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埼玉医科大学雑誌 第28巻第3号別頁 (2001年7月) T51-T57頁 (C) 2001 The Medical Society of Saitama Medical School


Thesis

心室血管整合関係からみたフォンタン術後の循環生理

野垣 未生

埼玉医科大学心臓病センター小児心臓科
(指導:佐々木 望教授)
医学博士 乙第712号 平成12年10月27日(埼玉医科大学)


 Fontan術後の長期生存者が増加する中で,術後遠隔期にもなお新たに循環異常を生ずるものや心機能の劣るものの存在が明らかになってきた.これらの異常は,この循環で肺血流と体血流の両方が一つの心室によって維持されていることに関係すると推定されるため,我々は心室血管整合関係をもちいたFontan術後の循環生理の理論的解析を試みた.心室収縮能の指標として収縮期末容積エラスタンス(Ees)を,心室後負荷総量の指標として実効動脈エラスタンス(Ea)を用い,正常の体循環とFontan循環でEes-Ea関係を求め,一回仕事量(SW)と心筋酸素消費量に対するSWの割合である機械的効率(EFF)を比較した.Fontan循環ではEesは減少(正常 5.0,Fontan 3.1 mmHg/ml)し,Eaは増大(正常2.1,Fontan 2.4 mmHg/ml)していた.心筋酸素消費量は正常,Fontan循環でほぼ等しいのに関わらず,SWはFontan循環で低く(正常3870,Fontan 3330 mmHg/ml),その結果EFFも低下していた(正常0.22,Fontan 0.20).すなわち,Fontan循環では正常循環と同程度の外的仕事を得るには約1.1倍のO2を要し,エネルギー効率において不利な状態と考えられた.さらに,そのEes-Ea関係より,SW,EFFにより示される心予備能に限界があると推定された.結論:Fontan循環における血行動態は,体血管系に肺血管床が加わったことによりインピーダンスが増加し,かつその後負荷の増大に伴う代償的な収縮力の増大が見られないことより,正常より不利な状態といえる.この不利な血行動態は,運動耐用量の減少や術後早期の高死亡率と関係している可能性がある.

 諸 言

 1948年,Rodbardらがイヌを用いて右心耳を主肺動脈に吻合し,右心バイパスに成功するまで1),肺循環は右室,体循環は左室による二心室循環システムがないと循環は成立しないとされてきた.彼らの実験により,単心室の患者においても右心バイパス手術を行うことで肺循環と体循環を分離できる可能性が示され,小児循環器領域で大きな割合を占める単心室患者の治療に新しい希望がもたらされた.Rodbardの実験から20余年後の1971年,Fransis Fontanにより12歳の三先弁閉鎖患者に対する右心バイパス手術が報告され1),その後この右心耳と主肺動脈を吻合する“Fontan手術”やその変法は心室を分割して二つの心室として利用できない様々な先天性心疾患に適用されるようになった3,4).これらFontan手術による生存者の増加に伴い,Fontan循環の長期予後にも注意が向けられるようになり,近年,長期生存者において,術後長期を経てもなお循環異常が新たに出現したり,心不全が進行するものの存在が報告されるようになってきた4-10).運動能の低下5-9)や遠隔期の心房性不整脈の発生4,6),蛋白漏出性胃腸症6)など,さまざまな遠隔期合併症が報告されているが,これらの合併症が生ずる理由はいまだ不明な点が多い.
 我々は,Fontan手術における肺循環が右心室の駆動によらず体循環に連続した単心室の駆動により成立していることに注目し,この特異な循環形式が以上のFontan術後に見られる合併症に関与している可能性があると考え,Fontan循環のモデルを解析しこの循環形式によりどのような循環生理的な不都合が生ずるかを示した11).通常の血行動態の評価法を用いた場合,心筋自体の特性と負荷因子が互いに干渉しあう条件下では全体的な“心機能”を評価するのには限界がある.我々がFontan術後の血行動態を検討する際用いた心室-血管整合関係の解析は,心室の収縮性と血管負荷の特性,心エネルギーを分離して評価することが可能である11-14).この解析により,Fontan循環では,体血管系に肺血管床が加わることにより血管インピーダンス,すなわち心室後負荷が増大するのにもかかわらず,代償的な心収縮性の増大がみられないことが明らかにされた11).以下,この報告をもとに心室血管整合関係からみたFontan術後の循環生理につき述べる.

Fontan循環における心室血管整合関係の解析11)
 心室圧容積ループにおける心室収縮特性と後負荷となる血管特性の関係を図1に示す.心室の収縮特性は収縮期末圧容積関係(end-systolic pressure-volume relation : ESPVR)の傾きである収縮期末容積エラスタンス(end-systolic volume elastance : Ees)と,ESPVRと容積軸との交点V0により示され,後負荷となる血管特性は収縮期末圧−1回拍出量関係の勾配である実行動脈エラスタンス(effective arterial elastance : Ea)により示される13)
.我々は正常循環とFontan循環におけるEes-Ea関係を解析し,これらの循環における心室の一回仕事量(stroke work : SW)と外的仕事効率(ventricular efficiency : EFF)を比較した.

図1.収縮期末容積エラスタンス(Ees)実行動脈エラスタンス(Ea)関係と心室圧容積関係上の心エネルギー.
Pes:収縮期末圧,Ves:収縮期末容積,Ved:拡張期末容積,PVA:圧容積面積.
Nogaki M, Ventricular Energetics in Fontan Circulation: Evaluation with a Theoretical Model. Pediatrics International 2000, Vol 42, Number 6.より引用.

 SWは1回拍出量(stroke volume : SV)と収縮末期圧(end-systolic pressure : Pes)の積で近似した.EFFは心筋酸素消費量(O2 consumption : VO2)に対するSWの割合で定義される15).収縮期末圧容積曲線と拡張期圧容積曲線,収縮期間中の圧容積軌吹f,の三つの線に囲まれる面積である圧容積面積(pressure-volume area : PVA )は,収縮性が一定ならばVO2と直線関係であるとされ,VO2=A(PVA)+Bで示される16-18).係数A,Bにはすでに報告されている正常イヌ心臓における動物実験で得られた値,A=1.90×10-5 mlO2/mmHg/ml,B=0.0032Ees+0.0104を用いた19).VO2とPVAの単位は異なるため,1 mm/Hg ml=1.33×10-4J,1ml O2=20Jによりエネルギー単位(Joule)にそれぞれ変換し18),EFFを算出した.
 正常循環における安静時心拍数を70回/分,Pesを90 mmHg,心拍出量を3 l/min/m2とし,心室拡張期容積(end-diastolic volume : Ved)の正常値は70 ml/m2とした20).ヒト心筋重量の正常値90 g/m2 21),イヌのV0値10 ml/100 g心筋22)から,V0は9 ml/m2とした.Fontan循環においては,Fontan術後のVedは正常の100−120%23-25),心筋重量は正常の約120%24,26)と報告されていることより,V0を11 ml/m2,Vedを77 ml/m2とした.Fontan術後のEaは,次のようにFontan循環の電気的モデルの解析を用い算出した(図2).体静脈抵抗はごく小さく循環にはほとんど影響しないため計算上無視すると,Fontan循環における心室後負荷は正常循環での後負荷に単純に肺動脈インピーダンス(Zp)が加わったものと考えることができる.すなわち,Fontan循環で心室後負荷となる大動脈から肺動脈にいたる全血管床のインピーダンスは大動脈インピーダンス(Zs)とZpの和により得られる.Fontan循環では体静脈と肺動脈は心室を介することなく連続しているため,肺血管コンプライアンス(Cp)と体静脈コンプライアンス(Cv)の合計を全肺動脈コンプライアンス(Cp’)とすると,ZsおよびZpは
1/Zs=1/Rs+jωCs (1)
1/Zp=1/Rp+jωCp’ (2)
j2=-1  

(Rs:体動脈抵抗,Cs:体動脈コンプライアンス,Rp:肺動脈抵抗,Cp’:全肺動脈コンプライアンス,ω:角振動数)で示される.
(1),(2)式より正常循環における血管インピーダンス(Zs)とFontan循環における血管インピーダンス(Zf)は次の式となる.

Zs=Rs/(1+Rs2Cs2ω20.5 (3)
Zf=[{Rs/(1+Rs2Cs2ω2)+Rp/(1+Rp2Cp’2ω2)}2 +{ωCsRs2/(1+Rs2Cs2ω2)+ωCp’Rp2/(1+Rp2Cp’2ω2)}2]0.5 (4)

(3),(4)式に正常値であるRp=0.12 mmHg sec m2/ml (2 RUm2),Cp=1.5 ml/m2 mmHg,Cv=13.5 ml/m2 mmHg,Rs=1.2 mmHg sec m2/ml (20 RUm2),Cs=1.2 ml/m2 mmHgを代入すると,Fontan循環のインピーダンス(すなわち心室後負荷)は正常循環のインピーダンスより高い値をとることがわかる(図3).流速プローベを用い実測した正常大動脈血流(図4A)を正常,Fontan循環のインピーダンス曲線にそれぞれ入力し得られた圧波形は図4Bに示され,この圧波形上ではFontan循環におけるPesは正常の1.15倍となるが,実際にはFontan術後のPesは通常術前とほとんど変化しないため7),Fontan循環においてはEaが正常の1.15倍と推定される.Fontan循環のEesは以上より得られたPes,収縮期容積(end-systolic volume : Ves),V0より算出した.
 図5に以上の解析により得られた正常循環(実線)とFontan循環(点線)のEes-Ea関係を,表1にそれぞれの循環のEes,Ea,SV,駆出率を示す.正常循環における駆出率の理論値61%は妥当な値であり,Fontan循環の48%という値もすでに報告されているFontan術後の駆出率に矛盾しない25,27).表1に示すようにFontan循環では正常と比較しEaが高いにもかかわらずEesは低かった.さらに図5より算出したSW,VO2,EFFを表2に示す.VO2は双方でほぼ等しいがFontan循環におけるSWは正常より低く,結果Fontan循環でのEFFは正常より低値となっている.つまり,1つの心室しか持たないFontan循環では,正常と同じ外的仕事を得るために1.1倍のエネルギーを要すと推定される.

図2.電気的モデルを用いたFontan循環の解析.
Cs:体動脈コンプライアンス,Rs:体動脈抵抗,Cv:体静脈コンプライアンス,Cp:肺動脈コンプライアンス,Rp:肺動脈抵抗.
Nogaki M, Ventricular Energetics in Fontan Circulation: Evaluation with a Theoretical Model. Pediatrics International 2000, Vol 42, Number 6.より引用.

図3.電気的モデル(図 2)より表される正常体循環およびFontan循環のインピーダンススペクトル.
Nogaki M, Ventricular Energetics in Fontan Circulation: Evaluation with a Theoretical Model. Pediatrics International 2000, Vol 42, Number 6.より引用.

図4.A:正常循環における大動脈血流.B:正常大動脈血流を入力し得られる正常,およびFontan循環の圧曲線.
Nogaki M, Ventricular Energetics in Fontan Circulation: Evaluation with a Theoretical Model. Pediatrics International 2000, Vol 42, Number 6.より引用.

図5.正常,Fontan循環における理論上の収縮期末容積エラスタンス(Ees)および実行動脈エラスタンス(Ea).正常循環を実線,Fontan循環を点線で示す.
Nogaki M, Ventricular Energetics in Fontan Circulation: Evaluation with a Theoretical Model. Pediatrics International 2000, Vol 42, Number 6.より引用.

表1.正常,Fontan 循環におけるEes-Ea関係11)

表2.正常,Fontan 循環の心エネルギー11)

 考 察

 心臓の収縮弛緩に伴って,左室の圧は収縮期に上昇し拡張期に低下する一方,左室容積は収縮期に減少し拡張期に増加する.このとき左室圧と容積はそれぞれ独立して変化するのではなく,一定の関係を保持しながら変化しており,これを圧容積関係という.Sugaらは,イヌ摘出交叉潅流心標本の左心室では,収縮性が一定であれば前負荷,後負荷の変化に関わらず収縮期末圧容積関係(ESPVR)は直線上に並び,収縮性が高まると左へ移動して急峻に,収縮性が下がると右下へ移動し,生理的範囲内でESPVRはほぼ直線をなすことを報告した28).この直線の勾配はEmaxまたはEesと称され,負荷依存性の少ない収縮性の指標と考えられている21,28).また,Sunagawaらは圧容積ループからPes-SV関係とその勾配Eaを求め,後負荷である動脈系の特性を示すとした14).さらに,Sugaらは心室の収縮期間中の圧容積関係を心室をバネに例えた可変弾性モデルで表し,このモデルに基づき心室が1回の収縮に要する機械的エネルギーを収縮期末圧容積曲線,拡張期末圧容積曲線,収縮期圧容積軌跡の三本の線に囲まれる部分の面積:PVA (systolic pressure-volume area)として求めることができるとした29).PVAは収縮性が一定ならば一心拍の酸素消費量と直線関係があることがすでに明らかにされている16.17).PVAはまた,一回仕事量(SW)と収縮期末のポテンシャルエネルギーとの和で示され,これにより一回の収縮のエネルギー効率を算出することができる15).この心室の仕事効率はEesとEaの関係で示される心室動脈整合条件によって変化し,EesとEaが等しいとき,すなわちEa/Ees=1のとき一回仕事量が最大となり14,19),Ea/Ees=0.5前後で仕事効率が最大になることが報告されている19).現在,心機能を評価する上で一般的に用いられている代表的な指標の一つである心拍出量は心拍数,前負荷,後負荷の影響を受け,それらを含めた心機能の指標とはなり得ても心臓そのものの機能をあらわす量ではなく,駆出率も負荷の変化,特に後負荷の変化の影響を受ける.心収縮機能が様々な因子により影響されるなか,例えば低心拍出量状態の患者において,それが前負荷の不足や後負荷の過剰といった心室負荷条件に由来するものであるのか,心筋自体の収縮性低下に由来するものであるのかを見極めることが重要だが,圧容積関係の分析により個々の心機能の指標を別々に算出することが可能であり,心室そのものの収縮機能と機械的負荷条件を同時に理解することができる18,30,31)
 我々が行った圧容積関係を用いたFontan循環の理論的解析では,Fontan循環では心室後負荷の指標であるEaは増大,心室収縮性の指標であるEesは減少し,この心室血管関係のmismatchによりSW,EFFの減少が生じていた11).この検討は電気的モデルを用いており,生体の持つ生理的因子を単純化した理論上の解析ではあるが,図6に示すように,実際のFontan術後遠隔期症例においても,理論的解析により得られたEes-Ea関係とほぼ同様の結果が得られており,この解析は実際のFontan術後の血行動態を理解する一助となりうると考える.

図6.実測上の収縮期末容積エラスタンス(Ees)および実行動脈エラスタンス(Ea).正常循環を実線,Fontan循環を点線で示す.


 Fontan循環における心室血管整合関係とその心エネルギーは,心室圧容積平面上でのEes-Ea関係からSWとEFFを解析することでより明瞭になる.SWとEFFはEes,Ea,Ved,V0を用いて次の式に置き換えられる(追補).

SW=Ea(Ved-V02/(1+Ea/Ees)2 (5)
EFF=Ea(Ved-V02/(1+Ea/Ees)2
   {B+AEa(1+Ea/2Ees)(Ved-V02/(1+Ea/Ees)2}
(6)

図7.正常,Fontan循環における実行動脈エラスタンス(Ea)と心室一回仕事量(SW)の関係.各循環におけるEaの理論値を矢印で示す.
Nogaki M, Ventricular Energetics in Fontan Circulation: Evaluation with a Theortical Model. Pediatrics International 2000, Vol 42, Number 6.より引用.

図8.正常,Fontan循環における実行動脈エラスタンス(Ea)と外的仕事効率(EFF)の関係.各循環におけるEaの理論値を矢印で示す.
Nogaki M, Ventricular Energetics in Fontan Circulation: Evaluation with a Theoretical Model. Pediatrics International 2000, Vol 42, Number 6.より引用.

 正常,及びFontan循環で(5),(6)式にEes,Ved,Voの理論値を代入するとSW,EFFは図7,8に示すようなEaの関数として表される11).我々の理論値である正常:Ea=2.1,Fontan:Ea=2.4 mmHg/mlを矢印で示す.正常循環のSWは常にFontan循環よりも大きく,Eaが大きくなるにしたがってその差は大きくなる.理論上のEa値のときのSWは,正常では最大SW値の85%,Fontanでは99%となる.また,Eaが約1 mmHg/ml以上のとき,Fontan循環におけるEFFは正常循環よりも小さい.理論上のEa値のときのEFFは正常循環では最大EFF値の99%,Fontan循環では92%となる.すなわち,生理的な状態ではFontan循環における心室はエネルギー効率を犠牲にして仕事量を最大とし循環を保っているのに対して,正常循環ではエネルギー効率を優先しても高い仕事量を保つことができると考えられる.さらに,Fontan循環においてEaの増加に伴いSWとEFFが低下するということは,Fontan循環では心室の後負荷が増大すると循環を保つのがむずかしくなるということを示す.これは,Fontan循環は,心室自体が高エネルギーを要するような状態への適応に限界があることを意味する.このようにFontan循環の不利な点は,根本的には体血管系に肺血管床が連続したことによる心室後負荷の増大から生じている.軽中程度の大動脈弁狭窄や高血圧症では,心室後負荷が増大していても代償的に心室の圧を上げ収縮力を増すことにより心拍出量やSWを維持している.しかし,われわれの検討で示したように,Fontan循環では後負荷の増加に伴う代償的な心収縮性の増大がないために,心拍出量やSWは減少してしまう.この特徴的な血行動態が,Fontan循環そのものに伴うものなのか,個々の心筋の特性によるものなのかは非常に興味深く,臨床例におけるFontan手術前後での心室血管関係の検討により今後明らかになっていくであろう.

 結 語

 Fontan循環では後負荷の増大と心収縮性の低下が一回仕事量の減少とエネルギーコストの増大をもたらし,心室仕事量の増大に対する予備能がほとんどないことが推定された.これらは,この手術で見られる術後ごく早期の高死亡率や運動耐用量の低下,負荷に対する異常な血行動態反応の一因である可能性がある.

 追 補

 近年BurkhoffらはSW,VO2,EFFが心室圧容積平面におけるEes-Ea関係から解析できると報告した19).ESPVR直線上でPesは次の式で表される.

Pes=Ees(Ves-V0)=Ees(Ves-SV-V0) (1)

Eaの定義であるEa=Pes/SVと(1)式から,SVは次のようにVed,V0,Ees,Eaを用いて表すことができる.

SV=(Ved-V0) / (1+Ea/Ees) (2)

SWはSVとPesの積で近似できるので,(1)式と(2)式より

SW=Ea (Ved-V02 / (1+Ea/Ees)2 (3)

となる.PVAは図1より計算すると

PVA=Ea (1+Ea/2Ees)(Ved-V02 /(1+Ea/Ees)2 (4)

で示され,VO2=A (PVA)+Bであるので,EFF=SW / VO2より

EFF=Ea(Ved-V02/(1+Ea/Ees)2
{B+A Ea(1+Ea/2Ees)(Ved-V02 / (1+Ea/Ees)2}
(5)
となる.

 文 献

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