線虫によるアミン神経伝達

ドーパミンなどのアミン神経伝達物質は気分や感情の制御に関わる重要な物質で、そのシグナル伝達の異常が様々な精神障害を引き起こすと考えられています。また、アミンの受容体はその治療薬のターゲットでもあります。私は、モデル生物C. elegansを用いて、アミンがどのように働くかを分子・細胞レベルで研究しています。

線虫C. elegansとは?

Caenorhabditis elegansは体長1mm位の土壌中に生活する線虫です。研究上の様々なメリットをもつので、発生や神経科学などの様々な分野の研究に大きな貢献をしてきました。


C. elegansでのアミン神経伝達の解析

単純な生き物である線虫ですが、連合学習など複雑な行動を示すことができます。また私達の研究などにより、線虫もドーパミンなどのアミン神経伝達物質を持ち、そのシグナル伝達に関わる因子は哺乳類のものとよく似ていることがわかっています。これまで、アミンによるシグナル伝達を線虫の個体内でモニターする系を確立して、神経回路内でのアミン受容体の働きを解析してきました。線虫を用いて神経伝達に関わる新しい発見をすることで、神経伝達の基礎的理解・精神障害の分子基盤を理解することに貢献したいと考えています。

2017年04月27日