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埼玉医科大学雑誌 第29巻第3号別頁 (2002年7月) T55-T66頁 (C) 2002 The Medical Society of Saitama Medical School

Thesis

習慣流産に対する免疫療法の治療効果評価における抗HLA抗体とNK活性測定の意義に関する研究

斉藤 正博

埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
(指導:竹田 省教授)

医学博士 乙第814号 平成14年3月22日 (埼玉医科大学)


Significance of anti-HLA antibodies and natural killer (NK) cell activity on the assessment of immunotherapy in the case of habitual abortion
Masahiro Saito ( Department of Obsterics and Gynecology, Saitama Medical Center, Saitama Medical School, Kawagoe, Japan )

 Production of anti-HLA antibodies and changes of natural killer (NK) cell activity were analyzed in 51 patients who had the previous history of habitual abortion (HA). The patients were immunized with their husband's lymphocytes and the serological studies were carried out before, during, and after the immunotherapy.
 Anti-HLA antibodies were positive in 26 out of 51 patients (51.0 %) after immunotherapy and 32 out of 41 pregnancies (78.0 %) resulted in successful outcome. However, there was no statistical correlation between the presence of antibodies and the fate of pregnancy. Anti-HLA antibodies were detected in the patients who had no shared HLA B antigen or HLA B and HLA DR antigen with their husbands (P<0.05). Sixteen out of 26 anti-HLA antibodies produced were directed against HLA A antigens. Meanwhile, there was a significant suppression of average NK cell activity induced by immunotherapy (P<0.05). In particular, NK cell activity were suppressed after immunotherapy in the patients who no shared HLA B or HLA DR antigen with their husbands. The patients with high NK cell activity before the immunotherapy mostly resulted in subsequent pregnancy loss even after the suppression of NK cell activity was achieved. These results suggest that the production of anti-HLA antibodies reflect the HLA sharing between wives and their husbands but the antibodies may not be a good indicator for the successful outcome of pregnancy after the immunotherapy. On the other hand, immunotherapy induced suppression of NK cell activity which may contribute for the maintenance of early pregnancy at least in a part of cases with HA history.
keywords: habitual abortion, immunotherapy, NK activity, Iymphocyte cytotoxicity test


 緒 言
 習慣流産(不育症)とは,妊娠はするものの流産を反復する病態を示し,定義上は3回以上連続して自然流産を繰り返すことを指す.
 自然流産は全妊娠の約10%に認められ,その原因として胎児側の要因が多いといわれている.しかし,流産が連続的に繰り返されるときは,何らかの原因が夫婦間に潜んでいる可能性が考えられる.そのため,習慣流産については必要な検査を行ない,明らかとなった原因に対して適切な治療を行うことが重要である.最近では,2回連続した流産歴を持つ反復流産に対しても,原因検索を行なう方がよいとされる.一方,一般的な検査により明らかな原因が見つからない習慣流産症例が多数あることが判明してきた1)
 妊娠現象は母体にとってみれば,半同種移植片(semiallograft),すなわち,自己と同一のHLAハプロタイプを1/2共有する妊卵,胎児や胎盤が生着するという現象である.血液そのものの交流がない点では移植とは異なるものの,免疫学的な機序が妊娠継続の成否に何らかの形でかかわっている可能性がある.そのため,近年,着床および妊娠の維持を一つの移植として考え,原因不明の習慣流産患者の中に免疫学的妊娠維持機構の破綻によるものが存在することが考えられている.また,移植免疫学的見地から,反復流産夫婦とHLA抗原の関連について1977年Komlos2)らは反復流産患者の夫婦間におけるHLA抗原の共有数が多いことをはじめて報告した.それ以来,産婦人科領域の母児免疫におけるHLA抗原の役割が注目されてきた.また,今日まで習慣流産症例におけるHLA抗原に関して種々の検討がなされてきた.
 他方,原因不明の習慣流産患者に対してTaylorら3)およびBeerら4)が1981年に夫リンパ球を用いた免疫療法の有効性を初めて報告して以来,本療法の有効性に関する報告5-9)が多数ある.そこで,原因不明の習慣流産患者に対する本療法の治療効果が十分に期待できると考え,当科においても1988年以来,原因不明の習慣流産患者に対して免疫療法を施行し,諸家と同等の成績を示してきた10,11)
 しかし,免疫療法の作用機序については未だ明らかでない点が多い.また,免疫療法の有効性を評価する指標として,臨床的には妊娠の継続率,検査学的には抗HLA抗体の産生,blocking factorの産生,NK活性の変化等が提案されてきた.しかし,未だ,臨床経過と検査所見について,一致した見解を得るに至っていない.
 そこで,本論文ではまず,免疫療法を行った習慣流産夫婦について妻血清中の抗HLA抗体を測定し,抗HLA抗体の産生の有無と妊娠の転帰および抗HLA抗体産生機序について検討した.
 初期妊娠の維持には母体の子宮脱落膜内免疫担当細胞がバランス良く胎児抗原を認識することが,妊娠維持に必要である12).反復流産患者群では末梢血NK活性値が高く,その後の流産率も高いことがAokiらの報告13)で示された.また,高いNK活性を示す例では71%の確率でその後,再度流産するという.さらに,反復流産患者では妊娠初期に末梢血のNK細胞数が有意に増加しているという報告14)もある.また,原因不明の反復流産患者の非妊時の分泌期子宮内膜中にNK活性の強いCD56CD16NK細胞が有意に増加している15).これらのことから,一部の反復流産患者において,末梢血NK細胞が増加していること,また,脱落膜内T細胞の胎児抗原の認識が不適当であるため,NK細胞に起因した流産が起こっていることが考えられる.そこで,本論文では次に,免疫療法におけるNK活性の変化を免疫療法前から免疫療法中,免疫療法後の3点で測定し,免疫療法がNK活性に与える影響を明らかにすることを試みた.

 対象および方法
1.習慣流産に対する免疫療法における抗HLA抗体の産生の検討
1-1 対象

 1988年12月より1996年10月までの8年間に当院で習慣流産のために夫リンパ球による免疫療法を施行した51例を対象とした.なお,免疫療法の対象症例は習慣流産の原因(Table 1)をスクリーニング検査(Tabel 2)し,明らかな原因が存在しない症例に対して免疫療法を行った.
1-2 免疫療法
 夫リンパ球による免疫療法は,夫の感染症検査(梅毒血清反応,HBs抗原,HCV抗体,HTLV-I抗体,HIV-I抗体等)に異常のないことを確認後に,以下のように施行した.
 夫より採取したヘパリン加静脈血40 mlよりFicoll-Conrayを用いた比重遠沈法によりリンパ球を分離し,滅菌生理食塩液で洗浄後,2-4×107個/mlに濃度を調整した.これを放射線照射(20Gy)後に妻の前腕皮内4ケ所,左に0.1,0.3 ml,右に0.3,0.3 mlを皮内注射し10,11),同様の接種を2週毎に計4回繰り返した(Table 3).
1-3 HLAタイピングと抗HLA抗体の検出
 対象症例全例において夫婦両者のHLAタイピングを既報のように施行した16-19).すなわち,末梢血をヘパリン加採血し,Ficoll比重法でリンパ球を分離した.分離したリンパ球を用いてNIH標準リンパ球補体依存性細胞障害試験にてclass I,class IIの血清学的タイピングを行なった16,17).さらに,残りの顆粒球層からフェノール・クロロホルム法もしくはグアニジン法をもちいてDNAを抽出した.DNAタイピングはHLA class IIのDRB1について解析を行なった.また,解析の方法はpolymerase chain reaction (PCR) - single strand conformation polymorphism(SSCP) 法を用いた18).SSCP法はPCRで増幅された2本鎖DNA断片を1本鎖に解離し,その塩基配列に依存した高次構造の変化をポリアクリルアミドゲルに電気泳動することにより1塩基の置換が移動度の差として検出できる方法である18).SSCP法による泳動パターンで判定が困難であったものは,PCR - restriction fragment length polymorphism (RFLP) 法によってタイピングした19).RFLP法は制限酵素を用いて二本鎖DNAの目的とする塩基配列を切断する方法で,切断点の有無もしくは断片の長さによって塩基配列を判定する方法である.
 抗HLA抗体は,免疫前後の患者血清中よりその存在についてパネルリンパ球を用いたLymphocyte cytotoxicity test (LCT) 法により検討した.T細胞に反応した抗リンパ球抗体はHLA class I抗原に対する抗体であり,これを抗HLA抗体とした.さらに,29名の既にHLAタイピングをされたパネル細胞に対する反応性をみて産生された抗HLA抗体の抗原特異性を検討した.なお,抗HLA抗体の産生は治療開始8週後(免疫療法4回目終了後2週間後)の採血時に判定した.
 これらの方法により免疫療法後の妊娠についてその妊娠継続率,抗HLA抗体産生率,抗HLA抗体の産生と夫婦間のHLA共有抗原数の関係や抗HLA抗体の抗原特異性を検討した.
2.免疫療法によるNK活性の変化の検討
2-1 対象
 1988年12月より1999年6月までの8年間に当院で習慣流産のために夫リンパ球による免疫療法を施行した61例のうちNK活性を測定した34例を対象とした.なお,免疫療法の対象症例は習慣流産の原因をスクリーニング検査し,原因不明の症例に対して免疫療法を行った.
2-2 NK活性
 NK活性は,凍結保存したリンパ球を一括して解凍し,51Cr遊離法にて測定した.解凍したリンパ球を2×105個/well に調整したものをエフェクター細胞とし,3.7×105Bqの51CrにてラベルしたK562細胞をターゲット細胞(1×104個/well)として両細胞を96wellのU底プレートに植え込み,37℃下4時間インキュベーションした.その後,上清をガラスフィルターにて回収し,ガンマーカウンターで放射活性を測定した.細胞障害率は以下の式で求めた.
 %cytotoxicity=各実験遊離(cpm)-自然遊離(cpm)/最大遊離(cpm)-自然遊離(cpm)×100
 NK活性は,治療前・治療中(治療開始4週後)・治療後(治療開始8週後)に測定し,その変動を調べた.さらに夫婦間のHLA抗原の共有性とNK活性の変化についても比較,検討した.なお,NK活性値は,E(effecter)/T(target) 比 20:1の値とした.
 また,習慣流産患者群では末梢血NK活性値が41.0%以上の症例では次回妊娠予後が不良という報告13)を基にNK活性値を41%以上を基準値とした.
3. 統計学的検討
 統計学的検討はχ2およびt検定により行なわれ,p<0.05を有意差ありとした.

 成 績
1.習慣流産に対する免疫療法における抗HLA抗体の産生とNK活性について
1-1対象症例の妊娠の転帰
(Table 4)
 免疫療法施行者51例中,未妊娠症例15例を除いた36例の41妊娠について妊娠継続率を検討した.41妊娠中32妊娠が継続し,妊娠継続率は78.0%であった.流産率は22.0%で,いずれも初期流産であった.
1-2抗HLA抗体の産生率および妊娠転帰(Table 4)
 抗HLA抗体はいずれの症例も免疫療法前には検出されていなかったが,治療後は51例中26例/51.0%に出現した.
 免疫療法後の抗体産生の有無と妊娠転帰を比較すると,抗体陽性者では妊娠継続率が72.7%(16/22),抗体陰性者では84.2%(16/19)となり,両者間に有意差はなかった. 
1-3夫婦間のHLA抗原の共有性と抗HLA抗体の産生との関連(Table 5)
a. 夫婦間のHLA A抗原の共有性と抗HLA抗体の産生において有意差は認められなかった.
b. 夫婦間のHLA B抗原について,少なくとも一つ以上共有した夫婦において抗HLA抗体は有意に(p=0.02)産生しにくかった.
c. 夫婦間のHLA DR抗原およびDRB1抗原の共有性と抗HLA抗体の産生において有意差は認められなかった.
e. 夫婦間のHLA B抗原およびDR抗原について,それぞれ少なくとも一つ以上共有した夫婦において抗HLA抗体は有意に(p=0.02)産生しにくかった.
1-4抗HLA抗体の特異性(Table 6)
 抗HLA抗体はHLA A抗原に対する特異性を示した症例が16例(61.5%),HLA B抗原に対する特異性を示した例が2例(7.7%)であった.HLA A抗原に対する特異性のある例がより多い傾向にあった.
2.免疫療法によるNK活性の変化
2-1免疫療法前後におけるNK活性の平均値の変化(Fig. 1)
 免疫療法前と比較して,免疫療法中(治療開始4週後)のNK活性は有意に(p=0.0498)低下した.しかし,治療後(治療終了後2週間)にはNK活性の低下に有意差は認められなかった.
2-2 免疫療法後の妊娠の転帰とNK活性の変化
a. 免疫療法後の妊娠の転帰
免疫療法前,免疫療法中,免疫療法後に,NK活性を測定しえた34例中,24例が妊娠した.そのうち,妊娠継続例は20例(83.3%),流産例は4例(16.7%)であった.
b. 妊娠継続例におけるNK活性の変化(Fig. 2)
妊娠継続例ではNK活性は治療前22.3%であったが,免疫療法中(治療開始4週後)には21.4%,治療後(治療終了後2週間)には21.7%を示したが,治療期間中に有意な変動はみられなかった.
c. 流産例におけるNK活性の変化(Fig. 2)
流産例では,NK活性は治療前に44.4%と,妊娠継続例に比し高い傾向にあった.免疫療法によりNK活性値は免疫療法中(治療開始4週後)28.6%へ有意に(p=0.0118)低下した.また,治療前と比較して治療後(治療終了後2週間)においても引き続き32.4%へ有意に(p=0.0252)低下した.しかし,流産例では妊娠継続例と比較して免疫療法後もNK活性は高い傾向を示した.
d. 流産となった4症例のNK活性の検討(Table 7)
流産となった症例のうち,2例は免疫療法前に特にNK活性が高値を示した.4例中3例は治療中にNK活性値が41.0%以下になったが,1例は免疫療法を施行して41.0%以上を示した.しかし,治療中2例においては免疫療法を施行してもNK活性は低下したものの,依然高値を示していた.
e. NK活性値による妊娠予後の検討(Table 8)
免疫療法前のNK活性値によりカットオフ値を3通りにした2グループに症例を分類し流産率を検討したが,有意差は認めなかった.また,免疫療法中(治療開始4週後)のNK活性値による検討でも同様であった.
2-3夫婦間のHLA抗原の共有性とNK活性の平均値の変化
a. 夫婦間でHLA B抗原を共有していない場合,NK活性は治療前から治療中にかけて有意に(p=0.008)低下した.しかし,治療後にはNK活性の低下に有意差は認められなかった(Fig. 3).
b. 夫婦間でHLA DR抗原を共有していない場合では,NK活性は治療前から治療中にかけて有意に(p=0.046)低下した.しかし,治療後にはNK活性の低下に有意差は認められなかった(Fig. 4).
c. 夫婦間でHLA DRB1抗原を共有していない場合には,NK活性は治療前から治療中にかけて有意に(p=0.016)低下した.しかし,治療後にはNK活性の低下に有意差は認められなかった(Fig. 5).
d. 夫婦間でHLA BおよびDR抗原を各々少なくとも一つ以上共有している場合では,症例数は3例と少ないものの,NK活性は治療前から治療後ににかけて有意に(p=0.020)低下した(Fig. 6).

 考 察
 自然流産は全妊娠の約10%に認められ,主な原因として胎児側の要因が多いといわれている.たとえば,初期流産組織の染色体分析では約60−70%もの高率に染色体異常が認められ20),自然流産の多くは染色体異常などを持つ受精卵に対する自然淘汰現象と考えられている.ところが,流産が連続的に繰り返されるときは,散発性流産と異なる何らかの原因が夫婦間に潜んでいる可能性が考えられる.
 習慣流産の原因として,これまでにTable 1に示すような多くの要因が考えられている.また,その診断のためにTable 2に例を示すようなスクリーニング検査が用いられている.ここでは,原因不明の習慣流産と診断し,本論文の対象例とするために必要な事項についてまず簡単に述べる.
 第一に,妊娠が成立し継続する場である子宮に異常がある.双角子宮や中隔子宮等の子宮奇形や子宮筋腫等による子宮内腔の変形により物理的に流産に至ることが知られており,その頻度は習慣流産患者の10−20%といわれる1,21,22)
 次に,遺伝的な問題がある.これは,夫婦のどちらかの染色体異常があり,そのために配偶子である卵子あるいは精子に遺伝情報の量的異常をきたし,習慣流産に至る.具体的には,様々なタイプの転座保因者などがある.この頻度は4−8.5%とされている1,21-23)
 第三に,母体の内科的疾患があげられる.頻度の高い内科的疾患としては,糖尿病,甲状腺機能亢進症,自己免疫疾患等がある.これらの疾患は,時として,習慣流産を主訴として産婦人科を受診し,検査により初めて診断される症例もある.特定の原因が明らかになった場合はそれに対する特異的な治療法を施行する.
 特に,近年,自己免疫疾患については,習慣流産との関連について特に注目されている.自己免疫疾患を合併した妊娠は,流産や子宮内胎児死亡,あるいは子宮内胎児発育遅延の発症頻度が高いこと20,24)が従来から知られていた.しかし,習慣流産や不育症の原因の一つとして,抗リン脂質抗体症候群を代表とする自己免疫異常が注目されている1,20-22,24-26)
 第四に,生殖内分泌学的原因が考えられる.受精から着床さらに妊娠維持にとって黄体により産出される黄体ホルモンは必要不可欠なホルモンである.黄体ホルモンの減少や産生期間の短縮あるいは黄体ホルモンに対する子宮内膜の反応性の低下は妊娠初期の流産を来たすことが知られている21,22).すなわち,いわゆる,黄体機能不全は習慣流産の原因となる.また,高プロラクチン血症や潜在性高プロラクチン血症も黄体機能不全を示すことから,間接的に習慣流産の原因となる可能性1,21,22)が示唆される.
 第五の原因として,トキソプラズマ感染症,風疹,サイトメガロウイルス感染症,ヘルペスウイルス感染症といったTORCH症候群やクラミジア感染症が習慣流産に関与する可能性が考えられている21,22)
 このように習慣流産の原因は多岐にわたっており,習慣流産患者に対してTable 2に示したスクリーニング検査を系統的に行うことが必要である.しかし,実際にはこれらの原因では説明しがたい,原因不明の習慣流産が存在する.そして,このような原因不明の習慣流産患者の中に,「母児間の免疫反応がうまく作動しないことにより発生する同種免疫異常による習慣流産が存在する」という仮説が考えられた.
 このため,われわれは2回以上の反復流産症例を対象として,流産原因を検索し,原因が明らかになった症例に対して各種治療を試みて,その成績を報告してきた1)
 他方,妊娠の維持に関する免疫学的メカニズムに関しては様々な検討がなされてきた.たとえば,従来,妊娠維持のためには母体免疫系が抑制されるためと考えられてきた.しかし,妊娠子宮においては母体免疫系が活性化している部分があることが示され27,28),これら免疫担当細胞が担当するサイトカインの中に胎児成長に有利に働くものや流産に結びつくものがあること,胎児はサイトカインのバランスに影響を与え細胞性免疫を抑制し,液性免疫優位の状態にしていること,細胞性免疫優位の状態ではNK細胞,T細胞による胎児への攻撃により流産にいたることなどが報告29-31)された.つまり,正常妊娠においては胎児に対する細胞性免疫は抑制されており,液性免疫が優位に関与している.また,Th1/Th2バランスにおいてはTh2が優位になることで妊娠が維持されていると考えられている.ところが,近年,反復流産患者において,末梢血のNK活性値が高い13)あるいはNK細胞数が増加している32),Th1/Th2比が高い33),CD16NK細胞が増加し,CD16CD56bright NK細胞が減少している14),とする報告がなされている.また,同様に,子宮脱落膜においてもCD16CD56bright NK細胞が減少し,CD16NK細胞が増加している15)ことが報告さた.すなわち,反復流産患者においてはTh1/Th2比においてTh1優位になっている可能性が考えられる.
 原因不明の習慣流産に対する免疫療法として1981年Taylorら3)およびBeerら4)の報告以来,世界的に夫リンパ球あるいは第三者白血球免疫療法が施行されている.当科では当初2回以上の原因不明の習慣流産患者を対象としたが,その後,1993年からは3回以上の原因不明の習慣流産患者に対して施行してきた.しかし,免疫療法の有効性については免疫療法の適応,治療対象の選択基準が一定でないことから未だに評価が一定していない.
 1993年免疫療法に関する世界規模の共同研究が行なわれ,全ての治療方法を全て総括した場合においても治療群では対象群に比し約1.2倍の生児獲得率が得られ,有効であることが示された34).さらに,詳細な検討では生児出産歴がなく,抗核抗体等の自己抗体陰性,抗夫リンパ球抗体という抗HLAアロ抗体がない患者における治療群では対照群に比し約1.5倍の生児獲得率が得られることが明らかにされた35)
 しかし,依然として免疫療法のメカニズムについては不明な点が多く,治療効果を適切に判定する手段として有効な検査については合意が得られていない.
 抗HLA抗体は免疫療法の治療効果を判定したり,妊娠予後を推定する一助となるかどうかは未だ議論の多いところである.そこで,われわれは夫リンパ球による免疫療法によって産生されうる抗HLA抗体にまず着目し,抗HLA抗体と妊娠継続率について検討を行った.これまで,抗HLA抗体の産生と妊娠の継続率に関する報告として,抗HLA抗体の産生が見られた症例において次回の妊娠継続率が上がるとする報告9,34),抗HLA抗体は妊娠継続率に寄与しないとする報告10,11,36),抗HLA抗体により妊娠継続率が低下する報告37,38)など様々である.今回のわれわれの検討では,抗HLA抗体の産生の有無は妊娠継続率に影響を与えなかった.
 次に,免疫療法を施行した夫婦間のHLA抗原の共有数と抗HLA抗体産生の有無の関係について検討した.Lagaaij等の心臓,腎移植後の抗HLA抗体の産生の検討では,抗HLA抗体の産生はHLA DR抗原の一致しない症例で有意に多く産生されるという39).しかし,HLA抗原共有数と抗HLA抗体の産生に関する別の報告9,37)では,Kilpatrick40)等の抗HLA抗体産生とHLA B8の関連に関する報告を除いて,HLA抗原共有数と抗HLA抗体の産生の間に一定の相関を認めなかった.今回のわれわれの検討では,抗HLA抗体産生の有無とHLA DR抗原共有数の関係に有意差は認めなかった.一方,抗HLA抗体を産生した例では夫婦間のHLA B抗原を共有しない場合あるいはHLA BおよびDR抗原を共有しない場合に有意に多く,共有する場合は抗体を産生する例は有意に少なかった(p=0.022).すなわち,抗HLA抗体の産生は妊娠継続率と関係がなく,むしろ夫婦間のHLA抗原の共有度に影響される可能性が示唆された.つまり,抗HLA抗体の産生を検討することのみでは免疫療法の有効性評価の指標とはなり得ないと考えられる.
 抗HLA抗体の特異性の検討では,抗体産生者26例中16例(61.5%)にHLA A抗原に対する特異性が認められた.また,夫婦間でHLA B抗原を共有しない時に産生された抗HLA抗体の特異性がHLA B抗原ではなく,A抗原に対するものであったことも明かになった.これらのことから,同じHLA class I抗原でありながらHLA A抗原とB抗原では,抗HLA抗体産生における役割が異なることが示唆された.
 免疫療法の治療効果は,II型ヘルパーT細胞優位の状態に誘導することによるとする考え方がある31).あるいは,免疫療法により,免疫学的寛容の状態を誘導することによると説明される場合がある12).また,免疫療法を行なうことにより末梢血NK活性は低下すること41, 42)やTh1/Th2比が健常者に比し有意に高い習慣流産群においてもTh1/Th2比は低下することが報告されている33, 43).さらに,免疫療法はNK活性を低下させ,Th1優位の状態からTh1を低下させ,Th1/Th2を低下させ正常化することが示唆される42).つまり,習慣流産患者においてはTh1/Th2比が高いが免疫療法によりTh1/Th2比が低下し,正常化することにより,妊娠維持に有利な方向に働く可能性があると考えられる.
 さらに,免疫療法の予後を検討すると,免疫療法によりNK活性が低下した群では次回妊娠の予後が良く44),免疫療法を施行したにもかかわらずNK活性の低下しない群では次回の妊娠維持ができないことが多いと報告されている45)
 今回の検討では,免疫療法によりNK活性が有意に治療経過中に低下し,Th1/Th2比が低下した可能性が考えられる.治療後も流産となった群においては治療前のNK活性は妊娠が維持された群に比し治療前から高値を示しており,治療経過中,治療後において有意に低下しているものの,なお妊娠継続群より高値を示していた.流産になった4例の個々の検討では,2例においてはNK値は正常範囲内に低下したが,1例においてはNK活性は43.2%と高値を示していた.すなわち,NK活性の高い例では妊娠継続率が低いことは明らかであるが,免疫療法によりNK活性が低下しただけでは,必ずしも妊娠継続につながる訳ではないことが示唆される.流産症例の絨毛染色体検査は施行していないため,今回の検討のみで胎児側の流産は否定できないが,いずれにせよ今回の検討のみで免疫療法が有効か無効か判断できるものではない.しかし,前述した他の報告からも,これら習慣流産群に対する現在の免疫療法のみでは治療効果が不充分である可能性が高い.一方,このようなNK活性の高い症例にITP等の自己免疫疾患の治療薬に用いられるγグロブリン大量静注療法がNK細胞レベルやNK活性を低下させるという報告46-48)があること,子宮内膜症の治療薬であるダナゾールによりNK活性が低下することが報告されており49, 50),異なるアプローチによる治療法として,今後検討する必要がある.
 一般に,同種輸血においてはNK活性等の細胞性免疫が低下することが知られている.白血球を除去していない同種輸血を行なうと,末梢血NK活性は術後4週間まで低下しつづけることが知られている51).免疫療法では,夫リンパ球を分離し皮内注射するが,この方法でも同種輸血と同様に,末梢血NK活性値は低下した.習慣流産に対する免疫療法がはじめられた当初は同種輸血で行なわれていたが,この結果からも,現在行なわれているリンパ球免疫によっても,NK活性に対する効果は同等であるといえる.
 今回の検討では免疫療法による抗HLA抗体の産生について,夫婦間のHLA B抗原あるいはHLA BおよびDR抗原各々一つ以上を共有している場合,抗体産生はされ難い.一方,共有していない場合に抗体は比較的産生されやすい.また,NK活性についてみると,夫婦間のHLA抗原の共有にかかわらず低下する傾向を認めたが,特に,HLA B, DR, DRB1抗原を一つも共有しない夫婦間では,治療中に有意にNK活性は低下した.HLA B, DR抗原を共有しない場合は,抗HLA抗体は産生されやすく,NK活性等の細胞性免疫は抑制され,治療によりTh1/Th2比が抑制されるという報告33, 42, 43)とも符合するものである.一方,例数は3例と少ないが,夫婦間のHLA B, DR抗原を少なくとも一つ以上共有している場合は,治療後(治療終了2週間後)にNK活性値は有意に低下した.このことは,同種輸血においてはdonor/recipientの関係においてHLA BおよびDR抗原を共有すると,CTL(cytotoxic T lymphocyte)が誘導されないことが知られており52, 53),今回の検討から,夫リンパ球免疫療法においても同種輸血と同様にCTLが抑制されている可能性がある.
 同種免疫によるNK活性値の低下の誘導はHLA抗原共有度により異なる機序により引き起こされて可能性がある.
 妊娠予後についてみると,免疫療法前のNK活性値の高い症例,および免疫療法を施行したにもかかわらず高いNK値を示す場合は,次回妊娠において流産となる可能性が高い.しかし,NK活性値に一定のカットオフ値を設定しても,妊娠予後を予見することは困難であった.すなわち,免疫療法がNK活性に影響を及ぼすことは明らかであるが,妊娠の予後を決定する要因はNK活性のみではないことが同時に示唆された.
 今回の検討においても,流産になった4例中2例は免疫療法によりNK活性は低下しており,胎児側の因子が否定できていないものの,少なくともNK活性については治療が有効であったといえる.しかし,妊娠継続のための治療として有効でなかったと言わざるを得ない.また,同種免疫異常による習慣流産の中に,免疫療法無効の例が含まれることが知られ24),今後,原因不明習慣流産例をさらにサブグループに分類し対応していくことで,免疫療法の効果が正確に評価されていくものと思われる.
 以上をまとめると今回の検討で,免疫療法による抗HLA抗体の産生は,夫婦間のHLA BあるいはB抗原およびDR抗原が少なくとも一個以上共有した場合に産生されがたいことが明らかとなった.また,免疫療法により末梢血NK活性は夫婦間のHLA抗原共有の有無にかかわらず,治療前に比較し治療中には有意に低下することが明らかになった.
 妊娠予後については,免疫療法前のNK活性値の高い症例および免疫療法を施行したにもかかわらず高いNK値を示す場合,次回妊娠において流産となる可能性が高い傾向があった.また,このような症例においては現在の免疫療法のみでは治療効果が不十分と考えられた.NK活性の測定は原因不明の習慣流産患者をさらにサブグループに分類して治療方針を立てる上で有用な指標となる可能性が示唆された.

 結 論
 今回の検討から,抗HLA抗体産生は夫婦間のHLA共有に関連するが,妊娠予後には影響しない可能性が示唆された.また,NK活性は免疫療法により夫婦間のHLA抗原共有にかかわらず低下し,このことにより習慣流産歴を有した一部の患者に対して初期妊娠維持に寄与する可能性が示唆された.また,NK活性の測定は,原因不明の習慣流産患者をさらにサブグループに分類して治療方針を立てる上で有用な指標となる可能性が示唆された.

 謝 辞
 稿を終えるにあたり,御指導,御校閲を賜りました埼玉医科大学総合医療センタ産婦人科学教室竹田省教授に深謝致します.また,本研究を遂行するにあたり,直接御指導を頂きました同輸血部前田平生教授,埼玉医科大学産婦人科石原理教授に深謝いたします.HLAタイピングおよび抗HLA抗体検査を御指導いただきました同輸血部平田蘭子技師,NK活性測定を御指導いただきましたBML西本徹技師に深謝いたします.

 文 献
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(C) 2002 The Medical Society of Saitama Medical School