埼玉医科大学雑誌 第37巻 第1号別頁 (2010年8月) T13-T20頁 ◇論文(図表を含む全文)は,PDFファイルとなっています.

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Thesis
頭頸部悪性腫瘍における下顎骨区域切除症例の再建術式と術後合併症に関する研究

吉本 世一
埼玉医科大学 国際医療センター 包括的がんセンター 頭頸部腫瘍科・耳鼻咽喉科

医学博士 乙第1139号 平成22年5月28日 (埼玉医科大学)


抄録
 目的:術後早期の創部合併症の見地から頭頸部悪性腫瘍における下顎骨区域切除時の最適な再建方法を検討する.方法:1995年1月から2004年12月までに癌研究会附属病院頭頸科にて頭頸部の悪性疾患のために下顎骨区域切除を施行した102例と,2007年4月から2008年12月までに埼玉医科大学国際医療センター包括的がんセンター頭頸部腫瘍科・耳鼻咽喉科で同様の切除を施行した15例の,計117例を対象として,骨の再建方法別の術後早期の創部合併症の有無および内容について検討した.結果:軟部組織のみの再建と比較して,肋骨を中心とする再建方法は術後の早期の合併症を来す可能性が高かった.結論:広範囲な骨欠損や皮膚合併切除のあるような症例に対し,肋骨を中心とする再建方法は今後推奨されない.予後の悪い症例では複雑な再建方法に拘らず,軟部組織の再建に必要に応じてチタンプレートによる硬性再建を加えることが望ましい方法として挙げられた.いずれにしても充分なインフォームドコンセントの上,その適応や術式の選択に注意すべきであると考えられた.

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