緩和医療科

緩和医療科
緩和医療科
Department of Palliative medicine
複数の疾患を抱える高齢者の患者さんへ
「地域包括ケア」を提供しています。

診療部長ご挨拶

わが国は高齢化が進み世界一の長寿国となりましたが、その人口動態に医療が附いて行けない状態が続いています。
医学は多くの疾患に対し有効な治療を開発し、日々エビデンスが創出されています。しかしながら、多くの疾患を抱える高齢者の医療においてはエビデンスが不足しています。今求められている医療が「地域包括ケアの充実」であることは云うまでもありませんが、アカデミアが推進しているとは云えない状況です。

臨床医学の各専門領域は、ひとつの疾患の克服を目指しており、根治できないときの身体的精神的ケアについては緩和医療に委ねられています。ところが、複数の疾患を抱える高齢者はComplex (複雑型) あるいは Chaotic (無秩序型)であり、専門医療から緩和医療へのバトンタッチでは解決できません。

当科は、包括的な地域医療へのアプローチを行い、救急医療から緩和医療へのシームレスな橋渡しと環境調整を重視しています。
当科の緩和ケアチームは、地域の医療ニーズに対応し、患者さんとその家族に寄り添った医療、ケアを提供することが使命と考えています。
緩和医療科 岩瀬 哲
診療部長、教授
岩瀬 哲 IWASE, Satoru

診療内容・専門分野

当科では急性/慢性、がん/非がん、年齢を問わず、日常生活動作(ADL: activities of daily living)が低下した患者さんの「ロコモ」や「フレイル」を評価して、その予防を患者さんや家族(ケアラー)と一緒に考えて行きます。

救急医療への対応
救急患者の中に緩和医療が対応できる領域を見出し、速やかに関与するため、救急科と協働し、初期から担当医としてかかわり、緩和医療チームとしても早期に介入します。また、外来通院患者さんの救急搬送は本人、ご家族の心身の負担が大きいため、それを減らすために、早期に病状変化をとらえ把握するための研究も進めています。

緩和医療の支援
緩和医療を必要とする疾患を抱える患者さんに対して、緩和医療の提供と支援を行います。
症状管理や心理的サポート、家族への情報提供などを通じて、生活の質を向上させるための治療とケアを行います。
また、患者さんと家族の価値観や希望を尊重し、個々のニーズに合わせた治療、ケアプランを立案しています。

内科的視点による治療
当科は、緩和的医療だけでなく、患者さんの基礎疾患や関連病態に対する適切な治療も行います。
内科的視点による総合的なアプローチにより、健康状態を緩和ケアの枠を超えて支えています。

シームレスな医療ケア環境の構築
病院から在宅緩和ケアへの移行や、複数の医療機関間での情報共有や連携を円滑に行うことで、患者のケアの継続性と質を確保します。
地域の医療機関や診療所、在宅医療機関等との連携を強化し、地域の医療サービス全体の連携を促進しています。

主な疾患

  • ロコモ/がんロコモ
  • フレイル
  • サルコペニア
  • 認知症
  • 炎症性疾患
  • 心不全

主な症状

  • がん性疼痛
  • 慢性疼痛
  • 繊維筋痛症
  • BPSD (認知症の行動・心理症状)
  • せん妄

病気の説明と治療方法

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ロコモ/フレイル
症状
ADLの低下、痛み、倦怠感、抑うつ、物忘れ
治療方法
がん患者さんのせん妄
症状
注意障害、失見当、短期記憶障害
治療方法
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