1.教室の概要
教室のあゆみ
 神経内科学教室は,1975年4月に初代教授として濱口勝彦と助手の岩崎慎一,大野良三が慶応義塾大学神経内科から赴任して開講され,同年6月に細川 武助手が加わわった.翌年,飯国紀一郎が講師として,また1977年12月に島津邦男が助教授として着任した.1980年に飯国紀一郎は伊勢慶應病院内科講師として転出したが,翌年に当大学第3内科より久保浩一が助教授として移籍した.その後,全員スタッフとして20余年間に渡り当教室の発展に尽くした.
 濱口教授(1975年4月〜1997年3月)および,その後を引き継いだ島津教授(1997年4月〜)が最も重点をおいたのは,良き内科臨床医の育成であった.神経疾患のみならず,一般内科疾患にも対処出来る医師を育成するという教室の方針に基づき,新医局員は地域の基幹病院に出向し,内科全般を研修している.また神経内科の臨床教育では,回診や症例検討会を通じて,神経疾患の診かた・考え方の定石を身に付つけることを目指している.
 臨床と教育の分野が充実し,その後,研究分野も医局員の数が増えるともに発展し現在に至っている.神経免疫の研究では,脱髄疾患,主に多発性硬化症やGuillain-Barre 症候群の発現機序の解明や治療ついて,液性免疫および細胞性免疫の立場から検討してきた.脳循環の研究では,基礎的動物実験において脳循環調節機構の解明を行なう一方,脳血管障害における脳循環自動調節能と自律神経機能との関係,また自律神経の分野では,とくに臨床面から各種神経疾患の自律神経機能を明らかにしてきた.高次大脳機能に関する研究では,大脳損傷に伴う高次機能障害の病態,発現機序に関する研究を主に臨床面から行っている.大脳基底核の変性疾患を対象に臨床症候,電気生理,病理学的立場から検討している.