埼玉医科大学雑誌 第41巻 第2号別頁 (2015年3月) T63-T71頁 ◇論文(図表を含む全文)は,PDFファイルとなっています.

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Thesis
関節リウマチにおけるインフリキシマブによる投与時反応発症の予測因子に関する検討

奥山 あゆみ
臨床医学研究系 内科学

医学博士 甲第1261号 平成26年3月28日 (埼玉医科大学)


【背景および目的】
 投与時反応は,抗TNFα抗体製剤であるインフリキシマブで治療している一部の関節リウマチ患者でみられる代表的な有害事象である.これまでにインフリキシマブなどのTNF阻害薬の有効性と関連する因子として,抗体製剤の処理に関与するFcγ受容体分子の遺伝子多型の寄与が示唆されてきた.しかし,投与時反応の有無と,Fcγ受容体分子との関連については今まで報告がない.従って,本研究はこの遺伝子多型を中心に,インフリキシマブによる投与時反応を惹起する寄与因子について調査することを目的として行われた.

【方法】
 対象は当科でインフリキシマブによる治療を受けた関節リウマチ患者96人である.Fcγ受容体の遺伝子多型は,PCR分析によりFCGR3A 158F/VとFCGR3B NA1/NA2を検討した.またグルココルチコイドの使用状況あるいは抗インフリキシマブ抗体の存在を含む,各種背景因子についても合わせて検討を行った.

【結果】
 インフリキシマブによる治療開始後の52週間で,投与時反応は17人(18%)にみられた.FCGR3B NA1/NA1遺伝子多型は投与時反応をおこした患者の75%にみられ,投与時反応のない患者では37%しかみられなかった.グルココルチコイドの使用率は投与時反応をおこした患者では53%であり,一方で投与時反応のない患者では80%に使用されていた.多変量ロジスティック解析では,FCGR3B NA1/NA1遺伝子多型の存在とグルココルチコイドを使用しないことは投与時反応の独立した予測因子であった.抗インフリキシマブ抗体の存在も投与時反応と関連性が示された.

【結論】
 インフリキシマブによる投与時反応について,FCGR3B NA1/NA1遺伝子多型,グルココルチコイドの使用状況,抗インフリキシマブ抗体の存在が予測因子となることが示された.


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