学長メッセージ

本学は、創立以来、学校法人の基本方針である「限りなき愛」ならびに建学の理念である「すぐれた実地臨床医家の育成」を活動の基本として位置づけてまいりました。平成11年には、建学の理念をさらに敷衍して「高い倫理観と人間性の涵養」「国際水準の医学・医療の実践」および「社会的視点に立った調和と協力」を柱とした「埼玉医科大学の期待する医療人像」を提示し、本学の育成すべき医療人像を一層明確にし、教育、研究、診療、そして社会貢献のため活動を続けております。

 一方、一部の大学や公的研究機関では、残念ながら研究費の不適切使用、研究結果の捏造・改竄、論文盗用などの研究活動における不正行為の発生が未だに報告されております。高度・先進医療の開発、提供、並びに教育を行い、国民からの期待を担っている大学等において、研究倫理の欠如により、学術研究活動に対して社会から不信を招いている状況は誠に遺憾であります。

 言うまでもありませんが、私どもが研究活動で使用する資金は、国民の皆様からの税金を原資とした公的研究費、そして個人や企業・団体からの厚意、ならびに税制も含めた国や地方公共団体からの貴重な支援により成り立っています。 また、動物実験においては実験動物の尊い生命、臨床研究においては研究の趣旨に賛同してご参加くださる方々のご理解とご協力が不可欠であり、これをなくして学術研究を遂行することはできません。
特に、介入を行う臨床研究においては、リスクについて十分に説明し、ご同意をいただくとともに、万全の安全を確保する責務があります。

ご承知のとおり、この度、国は「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」を定め、研究機関に対して、社会から信頼される研究活動の遂行を求めております。研究活動を行う者は、これらのことを十分に理解し、国民の皆様の期待や信頼を裏切ることがあってはなりません。そのため、学内の諸規則を始めとして、法令、指針、研究費配分機関の規則等を遵守して研究を行うことは研究者の責務です。加えて、研究インテグリティの取組の確保、安全保障貿易管理の徹底も、常に意識しなければなりません。

 本学におきましては、国が定めたルールおよび「学校法人埼玉医科大学における学術研究活動に係る行動規範」「学校法人埼玉医科大学公的研究費の不正使用・不適切使用防止計画」等の学内ル-ルにしたがい、適切に研究活動を推進くださいますよう、お願いいたします。
                            

 令和5年8月1日 埼玉医科大学 学長 竹内 勤