学部長メッセージ・教育方針
学部長メッセージ・教育方針

学部長メッセージ

実践的なカリキュラムと
手厚い学生サポートで医学・医療の多分野で
活躍する人材を育む

医学部長・医学教育センター長
森 茂久 教授

森茂久教授
埼玉医科大学医学部では、「すぐれた臨床医」の育成を目指して、実践力を鍛える学びを展開しています。講座別でなく、各科が協力して教育を行うコース・ユニット制の6年一貫・統合カリキュラムや、低学年から医療現場に入ってチーム医療を学ぶ早期体験実習、自分の興味関心に応じて自由に参加できる課外学習プログラムなど、その内容は様々です。
さらに、より質の高い教育を届けるべく、6年間を通して学生が身につけるコンピテンシーを定め、アウトカム基盤型教育を実施。学生一人ひとりの評価をもとに、専任教員が多数在籍する医学教育センターや、学生の心身の健康を見守る学生支援室、学力向上をサポートする学力増進室などが、きめ細やかな支援を行っています。
3キャンパスを活用した臨床実習の充実化と、医学研究に挑むマインドの育成が次の目標であり、広く人類の健康と福祉に貢献できる人材を輩出するため、より良い学びを追求していきます。

埼玉医科大学の期待する医療人像

高い倫理観と人間性の涵養

  • 医療人は、生命に対して深い愛情と畏敬の念を持ち、病める人々の心を理解し、その立場に立って、十分な説明と相互理解のもとに医療を行わなければならない。
  • 医療人は、豊かな人間性を育成すべく、常に倫理観を磨き、教養を積むことに努力しなければならない。

国際水準の医学・医療の実践

  • 医療人は、生涯にわたり常に最新の知識・技術を学び、自信を持って国際的に最も質の高い医療を提供するよう心掛けなければならない。
  • 医療人は、医療における課題を自ら解決する意欲と探求心を持ち、国際的視野をもって医学・医療の進歩に貢献することを心掛けなければならない。

社会的視点に立った調和と協力

  • 医療人は自らの能力の限界を自覚し、謙虚に他者と協力し、それぞれの立場で患者中心の医療を実践するために、統合力を磨かなければならない。
  • 医療人は、社会的視野を持ち、健康の保持・増進、疾病の予防から社会復帰、さらに社会福祉に至る保健・医療全般に責任を有することを自覚し、地域ならびに国際社会の保健・医療に貢献しなければならない。

医学部の教育方針

埼玉医科大学医学部は、専門的な知識と技能及び高い倫理性を身につけた実地臨床医家を育成することを目的とし、更に進んで医学の発展に寄与することによって、広く人類の健康と福祉に貢献することを使命としている。「建学の理念」にあるすぐれた実地臨床医家には、専門領域にとどまらず、患者を中心に考え、心理社会的背景をふまえ包括的に患者・生活者をみる姿勢が求められる。「建学の理念」を敷衍し大学の使命を明確にした「埼玉医科大学の期待する医療人像」を目指し、以下に定める「埼玉医科大学医学部のコンピテンシー」のすべてを修得した者に対して、学士(医学)の学位を授与する。

「埼玉医科大学医学部のコンピテンシー」

 1.社会人および医師としての基本姿勢
    (1)医療専門職としての倫理観、責任感、熱意、誠実さを備えており、それらを基盤として行動する。
    (2)患者を中心に考え、患者や社会のために行動する。
    (3)身だしなみ、言葉遣い、態度など、他者と接する基本姿勢を身につけている。
    (4)自身の裁量権と能力・技術の限界をわきまえ、他者からの協力を仰ぎ、助言を活かす。
    (5)法規定や社会・組織の規則・規範を遵守し、行動する。
 2.基盤となる医学知識とその応用
    (1)人体の正常構造と機能を理解し、知識を統合して臨床医学に応用できる。
    (2)個体の反応を臓器・細胞・分子のレベルで理解し、知識を統合して臨床医学に応用できる。
    (3)人の行動と心理について正しい知識を有し、臨床実践に応用できる。
    (4)疾患における病因、病態、診断、治療について、知識を統合し応用できる。
    (5)人の成長、発達、加齢、老化、死について、知識を統合し応用できる。
    (6)医療とそれを取り巻く社会に必要な情報技術を正しく理解し、有効に活用できる。
 3.診療技能・患者ケア
    (1)医療面接において、必要な情報を適切に聴取し要約できる。
    (2)基本的な診療手技を適切に用いて身体診察を行うことができる。
    (3)根拠に基づく医療(EBM)に則って症候、病態から疾患を導きだし、治療計画を立案できる。
    (4)問題志向型医療記録(POMR)で診療録を作成できる。
    (5)診療情報を適切に要約し、状況に応じて提示できる。
 4.自ら学ぶ姿勢と問題対応能力
    (1)自身の知識・技能や行動に責任を持ち、生涯にわたって自らの努力で向上し続ける行動力を有している。
    (2)主体的に学ぶ技能と習慣を身につけている。
    (3)自らの行動を振り返り、学び続けることができる。
    (4)解決すべき課題・問題点を自ら発見し、解決していくことができる。
    (5)卒業時点で修得している知識や技能をさらに深め、研鑽することが必要であることを理解しており、卒後臨床研修への移行の準備ができている。
 5.研究マインド
    (1)科学的情報を適切に収集し、論理的・批判的に思考できる。
    (2)医学・医療の発展のために研究が重要であることを認識し、研究の計画、実施、結果の解析、発表などの具体的な過程や手法を理解し、取組むことができる。
 6.コミュニケーション能力
    (1)患者やその関係者に敬意と思いやりを持って接し、傾聴、共感などを伴う支持的なコミュニケーションを実践できる。
    (2)適切な情報を患者およびその家族が理解しやすい言葉で伝えるとともに、相手のメッセージを受け取り、相互に理解できる。
 7.チーム医療
    (1)患者、同僚や他職種のメンバーを尊重し、自己の役割と能力の限界を理解し、実践現場で保健医療福祉専門職のチームメンバーと協働できる。
    (2)患者を含むチームメンバーと目標を共有し、意見の違いを乗り越えて合意形成の過程に参加する。
 8.医療の質と安全の管理
    (1)医療安全の知識を有し、それに基づいて行動できる。
    (2)医療資源を適切に活用する必要性を理解し、それに基づいて行動できる。
 9.地域および国際社会の医療
    (1)医療経済、地域の保健医療福祉介護の制度と資源、ならびに地域医療の現状と課題を理解し、地域医療の実践現場に積極的に参加する。
    (2)保健医療における国際的課題を理解し、医療における国際貢献の意義を説明できる。
    (3)医療情報を英語で収集し、その概要を説明できる。

埼玉医科大学医学部は、入学生がディプロマ・ポリシーに示す学修成果を確実に修得できるよう、豊富な教育資源と医療資源を活かしてコース・ユニット制に基づく学修成果基盤型の6年一貫・統合カリキュラムによる教育を行う。また、各学年のカリキュラムで達成しているべき学修成果をマイルストーンとして定め、多様な形成的評価も含めて段階的評価を行い、卒業時に学修成果が修得できていることを確認する。

 1. 卒業時に医師としての人間性や医療専門職としての責任感・使命感などの基本姿勢を確立させるために、教養教育や行動科学を含め、6年間を通じたプロフェッショナリズム教育を行う。
 2.必要な医学知識を効果的に修得させるために、学体系ごとの科目は設置せず、臓器別・系統別の統合的なコース・ユニット制を採用する。
 3.共用試験受験前には、早期体験実習、導入クリニカル・クラークシップなどを低学年から学年順次性をもって十分に実施する。共用試験合格後には、医療の質を高め安全管理を適切に遂行でき、統合的な診療技能・患者ケアのスキルを修得させるために、すべての臨床実習を診療参加型臨床実習とする。
 4.自己主導型学習や生涯学習の実践に必要な自ら学ぶ姿勢を確立させるために、PBLやTBLなどのアクティブラーニングや少人数によるグループワークを積極的に取り入れる。低学年では自ら学ぶ姿勢の基礎として省察の基本的な方法を教育する。診療参加型臨床実習においてはその応用として、医療の現場で生じた問題の発見・解決、自身の振り返り、教員によるフィードバックというサイクルを繰り返し行う。
 5.卒後臨床研修への移行の準備ができるように、低学年から高学年まで多様なキャリアデザイン教育を行う。
 6.医学研究の重要性を認識し、医学研究に取り組むことができるようにするために、実習を含む関連科目を充実させ、低学年から研究室配属を行う。高学年においても診療参加型臨床実習におけるEBM教育を通じて臨床医学研究の重要性を理解させる。
 7.患者、関係者に敬意と思いやりを持って接し、相互理解に基づいた支持的なコミュニケーションを実践できるようにするために、低学年から学年順次性をもってコミュニケーションの実習を行う。
 8.チーム医療を実践する力を身につけさせるために、学内外の異なる専門を目指す学生と連携する実習・演習を実施する。診療参加型臨床実習では、他職種との連携協働実践を体験する教育を行う。
 9.保健医療における地域・国際社会の課題解決に取り組む意欲を高めるために、低学年から実践現場での活動に関する講義や地域の保健医療福祉教育の現場での実習・演習に参加する教育を行う。
埼玉医科大学医学部では、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)に示す教育到達目標を達成するために、カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)に沿った6年一貫統合カリキュラムが用意されています。そのカリキュラム・ポリシーにしたがって学習することができる、以下のような受験生を求めます。

  1. 調和のとれた豊かな人間性と生命への愛情を持ち、奉仕する精神を備えた人
    (1)家庭や地域、学校等で豊かな交流経験をもつ人
    (2)さまざまな分野における豊富な読書量と文化・スポーツ活動歴のある人
    (3)社会、経済、地理、歴史、文学、等に関する豊かな知識と概念をもつ人
  2. 医学を修得するのに必要な基礎学力と問題解決能力のある人
    (1)自然科学(物理学、化学、生物学、等)、数学(統計学等)、日本語(語彙、読解力、作文力)、英語(語彙、読解力、作文力)に関して基礎的な学力を有する人
    (2)学んだ知識・概念を実生活の問題解決に応用できる人
  3. 自ら考え求めて学び、医学・医療を通じて社会に貢献する意欲と情熱のある人
    (1)医学を学ぶにふさわしい人格と適性を備えている人
    (2)自らの行動を省察し、主体的に行動を改善する力のある人
    (3)生命科学へ興味を持ち、新たな知見を医学・医療へ応用する意欲のある人
    (4)医師を目指す、明確で具体的な動機と、学習に臨む目標および具体的方針をもつ人
  4. コミュニケーション能力に富み、他者を尊重し、他者の立場で考え、協調して行動できる人
    (1)課外活動、社会活動等における豊富な経験と実績、適切な対人関係を築く能力のある人
    (2)人の話を理解し、自己の感情と考えを他者に的確に説明できる力のある人
    (3)人の心の動きを察したり、自分とは異なる思想・信条を受容できる人