など)
     ライソゾーム病(Fabry(ファブリー)病、Pompe(ポンペ)病、ムコ多糖症Ⅰ型、II型など)
     ミトコンドリア病
  • 単一遺伝子疾患(Marfan(マルファン)症候群など)
  • 遺伝性神経・筋疾患(遺伝カウンセリング)

診療内容

  • 着床前診断(PGT-M)・出生前診断をご希望の方
  • NIPT(母体血を用いた出生前診断)をご希望の妊婦さん
  • 着床前診断を受ける予定で第三者遺伝カウンセリングが必要と言われた方
  • 繰り返す流産の精査中にご夫婦のどちらかに染色体異常があると言われた方
  • 遺伝子の病気にかかっていると言われた方とそのご家族
  • 発症前診断をご希望の方
  • ご家族やご親戚に遺伝性疾患をお持ちの患者さんがいらっしゃる方
  • 小児慢性疾病、難病、指定難病にかかっていると言われた方とそのご家族
  • 新生児スクリーニング、オプショナルスクリーニングで、精査が必要と言われた方とそのご家族
  • ミトコンドリア病の患者さんとそのご家族
  • 複数の症状を合併しているものの、疾患の特定に至っていない方
  • 遺伝性のがんについてご心配の方
  • ご家族やご親戚に遺伝性のがんと診断された患者さんがいらっしゃる方

診療内容と疾患の詳しい説明

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診療内容と検査
重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)
具体的内容
非侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)
具体的内容
新生児マススクリーニング・オプショナルスクリーニング
具体的内容
遺伝カウンセリング
具体的内容
発症前診断
具体的内容

体質・病気の説明
ミトコンドリア病
具体的内容
21 トリソミー (ダウン症候群)
具体的内容
18 トリソミー
具体的内容
13 トリソミー
具体的内容
Turner(ターナー) 症候群
具体的内容
ライソゾーム病
具体的内容
Marfan(マルファン)症候群
具体的内容
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