埼玉医科大学雑誌 第48巻 第2号 (令和4年3月) 79-84頁◇論文(図表を含む全文)は,PDFファイルとなっています. PDF (1.87 MB) 中山 貴之,矢野 晶大,岡田 洋平,諸角 誠人,川上 理 埼玉医科大学総合医療センター 泌尿器科 〔令和3年4月15日受付/令和3年10月1日受理〕 Advanced node-positive upper urinary tract urothelial carcinoma successfully treated with multimodal therapy, including pembrolizumab and radiotherapy, under the surveillance of diffusion-weighted whole-body magnetic resonance imaging Hitomi Mizuta, Hideki Takeshita*, Kai Suzuki, Kojiro Tachibana, Makoto Kagawa, Hironori Sugiyama, Takayuki Nakayama, Akihiro Yano, Yohei Okada, Makoto Morozumi, Satoru Kawakami Department of Urology, Saitama Medical Center, Saitama Medical University 79歳女性.左水腎症及び長径8.3 cm の左骨盤腫瘤が偶然発見され紹介受診した.尿沈渣で異形細胞を認めたが,膀胱内視鏡検査及び尿細胞診検査で異常を認めなかった.全身拡散強調MRI(DWIBS: diffusion-weighted whole body imaging with background suppression)で左骨盤腫瘍と傍大動静脈・両側総腸骨・正中仙骨リンパ節転移を認め,左尿管癌cT4N2M0 と診断した.集学的治療を行い,治療効果はDWIBS でモニターする方針とした.ゲムシタビン・カルボプラチン療法による導入治療3サイクルで原発巣・リンパ節転移ともに部分奏効(PR)が得られ,7サイクルで原発巣はPRのままであったがリンパ節が完全奏効(CR)したため,左腎尿管全摘・左後腹膜リンパ節郭清術を施行した.病理学的には,原発巣の尿管外へ浸潤した部位に残存腫瘍を認めたが,郭清したリンパ節に癌を認めず,DWIBS での可視病変は完全に切除したと考えられた.しかし術後3ヶ月のDWIBS で傍大動脈・左内腸骨リンパ節に再発を認めたため,大動脈周囲および骨盤領域に54Gyの救済照射を施行し,引き続きペムブロリズマブを開始した.4サイクルで再発リンパ節がCR となり,現在計26 サイクルを施行し19ヶ月間CRを継続している.DWIBS による精密な病勢モニターに基づき治療のタイミングを最適化させ,放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬とを併用することで,進行上部尿路上皮癌の予後の改善が期待される. J Saitama Medical University 2022; 48(2): 79 - 84
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