聴神経鞘腫

聴神経鞘腫がありますといわれ情報をお求めの方へ

聴神経鞘腫(別名:前庭神経鞘腫)は、体のバランスをとる神経(前庭神経)を包む皮の細胞から発生した良性の腫瘍です。この神経の周囲には、耳の聞こえの神経と顔面を動かす神経も一緒に沿うように走行しているため、

などの症状を出してきます。
 良性腫瘍であるため、周囲の脳を壊したりよそへ転移したりすることはありません。しかし、毎年1ミリから2ミリといった調子でゆっくりと大きくなってきます。
 治療に関して、ガンマナイフと呼ばれる定位的放射線治療の治療成績が非常に良好です。このため、小さい聴神経鞘腫は経過をみるか、ガンマナイフが適切である場合がほとんどで、手術治療を必要とする症例は限られていると考えます。
 当科ではさらに、日常生活で使える聴力がまだ残されている方では、放射線治療か経過観察をお勧めしています。もちろん、聴力が残っている段階で、手術で聴力を温存しながらできるだけ腫瘍を摘出するという方針もあります。しかし、やや難しい話となりますが、聴力が残っている小型から中型の腫瘍に対して聴力保存を目指しても、手術後に有効な聴力を100%残せるわけではありません。また、聴力を保存するために腫瘍をある程度残さざるを得ない場合もあります。このため、なにもせず注意深く経過を見守った場合(これを自然歴といいます)とくらべて、

といった点に関して、本当に手術が最適なのか、その必要性は慎重に検討されなければならないと考えています。そこで当科では原則として、「基本的には耳が聞こえているうちは注意深く外来で様子を見ていきましょう」というスタンスとなります。もちろん、数人の患者さんだけを比較すれば、「手術してよかった」、とか、「様子をみてよかった」とか、さまざまなケースがあり得ますが、それが治療方針決定の中心材料とはなってはいけないと考えます。
 いっぽうで、手術による摘出が必要となってくるのは、

などが考えられます。
当科では、このような明確な手術適応のある中型から大型の聴神経鞘腫に対して(特に最大のものでは6cmを越えるようなものも含め)、手術やその後の集学的治療の豊富な経験を有する医師による専門的な治療を行っています。

まずは不安を少しでも解消していただくために、当科では、聴神経鞘腫と診断され治療法を詳しくお知りになりたい方向けの「聴神経鞘腫外来」を設けています(毎週月・火曜日)。わかりやすい説明を心がけておりますので、ぜひこの外来の受診をお勧めいたします。お困りの方は、月曜・火曜の大宅宗一の外来を受診いただくか(予約は不要です)、soichi@saitama-med.ac.jpまでメールをいただければ月曜日火曜日以外でも可能な限り診察させていただきます。