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埼玉医科大学国際医療センター/抗がん剤治療を受けられるあなたへ(抗がん剤治療(化学療法)の副作用)

4. 抗がん剤治療(化学療法)の副作用

 第4章では、抗がん剤治療により現れる副作用の症状や程度と、その予防法および対処法について説明します。

 

 抗がん剤治療を受けられる方が、一番不安に感じるのは、副作用に関することではないでしょうか。しかし、抗がん剤治療を受けるすべての患者さんが、同じ副作用を経験するわけではなく、その症状や程度も様々です。また、副作用は薬の種類や量によっても異なりますので、詳しくは主治医、看護師、または薬剤師にお尋ねください。

 

(1)なぜ副作用が現れるのでしょうか?

 抗がん剤の特徴は、がん細胞のように速く増殖する細胞を殺すことにありますが、正常な細胞にも増殖の速いものがあり、その正常細胞にも抗がん剤の影響が出てしまうため、それが副作用として現れます。特に、骨髄(赤血球、白血球、血小板などの血液成分をつくる血球細胞)や消化管(口、口腔、食道、胃および腸)の粘膜、生殖器(卵巣や睾丸)、毛根は影響が出やすいと言われています。また、心臓、腎臓、膀胱、肺、神経系にも副作用がみられることがあります。
 白血球や血小板の減少、悪心(おしん)嘔吐(おうと)(気持ち悪くなったり吐いたりすること)、脱毛、全身倦怠(けんたい)感、口内炎などはよくみられる副作用です。

 

(2)副作用はいつまで続くのでしょうか?

 健康な細胞は、抗がん剤の影響を受けても早い時期に回復します。がん患者さんの場合、体力や投与される薬により副作用の現れる時期に個人差はありますが、症状は早い時期になくなることがほとんどです。なかには、手足のしびれなどのように、症状が消えるまでに数ヵ月から数年を必要とする副作用もあり、まれに生涯にわたり付き合わなければならない副作用が現れることもあります。しかし、ほとんどの場合は長期にわたることはありません。
 副作用を軽減するための薬や、手段も改良されてきています。副作用があまりにもひどいようでしたら、遠慮せずに主治医、看護師、または薬剤師にご相談ください。

 

(3)具体的な副作用とその対処法

1)アレルギー反応
抗がん剤のなかには、アレルギー反応・過敏反応を引き起こす薬剤があります。これらの反応が起こる頻度は高くありませんが、もし静脈注射中に痛みや熱を感じたり、急激にかゆくなったり、全身に発疹が出たり、息苦しくなったりした場合には、ただちに主治医や看護師にお知らせください。

<抗がん剤点滴中の注意>
 抗がん剤の点滴は、通常、上肢(じょうし)(うで)の静脈に留置専用の針を入れて行います。点滴を開始する前には、必ず針先が血管に入っていることを確認し、そのあとに点滴を開始します(埋め込み式ポートを設置されている方は除きます)。しかし、点滴を開始したときに血管に入っていた針先が、点滴をしている途中で、血管の外にずれてしまう場合があります。針先が血管に入っていない状態のまま点滴を続けると、抗がん剤が血管の外にもれてしまい、針が入っている部分を中心に、皮膚が()れ、赤味を帯びたり痛みが生じたりします。抗がん剤は細胞を殺すという特徴を持つため、これらの症状は特に重篤な皮膚炎症を起こすおそれがあります。
 しかし、抗がん剤が血管の外にもれないように予防できます。それには、あなた自身にも予防するという意識を持っていただくことが大切です。あなたが抗がん剤の点滴を行っている間、看護師は細心の注意を払い、抗がん剤が血管の外にもれないよう観察しますが、ご自身でも異常がないか観察をしていただけたらよいでしょう。もし、あなたが抗がん剤の点滴をしている途中で、抗がん剤が血管の外にもれることが疑われるような症状(針が入っている部分の腫れ、赤味、痛みなど)に気づいたら、ただちに看護師までお知らせください。他の血管に針を入れかえるなど、適切に処置をします。
 また、帰宅したあとに針をさした部分に痛みや腫れが現れた場合にも、病院へ連絡してください。

抗がん剤が血管外にもれた場合の反応に基づく分類

強い反応を起こす抗がん剤

中程度の反応を起こす抗がん剤

比較的軽い反応を起こす抗がん剤

ドキソルビシン
ダウノルビシン
イダルビシン
エピルビシン
ピラルビシン
アムルビシン
アクチノマイシンD
マイトマイシンC
ミトキサントロン
ビンブラスチン
ビンクリスチン
ビンデシン
ビノレルビン

シスプラチン
シクロホスファミド
ダカルバジン
エトポシド
5-フルオロウラシル
ゲムシタビン
ネオカルチノスタチン
チオテパ
イホスファミド
アクラルビシン
カルボプラチン
ネダプラチン
イリノテカン
カルボコン
ラニムスチン
ニムスチン
ドセタキセル
パクリタキセル

L-アスパラギナーゼ
ブレオマイシン
シタラビン
メトトレキサート
ペプレオマイシン
エノシタビン

出典:最新皮膚科学大系16(玉置邦彦編)柳川茂 抗癌剤の血管外漏出性皮膚障害,(東京)中山書店361-9, 2003 一部改変

2)悪心・嘔吐、味覚・嗅覚の変化
<悪心・嘔吐>
 抗がん剤治療による悪心(おしん)嘔吐(おうと) (気持ち悪くなったり吐いたりすること)は、薬が消化管(口腔、胃、腸など)の粘膜や脳の中枢(嘔吐中枢)を刺激することによって起こります。症状は患者さんによって様々で、投与期間中に軽い吐き気を感じるだけの方もいれば、投与終了後から24時間にわたり、激しく嘔吐される方もいます。症状はその後数日間続くこともありますが、おおむね3〜4日後に改善してきます。最近では、悪心・嘔吐を和らげるよい薬があり、治療がずいぶん楽に受けられるようになってきました。もし、悪心・嘔吐があるような場合は、主治医、看護師、または薬剤師にご相談ください。また、予期性嘔吐症(第2章(5)-3)参照)がたびたび起こるようでしたら、この場合もご相談ください。

悪心・嘔吐を和らげる工夫

@ 食事は少量ずつ気分のよい時に食べるようにしましょう。
A 食事の際の水分摂取は控えましょう。
B ゆっくりと時間をかけて、よく()んで食べましょう。
C 一品の量は減らして品数を増やしましょう。
D 匂いの強いもの、甘いもの、脂っこいものは避けましょう。
E 味付けは薄味にして、甘味・塩味・酸味の強いものは控えましょう。
F 冷たく、口当たりがよく飲み込みやすいものを摂りましょう。
G 熱いものは人肌程度に冷まして食べましょう。
H 気分の悪い時は氷片やキャンディなどを口に含むのもよいでしょう。
I 朝、起きがけに吐き気がある時、寝床から起き上がる前にクラッカーなど水分の少ない食べ物を口に入れるとよいでしょう(ただし、口内炎ができていたり、唾液の出方が悪い場合はお勧めできません)。
J 治療後は固形食品を避け、水分は多めに摂りましょう。

※食事については第5章(1)をご参照ください。

<味覚・嗅覚の変化>
 抗がん剤治療開始後から、味覚・嗅覚が変化することで、食べ物が苦く嫌な味がしたり、塩味に鈍感になったり、匂いが鼻について食欲が低下したりすることがあります。薬によっては、点滴中にその薬剤の「味がする」ことがあり、特に金属味はよく起こる現象です。

味覚・嗅覚の変化への対応

@ 濃い味の調味料を用いましょう(塩味、甘味)。
A カップめん、めん類、カレーライス、果物を活用しましょう。
B 味が残る食べ物、新鮮な果物やキャンディ、酢の物、漬物、レモンジュースなどがお勧めです。
C 食べ物の匂いが気になる場合は、冷たくした料理や室温に冷ました料理がお勧めです。
D 匂いで吐き気が誘発される場合は、その時期だけは他の人に料理を頼むようにしましょう。また、タバコや香水などの匂いのある場所は避けるようにしましょう。

※食事については第5章(2)をご参照ください。

3)脱毛
 脱毛はよくみられる副作用の1つですが、治療が終われば、元通りに生えてきます。頭髪と同じように体毛、陰毛も脱毛しますが、時期が来れば元に戻ります。
 脱毛は、抗がん剤治療開始後14〜21日頃より、髪の毛が根元で切れるようになり、頭皮も柔らかくなるのが症状の出始めです。少しずつ薄くなる患者さんもいれば、自分で自分の頭髪を引っ張り、大量の髪の毛が抜けてショックを受ける患者さんもいます。症状の出方は、患者さんにより様々で、1〜2ヵ月くらいですべて脱毛する患者さんもいます。回復は比較的早く、治療の全コース終了後、しばらくすると生え始め、約6ヵ月で回復します。
 脱毛はスカーフや帽子でカバーすることもできますが、前もってかつらを準備しておくのもよいでしょう。
 洗髪は、頭皮を清潔に保つためには大切なことです。刺激を少なくして、脱毛を遅らせるケアも必要です。

脱毛時のヘアケア

@ マイルドタイプのシャンプーを少し薄めて使いましょう。この時、シャンプーを手に取り、泡立ててから、やさしく洗髪しましょう。
A 毛先の柔らかいヘアブラシを使いましょう。
B ドライヤーの温度は「低温」に設定しましょう。
C パーマや毛染は避けましょう。
D あらかじめ短くカットしておくのもよいでしょう。

4)感染
 抗がん剤治療開始後7〜10日頃から、白血球などの血液成分をつくる働きが低下してきます。白血球が減少すると、細菌と闘う力が弱くなり、感染しやすい状態になります。このため肺炎を始め、口腔内、皮膚、尿路、肛門、性器などへの感染に対する注意が必要です。白血球数は、治療開始後10〜14日くらいで最低となり、3週間くらいで回復してきます。

感染症の主な症状

下記の症状がある場合は、できるだけ早めに主治医に報告してください。
 ・ 発熱(38.0℃以上)、悪寒(おかん)(さむけ)、発汗、咳、黄色の痰
 ・ のどの痛み
 ・ 軟便、下痢(化学療法の副作用の可能性もあります)
 ・ 排尿時痛
 ・ 頻尿
 ・ 血尿
 ・ おりものの増加、性器からの不正出血あるいは陰部のかゆみ
 ・ 傷口、吹き出物の周囲の腫れ、痛み
 ・ 歯ぐきの腫れ、歯の痛み

 感染していなくても37.0℃前後の微熱が長期間続くことがあります。これはがん自体が原因で微熱を引き起こす「腫瘍熱」の場合もあります。

感染を予防する方法

@ 手洗いとうがいを励行しましょう。
A 排便後の肛門周囲の清潔を心がけましょう。
B 人ごみは避けましょう。やむを得ず外出する時は、マスクなどで予防するようにしましょう。
C 傷をつくると感染しやすいので、刃物を使う時は、手を切らないように十分注意しましょう。
D ひげそりは、電気かみそりを使いましょう。
E 毛先の柔らかい歯ブラシを使って、口のなかを傷つけないようにしましょう。
F 吹き出物をつぶすのはやめましょう。
G アイロンがけや料理の際には、火傷に気をつけましょう。
H 入浴あるいはシャワーを毎日欠かさず、清潔を心がけましょう。
I 皮膚が乾燥したり、ひび割れたりした時は、クリームなどを使いましょう。
J 庭いじりをしたり、ペットを洗ったりする時は、手袋をはめて切り傷などをつくらないように注意しましょう。
K 主治医の許可なしに、絶対に予防接種を受けないでください。

5)出血
 抗がん剤治療開始後7〜10日頃から、血液成分をつくる働きが低下してきます。血小板が減少すると、ちょっとした傷でも血が止まりにくくなったり、打ち身などで内出血を起こしやすくなったりします。皮膚に斑点(はんてん)が出たり、鼻血や歯肉からの出血、血尿、便が黒くなったりするなどの症状があれば、必ず主治医に報告してください。

出血を予防する方法

@ 主治医から処方された薬以外の薬を飲む時には、必ず相談してください(一般に市販されている薬のなかには、出血傾向を強めるものがあります)。
A 歯ブラシは、柔らかいものを使いましょう。
B 鼻をかむ時は、強くかまないでください。
C 事故による大量出血は命に関わるので、車を運転したり、機械を操作したりする際は、十分気をつけましょう。
D 過激な運動は控えるようにしましょう。
E ハサミやナイフ、包丁などを使う際は、ケガに十分注意しましょう。
F 飲酒は控えるようにしましょう。
G 出血の兆候がある場合は、主治医に報告してください。

6)倦怠感・だるさ
 抗がん剤治療開始後2〜3日頃から全身倦怠感(けんたいかん)が出てきます。原因は明確ではありませんが、体ががん細胞を取り除いたり、抗がん剤に対して反応したりすることにより余分なエネルギーを使うことなどが考えられています。また、がん細胞が死滅する時に細胞から自然に放出されるサイトカインと呼ばれる物質が一因とも考えられています。治療に伴うストレスも倦怠感を悪化させる要因です。倦怠感には周期性があり、次回治療開始前までには回復してきます。

だるい時の過ごし方

@ 十分な休息・睡眠を取りましょう。
A できるだけ体を休め、必要のないことは後にするようにしましょう。
B ゆっくりと体を動かすようにしましょう(イスから立ち上がるなどの動作をゆっくりしてください)。
C 気持ちにゆとりを持つように音楽や読書などを心がけてみましょう。
D 軽い運動をするようにしましょう(治療を受けた日の運動は避けてください)。
E 買い物・家事・育児・運転などは、できるだけ家族や友人に手伝ってもらいましょう。
F 趣味などで気分をまぎらわしましょう。

7)口内炎
 口内炎は、できないようにすることがとても大切です。

口内炎を予防する方法

@ 抗がん剤治療を始める前に歯科検診を受け、口腔内のチェックをしてもらいましょう。
A 歯ぐきを痛めないように、柔らかい歯ブラシを使い、食後はきちんと歯を磨きましょう。
B 歯ブラシは清潔に保つように心がけましょう。
C 口のなかがしみたり、潰瘍(かいよう)による痛みが生じたりするようであれば、主治医、看護師、または薬剤師に報告してください。
D 抗がん剤治療を受けている間の歯科受診については、主治医にご相談ください。
E 1日1回口のなかを(入れ歯のある方ははずして)見るようにしましょう。

 抗がん剤治療開始後5〜14日頃から、口のなかがヒリヒリする症状が出てくることがあります。

口内炎ができてしまったら

@ こまめにうがいをしましょう。うがい薬がしみる場合は、殺菌作用のある緑茶によるうがいが良いようです。うがい薬の使用は主治医にご相談ください。
A 熱い食べ物や極端に冷たいものは、口やのどに刺激となるので、人肌程度にしましょう。
B 口当たりがよく食べやすいものを摂りましょう。
C 酸味の強いもの、スパイスをきかせた料理、味の濃い料理、水分の少ない食べ物はなるべく食べないようにしましょう。
D 口内炎治療の薬が処方されたら、よくなるまで薬を続けましょう。

※食事については第5章(3)をご参照ください。

8)下痢・便秘
<下痢>
 抗がん剤治療開始後に起こる下痢は、大きく2つに分かれます。1つは早発性下痢です。これは、抗がん剤治療を受けた当日に起こることが多いと言われています。一方、抗がん剤治療開始後数日から2週間頃までに起こる下痢を遅発性下痢と言います。普段から自分の便の性状を観察しておき、異常があれば、どんな便がいつから、どれくらい(回数)出るようになったのか、メモしておくとよいでしょう。1日に何度も下痢が続く場合(1日5回以上のもの)あるいはおなかに差し込むような痛みがあって下痢をしている場合には、主治医の診察を受けてください。特に、塩酸イリノテカン(商品名:カンプト®、トポテシン®)で治療している方の発熱を伴う下痢は、注意が必要ですので、ただちに主治医に連絡してください。

下痢が続く時

@ 食事は消化のよいものを少量ずつ摂るようにして、回数を増やしましょう。
A 水分を十分に摂りましょう。
 ・ 冷たい飲み物はおなかの負担になります。
 ・ 室温程度の水分を補給しましょう。
B カリウムの多い食品(リンゴ、柑橘(かんきつ)類など)を摂りましょう。
C スポーツ飲料は、室温に戻したものを飲みましょう。
D 脂っこいもの、食物繊維の多いもの、牛乳、刺激物、匂いの強いものは避けましょう。
E できるだけストレスをためないようにしましょう。

※食事については第5章(6)をご参照ください。

<便秘>
 抗がん剤治療の副作用が原因の場合もありますが、運動不足や栄養状態が日常より悪くなっていることが原因の場合もあります。

便秘の時

@ 水分を十分摂るようにしましょう。
A 食物繊維の多い食事を摂りましょう。
B 軽い運動をするように心がけましょう。

※食事については第5章(7)をご参照ください。

9)浮腫(ふしゅ)(むくみ)
 抗がん剤治療開始後数週間から、薬剤によって浮腫(むくみ)が現れることがあります。浮腫は大きく全身性と局所性に分けられます。特に、ドセタキセル(商品名:タキソテール®)では、投与回数の増加とともに浮腫の起こる頻度が増す傾向がみられるので、注意が必要です。また、浮腫は薬剤性だけではなく、心機能・腎機能の低下や血液の蛋白(たんぱく)量の低下によっても現れることがあるので、浮腫が現れた場合は、早期からの治療が必要です。主治医に相談してください。その他、次の対処法などが効果的な場合もあります。

浮腫がある時の対処

@ 心臓より低い位置にある浮腫の場合は、上・下肢をあげておきましょう。
A 浮腫のある皮膚の乾燥を避け、清潔に保ちましょう。
B 普段から皮膚を傷つけないよう、手袋、靴下などで保護し、赤味、痛み、熱感、腫れなどの炎症症状を観察しておきましょう。
C 浮腫のある部分に圧がかからないようにしましょう。
D 浮腫のある部分は皮膚感覚が低下しているため、火傷、凍傷に気をつけましょう。

10)神経・筋肉、皮膚・爪などにみられる副作用
<神経・筋肉>
 抗がん剤治療開始後14〜28日頃に、手足に次のような症状が出ることがあります。

 ・ 手足がピリピリする。
 ・ 手足に熱感がある。
 ・ 手足がしびれる。
 ・ ものがつかみにくくなる。
 ・ 平衡感覚がなくなる(バランスが取りにくくなる)。
 ・ 動きがぎこちなくなる。

  しびれに対する有効な治療方法は確立していませんが、このような症状が出た場合は、主治医に報告しましょう。また、転んだり、火傷をしたり、ケガをしたりしないように十分注意しましょう。

<皮膚・爪>
 抗がん剤治療開始後14〜28日頃より、皮膚が乾燥する、赤く腫れる、吹き出物ができる、爪が割れる、爪に縦の線が入るなどの症状が出てくることがあります。ほとんどの場合、これらの症状は適切なクリームやローションを用いることにより軽減されます。皮膚や爪を守るためには、あらかじめ爪を短く切っておくことが大切です。

11)その他の副作用
<泌尿器>
 抗がん剤のなかにはイホスファミドやシスプラチンなど、膀胱(ぼうこう)や腎臓に障害を与えるものもあります。

 ・ 排尿時に痛みがある。
 ・ トイレが近くなる。
 ・ 尿意が突然起こる。
 ・ 血尿が出る。
 ・ 熱が出る。
 ・ 寒気がする。

 このような症状が出たら、できるだけ水分を多く摂るように心がけ、主治医に報告してください。また、尿量がいつもより少なかったり、手足や顔がむくんだりした場合にも、主治医に報告してください。

<全身的なもの>
 抗がん剤治療開始後数時間から数日間は、筋肉が痛い、頭が痛い、だるい、気持ちが悪い、微熱がある、寒気がする、食欲がないといった、風邪のような症状がみられることがあります。原因としては、抗がん剤治療による副作用の場合、感染による場合、あるいは、がんそのものによる場合もありますので、このような症状が出た時は、主治医の診察を受けるようにしてください。

<その他>
 抗がん剤の種類によって、まれに以下のような重い症状が出ることがあります。

 ・ 肺:体を動かすと息苦しくなる。
 ・ 心臓:動悸(どうき)や頻脈(脈が早くなる)が起こったり、脈が飛んだりする。
 ・ 内分泌(ホルモン分泌):顔、手足、腹部がむくんだりする。
 ・ 肝臓:全身がだるくなったり、黄疸(おうだん)が出たりすることがある。

 このような症状が出た場合には、ただちに主治医や看護師に連絡してください。

12)性機能に対する影響
 抗がん剤のなかには、性機能に影響を与えるものもありますが、年齢や一般状態により、その頻度や程度は異なります。

<男性>
 精子の数が減少するとともに、精子の運動性も低下するため、不妊の原因になることもありますが、性交渉への直接の影響はありません。ただし、抗がん剤治療中の性交渉による妊娠は、胎児に異常をきたす危険性がありますので、必ず避妊するようにしましょう。

<女性>
 生理の周期が乱れたり、生理が止まってしまったり、更年期障害に似た症状が出たりすることがあります。また、不妊症になることもあります。
 抗がん剤治療を受けている間は、感染しやすいため、性器を傷つけないよう気を配るとともに、清潔を保つように心がけましょう。
 なお、抗がん剤治療中の妊娠は、胎児に異常をきたす危険性がありますので、必ず避妊するようにしましょう。

<性生活>
 性欲は人により様々です。病気がきっかけでこれまで以上にパートナーに親近感を感じるようになったり、逆に性欲を失ってしまったりする場合もあります。性生活とがん、あるいは、がんの治療には直接的な関連はありません。
 抗がん剤治療を受けている間の性生活で重要なことは、お互いをいたわりあう気持ちを持って接することです。体を触れ合ったり、スキンシップをしたりするだけでも十分にお互いの絆を深めることができるということをお忘れにならないでください。

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