三叉神経痛・顔面けいれん

三叉神経痛について

顔面にがまんしようもない強烈な電撃にも似た痛みが生じる病気です。あまりに痛みが強すぎるため、患者さんの日常生活の質を著しく低下させてしまいます。患者さんは、顔も洗えずお化粧もできず好きなものも食べられない、風が顔に当たっただけでも痛い、というたいへんな苦しみを訴えます。

原因で最も多いのは、脳内で顔面の知覚を担当する「三叉神経」に対して血管が当たることによって生じるものですが、他にも脳腫瘍で生じたり、多発性硬化症と呼ばれる病気で発症することもあります。患者さんの中には、「三叉神経痛」という正しい診断にたどり着く前に、多くの歯科治療を試みられている方も多数いらっしゃいます。最初は歯の痛みと考えられることが多く、歯医者さんでの治療を受けてもよくならない顔面の痛みは、三叉神経痛を考える必要があります。当科で手術を受け痛みが完全消失した患者さんのなかにも、異なる診断のもとに針治療やカイロプラクティックなどの治療を受けつづけてきた方が少なくありません。

図1
MRIにて黄色の矢印のところで三叉神経に動脈と思われる血管が当たっています。
(患者さんからの承諾を得て掲載しています)

正しく治療するためには、まず原因を突き止めることが大事であり、まずは三叉神経痛特有の病歴の聴取がなによりも重要であるとわれわれは考えています。時に、痛みを和らげるために服用しているテグレトールなどの薬物により、痛みの性状が焼けるような痛みなどに変化することもあるため、見逃しを防ぐためには脳神経外科の医師のなかでも三叉神経痛の患者さんを数多く診察したことのある医師による問診が必須です。引き続き行われる脳MRIを中心とした画像診断で、原因を突き止めます。血管の圧迫や脳腫瘍による三叉神経痛では、根治には手術治療が必要となります。

脳腫瘍の場合には、腫瘍摘出術を行います。またもっとも多い血管圧迫によるタイプでは、神経血管減圧術を行います。当科でも経験豊富な医師による治療を受けることができます。

図2
手術のときの皮膚の切開部位です。
後頭部の耳の後ろに小さい切開をおきます。
図3
三叉神経(青矢印)に動脈(黄色矢印)が当たっています。
図4
神経から血管をはがして、移動させました。患者さんは手術の直後から痛みが完全消失しました。

また、三叉神経痛の中には、「非典型的三叉神経痛」と呼ばれるカテゴリーがあり、血管の圧迫などがなくても強い痛みで苦しんでいる顔面痛の患者さんがいらっしゃいます。多発性硬化症の患者さんの2%にはこのような痛みが生じることもわかっています。当科では、このような患者さんも、三叉神経第1枝、第2枝、第3枝の末梢での切断術や、グリセロール注射による三叉神経節破壊術などの末梢手術を受けていただくことができます。過去4年間に計33例の三叉神経痛への手術を施行し、29例(87.9%)で痛みが消失して投薬を中止でき、残り3例(9.1%)で痛みが軽減、再発が1例(3%)、となっています。

顔面けいれんについて

顔面の筋肉を動かす顔面神経は、脳幹から出て顔面の筋肉へと向かいます。顔面神経が血管や腫瘍によって圧迫を受けますと、顔面の筋肉が勝手にけいれんしたように動いてしまう「顔面けいれん」が生じることがあります。この顔面けいれんは、このようなMRIなどで見える異常(器質的な異常といいます)の他にも、さまざまな原因で起こることが知られています。治療には、内服治療・ボトックス注射・手術、があります。当院脳神経外科では、「血管の圧迫による顔面けいれん」、あるいは「脳腫瘍によって生じる顔面けいれん」に対する手術治療およびボトックス注射を行っています。当科では過去4年間に計32例の顔面けいれんへの手術を施行し、うちけいれん消失29例(90.6%)、軽快2例(6.3%)、不変1例(3.1%)でした。

お困りの方は、月曜日あるいは火曜日の三叉神経痛・顔面けいれん外来へお越しください(受付は午前11時までです)。予約は不要です。もちろん時間がとれる場合には、月曜日以外でも診察いたしますのでsoichi@saitama-med.ac.jpまでメールをお願いいたします。