小児外科

小児外科
小児外科
Department of Pediatric Surgery
専門性の高い分野の医療スタッフと連携して
ベストな医療の提供に努めています。
電話受付時間 8:30~17:30
夜間、日祝日は、救急センター049-276-1199049-276-1465 にご連絡ください。

診療部長ご挨拶

小児外科では新生児から15歳ぐらいまでのお子さんを対象として、脳・心臓・骨を除いた疾患の外科的な治療を行います。スタッフは全員外科専門医を取得しており、24時間365日体制で安全で確実な治療を行える体制を整えております。
小児科、産婦人科との連携だけでなく、大学病院の強みを生かして成人領域の医師とも連携して、常によりよい治療を追及しています。
<真の低侵襲手術の追及>
同じ疾患に対する手術でも施設によって、大きく異なることが少なくありません。当科ではお子さんの負担が少なく、整容性の高い内視鏡外科手術(腹腔鏡・胸腔鏡手術)を日本内視鏡外科学会技術認定取得者のスタッフが中心となって安全に留意して行っています。手術によっては内視鏡外科手術にこだわると必要以上に長時間を要することがあり、必ずしも低侵襲といえないこともあります。その際には、創から遠い部分には内視鏡外科手術をおこない、創から近い部分では開創手術を選択するといった工夫を行っています。このことにより、内視鏡外科手術と同等の創で、より安全に短時間で手術を行うことができています。また、そのために必要な道具の開発も行い、日々よりよい手術を追及しています。
当科では患者さん本人、ご家族の意向を尊重して診療を行うようにしており、入院の際に付き添いが難しいご家庭のお子さんにも対応しております。
小児外科 田中 裕次郎
診療部長、教授
田中 裕次郎 TANAKA, Yujiro

診療内容・専門分野

1)特徴

「胸腔鏡・腹腔鏡の高難易度手術」を行えるスタッフの元、
「術後合併症の少ない手術」
「低侵襲な手術」
を目標に診療しております。

  • 胸腔鏡下肺切除術
  • 腹腔鏡下鎖肛根治術
  • 腹腔鏡下ヒルシュスプルング病根治術
  • 腹腔鏡下胆道閉鎖症手術
  • 腹腔鏡下胆道拡張症手術
  • 単孔式腹腔鏡下虫垂切除術
などが例にあがります。

2)診療内容

産婦人科、小児科、新生児科、リハビリテーションセンター、臨床心理士、看護師、療育センター、小児心臓内科/小児腫瘍科(埼玉医科大学国際医療センター)、など専門性の高い分野の医療スタッフと連携してベストな医療の提供に努めています。
小児外科は新生児から15歳までのお子さんを対象とし、脳・心臓・骨を除いた全身の疾患の外科的な治療を行います。
小児外科
特に頻度の多い症例では、「2泊3日の短期滞在型手術」を行っておりますので、一例を示します。
★短期滞在型手術 例)鼠経ヘルニア、停留精巣、陰嚢水腫、臍ヘルニア、舌小帯など
1日目:入院(日曜・火曜) 2日目:手術(月曜・水曜)
朝から食事停止
夕より食事再開
3日目:退院(火曜・木曜)







未就学児の6歳までは保護者の付き添い入院をお願いしており、小学生以上から一人入院を基本としておりますが柔軟に対応いたしますので適宜ご相談ください。

3)当科の対象疾患

頸部疾患 正中頸嚢胞、梨状窩瘻、側頸瘻
胸部疾患 肺嚢胞性疾患、先天性横隔膜ヘルニア、自然気胸、漏斗胸
上部消化管疾患 食道閉鎖症、食道アカラシア、胃食道逆流症、新生児胃破裂、胃軸捻転症、胃十二指腸潰瘍、肥厚性幽門狭窄症、先天性十二指腸閉鎖症(狭窄症)、上腸間膜動脈症候群
小腸:大腸疾患 腸回転異常症、先天性小腸閉鎖症、壊死症腸炎、胎便性腹膜炎、メッケル憩室、消化管重複症、炎症性腸疾患、腸間膜嚢腫、急性虫垂炎、腸重積症、消化管ポリープ、下部消化管穿孔
直腸・肛門疾患 ヒルシュスプルング病(類縁疾患を含む)、鎖肛(直腸肛門奇形)、痔瘻、直腸脱、肛門周囲膿瘍、裂肛
肝臓・胆道系疾患 胆道閉鎖症、胆道拡張症(膵・胆管合流異常症)、胆嚢結石症(胆石症)、門脈圧亢進症
膵臓・脾臓系疾患 膵嚢胞、膵炎、膵形成異常、脾腫、脾嚢胞、脾腫瘍
泌尿生殖器疾患 膀胱尿管逆流症、腎盂尿管移行部狭窄症、卵巣嚢種、尿道下裂、精巣捻転症
腫瘍性疾患 神経芽腫、肝芽腫、腎芽腫、横紋筋肉腫、膵腫瘍、奇形腫(卵巣、後腹膜、胸部など)
体表・その他の疾患 鼠径ヘルニア類縁疾患、臍ヘルニア (圧迫療法含む)、停留精巣、臍帯ヘルニア、腹壁破裂

4)高難易度手術

胆道閉鎖症

「腹腔鏡下胆道閉鎖症手術」が可能な施設であります。
腹腔鏡手術ではカメラの拡大視効果により、微細な部分まで観察し、緻密な手術を行うことができますが、技術的に高難度であることから施設基準が設けられております。

入院スケジュールの1例)
手術日 2日おきに採血、レントゲン検査 3日目:ミルク開始 14日目以降で基準を満たせば退院
胆道閉鎖症とは、胆汁の通り道である胆管が生まれつきまたは生後間もなく完全につまってしまい、胆汁を腸管(ちょうかん)内へ排泄できなくなってしまう病気です。下図のように胆管(たんかん)の閉塞にはいろいろなタイプがあります。病気の原因は未だにわかっていません。
胆道閉鎖症
診断には、血液検査・尿検査・肝胆道シンチグラム・腹部超音波検査などを行いますが、黄疸を示す他の病気(乳児肝炎、肝内胆管低形成、代謝性疾患など)との鑑別が非常に難しく、術前に確定診断はつけられません。そのままにすると黄疸、肝硬変が進行し、また脂肪や脂溶性ビタミンの吸収不良が生じて、頭蓋内出血を生じることもあります。そこで、胆道閉鎖症が疑われれば、早期に手術(術中所見や胆道造影)により確定診断をつける必要があります。

手術で胆道閉鎖症の診断が確定した場合には胆道閉鎖症手術を行います。多くの場合には肝臓から出てすぐ(肝門部)の胆管が閉塞しているため、肝臓外の胆管をすべて切除して肝門部を腸管で覆うように吻合する肝門部空腸吻合術(葛西手術)を行います。
腹腔鏡下胆道閉鎖症手術

胆道拡張症

「腹腔鏡下胆道拡張症手術」が可能な施設であります。
もともとは、右上腹部を肋骨に沿って斜めに切る開腹手術で行われていましたが、当科では臍と、その他4か所ほどの小さな傷(5mm程度)から細い道具を入れる、腹腔鏡手術を導入しました。傷が小さいだけでなく、カメラで細かいところまで拡大して見ながら手術することが可能です。日本内視鏡外科学会の小児外科領域における技術認定医や、その他小児高難度腹腔鏡手術の経験が豊富なスタッフが手術を担当いたします。
腹腔鏡下胆道拡張症手術
入院スケジュールの1例)
入院前にDIC-CT、MRCP検査を行います。鎮静下で行うため1泊2日の入院がそれぞれ必要です。手術までは脂肪制限食管理が必要となります。
1日目:
入院
2日目:
手術
 
3日目:
お預かり開始
血液検査
5日目:
血液検査、
水分開始、
付き添い再開
6日目:
脂肪制限食開始
7日目:
ドレーン抜去
8日目:
血液検査
9日目:
MRCP検査
10日目:
退院
※ドレーンは腹腔内に留置したドレナージチューブのこと。

胆汁は栄養の吸収を助ける消化液です。肝臓で作られて、胆道を通って十二指腸に流れます。膵液は蛋白質を消化する消化液です。膵臓で作られて、膵管を通って十二指腸に流れます。胆道と膵管は膵臓の中を通って同じファーター乳頭というところから十二指腸に出ますが、それぞれは混ざり合わないようになっています。

先天性胆道拡張症は、ほぼすべての症例で胆道と膵管がファーター乳頭の手前で合流してしまう膵・胆管合流異常症を合併しています。これによって胆汁と膵液が胆管内で混ざり合うと、胆管内に蛋白質の塊(蛋白栓)ができます。蛋白栓が詰まることで、胆汁うっ滞・黄疸や膵炎を引き起こし、腹痛の原因となります。また、胆管癌の発生する可能性が増加します。
先天性胆道拡張症
治療として、肝臓外の胆管を切除します。胆汁は膵液と混ざらないように通り道を作り直す全身麻酔下での手術が必要となります。膵臓側の胆管は、膵管に合流するぎりぎりの位置で縛って切断します。肝臓側の胆管は、主に肝臓に近い総肝管という位置で切って、胆嚢ごと胆管を摘出します。これを肝外胆管切除といいます。肝臓側の残った胆管は、中が狭くなっていないかを確認し、狭い場合はそこを切り開くなどして胆管内腔を広くする胆管形成を行います。肝臓側の胆管から十二指腸までの通り道が切除されることになるので、小腸を一部切り離して作り直します。これを胆管空腸吻合といいます。
胆管空腸吻合

病気の説明と治療方法

こんな症状があったら、小児外科受診を考えましょう。

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乳児の繰り返す嘔吐
疑われる病気
肥厚性幽門狭窄症 かも
治療方法
お腹が痛く、熱がでている
疑われる病気
急性虫垂炎 かも
治療方法
陰嚢が腫れている
鼠径部が腫れている
疑われる病気
鼠径ヘルニア、陰嚢水腫 かも
治療方法
検診で精巣が高いといわれた
疑われる病気
停留精巣 かも
治療方法
陰嚢痛、嘔吐や腹痛を伴う
疑われる病気
精巣捻転症かも(中学生くらいの男の子の場合)
治療方法
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