• 学習障害における神経基盤の解明
  • プロジェクトリーダー

    菅 理江

  • サブテーマ

    1)虚血後の慢性期認知機能障害の検討
    2)Ⅱ型糖尿病における学習障害の検討
    3)タウリン負荷の学習への影響 

  • 概要

    動物の行動と脳の可塑性の関連性を研究することによっての学習の障害機序の解明を目指しています。
    認知症をはじめとして、認知機能障害は様々な疾患に関連して起こり、そのメカニズムの解明は治療、リハビリテーション、長期的病態の理解など多くの問題の 基礎として必要とされています。特に糖尿病は認知症の発症率が高く、認知機能障害のメカニズム解明の大きな手がかりとして期待されています。そこで脳血管 性認知症に直結する虚血と糖尿病の動物モデルを用いて、行動の測定と免疫組織化学的手法から個体としての動物がどのような認知機能の障害・回復を示し、中 枢・末梢神経系の障害とどのような関わりを示しているのかを検討しています。


    1)虚血後の慢性期認知機能障害の検討  

    虚血動物モデルを用いた,心停止による虚血性脳障害後の認知・学習機能障害について,メカニズムの解明とそれを基礎とした治療法の発見を目的に研究をすすめています。
    特に治療において重要な問題であるにも関わらず取り組みの少なかった慢性期の長期的な障害の変容に注目し、虚血が既習の学習の維持・再学習両方に障害をも たらすことを明らかにしました。現在は慢性期の学習課題へのモチベーションの低下に着目し,行動変容と中枢神経系の変性の関係を検討しています。

    本研究は本学神経内科との共同研究であり、科学研究費補助金、若手研究(B)のサポートを受けています。

    2)Ⅱ型糖尿病における学習障害の検討

    II型糖尿病モデルラットであるOLETFを用いて、糖尿病による認知機能障害のメカニズムについて研究しています。現在は学習障害と脳内酸化ストレスに着目し、血糖値や酸化ストレスの改善による行動の変容を検討しています。

    本研究は本学神経内科、内分泌糖尿病内科、総合医療センター・腎・高血圧内科との共同研究によって行っています。

    3)タウリン負荷の学習への影響  

    タウリンは脳組織中に豊富に存在するアミノ酸の一つであり、人乳中には特に高濃度に存在し、発育過程に重要な働きが果たすことが知られています。本研究 ではタウリン摂取の認知学習機能発達への影響を検討しています。特に妊娠確定マウスを用いて、周産期より継続的な摂取と成熟後からの摂取を比較した結果、 摂取時期によって学習機能への影響が異なることを明らかにしました。現在は成熟後の摂取の中枢神経系への影響を中心に研究をすすめています。

    本研究は東邦大学、東京歯科大学、額田医学生物学研究所との共同で研究を行っています。

  • 業績

    Nagane, M., Suge, R. and Watanabe, S-I. “Psychosomatic Complaints Analyses in Healthy Japanese Students Based on Melatonin and Growth Hormone Levels as Parameters of Irregular Circadian Rhythms” Journal of Circadian Rhythms, 2011, 9.

    Kaneko, Y., Suge, R. (co-first author), Fujiwara, T., Akagawa, K. and Watanabe, S-I. “Unusual Retinal Layer Organization in HPC-1/syntaxin 1A Knock-out Mice” Journal of Molecular Histology, 2011, 42, p483-489.

    Suge, R. and Okanoya, K. “Perceptual chunking in self-produced song by Bengalese finches (Lonchura striata var. domestica)” Animal Cognition, 2010, 13, p515-523

    Suge, R., Kato, H. and McCabe, B.J. “Rapid induction of the immediate early gene c-fos in a chick forebrain system involved in memory” Experimental Brain Research, 2010, 200, p183-188.

    Suge, R., Hosoe, N., Furube, M., Yamamoto, T., Hirayama, A., Hirano, S. and Nomura, M. “Specific timing of taurine supplementation affects learning ability in mice” Life Sciences, 2007, 81, p1228-1234.

    平野修助・山本哲・平山明彦・野村正彦・菅理江・本田加奈子・細江伸央・古部勝・諸田隆・浅野貴之・油田正樹“タウリン負荷による脳組織の発達と学習行動について”必須アミノ酸研究, 2006, 22, p69-74.

    Suge, R. and McCabe, B.J. “Early stages of filial imprinting in the domestic chick: Fos-like immunoreactivity and behaviour.” Neuroscience, 2004, 123, p847-856.

    菅理江・岡ノ谷一夫 “ジュウシマツの歌生成単位を基礎とした聴覚的分節化”日本音響学会聴覚研究会資料, 2003, 33, H-2003-33, p187-190.

    Suge, R. and McCabe, B.J. “Fos-like immunoreactivity in the forebrain of the domestic chick (Gallus gallus domesticus) after brief imprinting training.” Proceedings of The Physiological Society, 2000, 528P, p76.