埼玉医科大学総合医療センター

薬剤部

製剤室

主として院内製剤の調製業務を行っています。

≪院内製剤≫とは

 患者さんの病態やニーズに対応する必要な医薬品が様々な理由で市販されていないため,薬剤師が医師の求めに応じて院内で独自に調製している製剤になります。薬局製剤とは異なり,病院の院内製剤は処方内容等に関する制約はなく届け出も不要となっています。それは院内製剤が調剤の一部であるとの認識によるものであり,そのため院内製剤は医薬品医療機器等法上の医薬品ではなく,販売や譲渡は認められていません。

 当薬剤部では院内製剤を日本病院薬剤師会「院内製剤の調製及び使用に関する指針」を参考にし,以下の3つに分類しています。

分類概要
 クラスⅠ 
  • 医薬品を原料とし,承認範囲外で使用かつ身体へ侵襲性が大きいもの  
  • 試薬等を原料とし,治療診断目的で使用するもの  
 クラスⅡ 
  • 医薬品を原料とし,承認範囲外で使用かつ身体へ侵襲性が小さいもの  
  • 試薬等を原料とし,治療診断目的ではないもの  
 クラスⅢ 
  • 医薬品を承認範囲内にて使用するもの  
  • 人へ使用しないもの  

 院内製剤の使用にあたっては,病院内で科学的・倫理的妥当性を十分に吟味し,特にクラスⅠ,Ⅱ(一部除く)の院内製剤に関しては実際に使用される前に患者さんへ有効性および安全性を十分に説明・同意を得た上で使用されます。

TDM室

治療薬剤の血中濃度の測定と評価を行うことにより,薬物療法の有効性と安全性の確保に尽力しています。また,薬毒物中毒の起因物質の分析を行っています。

1.TDM業務

1)TDMとは

 医薬品を添付文書記載の用法・用量通りに投与すると,一部の患者さんでは十分な治療効果が得られない一方で,効果が強く現れ,副作用を発現する患者さんもいます。これらは薬物の体内での動き(体内動態;吸収,分布,代謝,排泄)や薬物に対する感受性に個人差があり,規定の用法・用量では最適な薬物治療のできない場合があります。

 そこで治療効果や副作用に関する様々な因子(症状、薬物血中濃度や臨床検査値など)をモニターし,患者さん一人一人に合わせた最適な薬物治療を支援することをTDM(Therapeutic Drug Monitoring)といいます。

2)TDMの必要性

 TDMのなかでも薬物の効果や副作用の発現と,血液中の薬物量(薬物血中濃度)に相関関係のある薬物に関して,薬物血中濃度をモニタリングしながら投与量の調節を行っています。特に至適濃度と副作用発現濃度が近接しているため投与量の調節が困難な薬物については,薬物血中濃度を測定し,投与量・用法を調節し,効果を最大限に発揮し、副作用を発現することなく,患者ごとに最適な薬物治療の実施が必要とされます。

 また診療報酬として,薬物血中濃度を測定し,その結果に基づき投与量を精密に管理した場合,「特定薬剤治療管理料」の算定が認められています。

3)当院において

 18品目は薬剤部内にて測定可能で,うち9品目の投与設計を行っています。年間約6000件の測定し,年間約600件の投与設計をしてます。(平成27年7月現在)

 また,2014年6月より医師と事前に協議したプロトコルに基づく薬物治療管理(Protocol-Based Pharmacotherapy Management:PBPM)として薬剤師が抗菌薬の血中濃度測定オーダを発行し,測定,薬物投与計画提案を実施して,シームレスで質の高い治療支援を目指しています。

2.中毒起因物質分析業務(高度救命救急センター支援)

 当薬剤部では昭和61年の救命救急センター開設当初から,薬毒物中毒により搬入される患者の中毒起因物質に関する情報提供や,起因物質の分析により救命救急医療に貢献してきました。平成11年3月に高度救命救急センターに昇格した際に,和歌山ヒ素カレー事件やサリン事件に代表される薬物・毒物による事件が多発したことを受け,毒劇物等解析機器整備事業により各種分析機器が配備された結果,更に詳細な中毒起因物質の分析が可能となりました。精神神経系用薬や農薬,ヒ素化合物やシアンなどの工業用薬品も検出可能で,これら中毒起因物質を定性・定量分析し,救命救急医療に有用な情報を提供しています。

 現在,3名の薬剤師がこれら分析業務を担当し,24時間対処可能な体制(当直,日直時間帯は電話による呼び出しにより出勤)を取っています。