病理学

基本学科紹介

病理学では、スタッフは病理医として大学病院での病理診断を通じて、一人一人の患者さんの病態に向き合い、専門知識をもとに正確な診断を行うとともに、医学部の基礎医学の一員として、病気が起きる原因究明やその病態から診断・治療法の開発まで、幅広い領域での探索研究を行っています。医学研究が分野を横断しつつある今、次世代シークエンス、空間トランスクリプトームやシングルセル解析を駆使し、異分野融合研究の「へそ」となるのが形態と機能を統合的に理解する病理学と考えています。また医学教育では、統合型カリキュラムでの活動とともに、医学生が臨床医学へと進む場面で「病理総論」として、病の成り立ちの根本的理解のために講義・実習を行っています。  

教職員

役職 氏名 ローマ字表記 学科内担当・役職 reseachmap KAKEN
教授 山田 健人 Yamada Taketo 運営責任者 LINK LINK
教授 奥寺 康司 Okudela Koji
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准教授 山口 浩 Yamaguchi Hiroshi
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助教 金 玲 Jin Ling


助教 浜田 芽衣 Hamada Mei
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助教 岩下 広道 Iwashita Hiromich
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助教 林 睦 Hayashi Mutsumi
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客員教授(名誉教授) 佐々木 惇 Sasaki Atsushi


客員教授 石澤 圭介 Ishizawa Keisuke


非常勤講師 市村 隆也 Ichimura Takaya


非常勤講師 松村 舞依 Matsumura Mai


非常勤講師 片岡 俊郎 Kataoka Toshiaki


非常勤講師 小池 千尋 Koike Chihiro


非常勤講師 梅本 沙代子 Umemoto Sayoko


実験助手 本間 富夫 Honma Tomio


実験助手 永井 俊典 Nagai Toshinori


実験助手 福島 雅人 Fukushima Masato


実験助手 村上 忠蔵 Murakami Chuzo


実験助手 間所 裕子 Madokoro Hiroko


事務員 須賀 晶子 Suga Akiko


教育

病理学教室(毛呂山キャンパス)では、埼玉医科大学病院群(附属病院中央病理診断部、総合医療センター病理部、国際医療センター病理診断科)と協力し医学部学生の教育を担当しています。
医学部2年生(病理学総論)
講義と4回の実習を通して、臨床医学全般に共通する病的現象の基本原理を学びます。解剖学、生理学などの基礎医学的な知識をベースにして、ヒトの正常な構造と機能が変容していく様子が講義されます。実習ではおもに顕微鏡を用いて病変の組織学的変化を観察します。
医学部3年生(病理学各論)
器官別の臨床医学の講義のなかで、病理学はそれぞれのユニットの該当疾患の病理組織学的変化を中心に、いわゆる病理学各論に相当する講義を行なっています。
医学部4年生(臨床推論ユニット・病理CPC実習)
4年生の秋になると臨床実習に進むための共用試験CBTが迫ってきます。臨床推論能力はCBTにおいても重要視される能力ですが、臨床推論能力の養成と同時に初期臨床研修の必須項目であるCPCレポートの作成をも視野にいれた「臨床推論・病理CPC実習」を4年生の秋に5日間連続で実施しています。
医学部5年生(臨床実習BSL・CC)
4年生までの間に培った知識、臨床推論(問題解決)能力を生かすのが臨床実習です。病理学の臨床実習では、病理検体を患者さんに見立てて、病理診断を体験します。実際に染色をしてみたり、病理報告書を作成してみたり、時には術中の迅速診断にかかわり、手術室に診断結果を伝えてもらうこともあります。  

研究

病理学教室では、クラッシックな組織学的手法に加えモダンな分子生物学的手法を取り入れ、様々な疾患の病態解明を通して、新しい治療法の開発や診断のためのバイオマーカーの同定を目指しています。
がんの分子標的療法の開発
がんにおけるCD26の発現と機能についての分子病理学的研究を行っています。CD26は多様な機能を持つ膜貫通型タンパクで、多種のがん細胞に高率に高発現しています。私たちの研究で、がん細胞においてCD26は特定の特異抗体との結合により抗体とともに核内に移行しRNA ポリメラーゼの転写活性を抑制することが明らかになりました。現在、その分子機構の解明と、ヒト化CD26抗体―薬剤複合体を利用した新規分子標的療法の開発を目指しています。
高悪性度肺がんの分子基盤の解明
肺がんのなかには、昨今の治療技術の劇的な進歩によっても依然完治できない予後不良なものがあります。私たちはこれまでにKRAS がん遺伝子変異を持つ腺房型・充実型肺腺癌とEGFR 変異を持つ微小乳頭型肺腺癌の2系統の予後不良肺がんがあることを明らかにしています。両者は互いに異なる臨床特性を示すことから別個の疾患であると考えられます。目下、これらの予後不良肺がんの発生・進展の分子基盤の解明を通して、診断バイオマーカーや治療標的分子の同定を目指しています。
デジタルイメージングを用いた頭頸部癌の組織学的特性の解明
多重免疫染色を用いて腫瘍に浸潤する免疫担当細胞を定量し、それらががんの悪性度や治療効果などに与える影響について研究しています。腫瘍微小環境を構成する細胞の種類や局在、細胞相互の位置関係が客観的に評価できるため、デジタルパソロジーフィールドのビックデータの蓄積を通して、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果や有害事象の予測のみならず、多方面の研究や診療の発展に寄与することを目指しています。
その他
びまん肺疾患、消化器疾患、神経疾患の病態解明と診断精度の向上に取り組んでいます。

研究業績

【論文発表】
  1. Hayashi M, Madokoro H, Yamada T et al. Novel antibody-drug conjugate with anti-CD26 humanized monoclonal antibody and transcription factor IIH (TFIIH) inhibitor, triptolide, inhibits tumor growth via impairing mRNA synthesis. Cancers. 2019, 11:1138-1138.
  2. Hayashi M, Madokoro H, Yamada T et al. Phase II study of YS110, a recombinant humanized anti-CD26 monoclonal antibody, in Japanese patients with advanced malignant pleural mesothelioma. JTO Clinical and Research Reports 2021, 21:00178.
  3. Okudela K, Matsumura M, Woo T et al. The nonsmokers' and smokers' pathways in lung adenocarcinoma. Cancer Sci, 2021, 112(9), 3411-3418, 10.1111/cas.15031
  4. Hamada M, Ebihara Y, Yoshida S et al. Prediction Formula for Pathological Depth of Invasion From Clinical Depth of Invasion in Tongue Squamous Cell Carcinoma (SCC) Stage I/II Cases. Cureus. 2023, Feb; 15(2): e34516. DOI:10.7759/cureus.34516.
  5. Hamada M, Ebihara Y, Nagata K et al. Podoplanin is an efficient predictor of neck lymph node metastasis in tongue squamous cell carcinoma with low tumor budding grade. Oncol Lett. 2020, Apr;19(4), 2602-2608. DOI: 10.3892/ol.2020.11358.
【知財・特許】
1)山田健人、林睦 他. 抗 CD26 抗体と他の抗癌剤とを組み合わせた癌治療用組成物. 特願 2017-538530. PCT/JP2016/076542
2)山田健人、波多野良 他. 抗 CD26 モノクローナル抗体. 特願 2018-049308.
【その他の業績】
オリジナルホームページ参照

お問い合わせ

お問い合わせ先

〒350-0495 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38
TEL/FAX:049-276-1162(直通)
埼玉医科大学 医学部 病理学
教授 山田健人
E-mail:taketo@saitama-med.ac.jp