埼玉医科大学雑誌

埼玉医科大学雑誌第47巻第1号 (令和2年8月) 1-10頁◇論文(図表を含む全文)は，PDFファイルとなっています．

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原著
成人頻回再発型およびステロイド依存性ネフローゼ症候群に対する
リツキシマブの寛解維持および再発予防効果の検討

瀨戸　建^＊，井上　勉，友利　浩司，岡田　浩一
埼玉医科大学　腎臓内科

〔令和元年9月27日受付／令和2年2月25日受理〕

Effects of long-term treatment with Rituximab on remission maintenance
and relapse suppression of frequent relapse and/or steroid-dependent
nephrotic syndrome in adults

Takeru Seto^＊, Tsutomu Inoue, Kouji Tomori, Hirokazu Okada
Department of Nephrology, Faculty of Medicine, Saitama Medical University

背景：頻回再発型およびステロイド依存性ネフローゼ症候群に対し，小児では寛解維持・再発抑制におけるリツキシマブ（RTX）の有効性が様々な臨床研究によって実証されている．一方，成人例での実績報告は少なく，また投与プロトコールについても確立された方法がない．そこで今回，成人の頻回再発型およびステロイド依存性ネフローゼ症候群に対する，統一投与プロトコールによるRTXの有用性と安全性を検討した．
方法：16歳以上の頻回再発型およびステロイド依存性ネフローゼ症候群に対し，RTX 375 mg/m2（最大 500 mg）単回投与を6か月毎に行い，24か月で計5回投与するプロトコールを採用した．RTX 導入前，投与期間中ならびに終了後の臨床経過を観察し，比較検討した．
結果：症例は男性9例，女性8例の17例（平均年齢 37 ± 15 歳：微小変化群11例，巣状糸球体硬化症2例，腎生検未施行4例）．観察期間は中央値43か月（11－54か月）であった．RTX 投与期間中，ネフローゼ症候群が再発した症例は3例であった．副腎皮質ステロイド薬（プレドニゾロン）とシクロスポリンについては，両者とも RTX 導入前と RTX 投与期間中および後で投与量が有意に減量されていた．再発回数についても，RTX 導入前と比べて，投与期間中および後で有意に減少していた．また，全例で有意な有害事象は認められなかった．
結語：成人の頻回再発型およびステロイド依存性ネフローゼ症候群に対し，RTX 単回投与を6か月毎に，24か月間で計5回投与するプロトコールは，副腎皮質ステロイド薬・免疫抑制薬の減量や再発抑制において有用性が認められた．

J Saitama Medical University 2020; 47(1): 1-10
(Received September 27, 2019/Accepted February 25, 2020)

Keywords: frequent relapse nephrotic syndrome, steroid-dependent nephrotic syndrome, rituximab, prednisolone, cyclosporin A, relapse

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