病院紹介
埼玉県てんかん診療拠点機関
埼玉医科大学病院は埼玉県てんかん診療拠点機関です
【概要】
「てんかん診療拠点機関」とは
- てんかんは有病率1%
-
てんかんは全人口に対する有病率が約1%と高率であり、乳幼児からお年寄りまですべての年齢層で発症します。てんかんの患者さんは、てんかん発作のみならず、資格雇用などへの不安、社会的偏見や無理解などの不安などを抱えて生活されています。
わが国のてんかん医療は、これまで精神科、神経内科、脳神経外科、小児科など数多くの診療科により担われてきました。しかしながらどの診療機関がてんかんの専門的な診療をしているのか、患者さんばかりでなく医療機関でも十分に把握できていない状況があります。結果として患者さんはどの地域医療機関を受診すればよいのかわからず、紹介元の医療機関もどの医療機関に紹介するべきなのかわからないという状況があるのが現状です。
- てんかん診療拠点機関とは
-
このような状況を踏まえ、国は各都道府県にてんかんの治療を専門的に行っている医療機関の中から1か所をてんかん地域診療連携の推進のための「てんかん診療拠点機関」として指定することにしました。てんかんに係わる専門的な相談支援を行い、医療機関・自治体・患者さんとそのご家族との連携と調整を図るほか、てんかん診療に携わる医療機関に対し、てんかんについての助言・指導や地域におけるてんかんに関する普及啓発等を実施することがその役割です。
埼玉医科大学病院はてんかん診療拠点機関として以下の使命を実行するために埼玉県と共に「埼玉県てんかん治療医療連携協議会」を設置し、患者さんとご家族が心身共に豊かに過ごしていただくために邁進してまいります。
- てんかんの患者さんとそのご家族に対する専門的な相談、支援と治療を行います。
- 医療機関へのてんかんに関する普及啓発、専門的な助言指導を行います。
- 関係機関(精神保健福祉センター・県内医療機関・保健所・市町村・福祉事務所・公共職業安定所等)との調整を行い連携の深化をいたします。
- 一般の方々にてんかんという病気を理解していただくための啓発を行います。
埼玉医科大学病院のてんかん医療について
- 埼玉医科大学病院「てんかんセンター」の使命
-
埼玉県てんかん診療拠点機関に指定された埼玉医科大学病院は「学際的包括的連携による医療と福祉の理想郷を実現するため、高度なてんかん医療を提供する基幹施設として地域医療に貢献する」ことを理念とした「てんかんセンター」を設立しております。
神経精神科・心療内科、小児科、神経内科・脳卒中内科、脳神経外科の4科に救急センターや他の関連部署を加えた包括的チームによる充実した診療連携を特徴とし、てんかん医療の推進と福祉の充実をおこない、患者さんとご家族の幸せのために地域医療に尽くすことこそが、私たち埼玉医科大学病院てんかんセンターの使命です。
- 「てんかんセンター外来」の診療について
-
患者さん側からも紹介元の医療機関から、どの診療科に紹介するかがわからなくても、宛先を「てんかんセンター外来」としてご紹介いだくだけで外来初診医が患者さんやそのご家族のご希望も踏まえた上でふさわしいてんかん診療が受けられるようになりました。
てんかんセンター外来では、初診の患者さんはてんかん専門医が担当し、診断のために必要な脳波等の検査とその報告をすぐに行います。より詳細で正確なてんかん診断のためには、入院していただいたうえで長時間ビデオ脳波検査も行うこともあります。
てんかんセンター外来は、短時間のけいれん・意識障害程度の軽微な症状から治療に難渋している場合やてんかんかどうか不明な場合、また、あらゆる年齢の患者さんを対象とし、学校生活、自動車運転、妊娠に対するご相談など、てんかんに関連するすべての領域に対応しています。
- 病院の組織を上げて患者さんの診療から社会参加までサポート
-
けいれん発作が長く続き、止まらない状況であるてんかん重積状態に対して、救命救急医療を24時間体制で行っています。また、てんかんにしばしば認められる精神症状・行動異常などに対する診療や、就労支援・社会参加へのお手伝いをしています。
さらには、難治てんかんをきたす遺伝的希少疾患・難病疾患の診断を、難病センターと共に行い長期的治療および発達支援を行っています。
- てんかん医療の進歩に貢献
-
また、てんかんの地域医療に貢献するてんかん専門医療施設として、関連施設との密な連携医療を実践しています。さらに日本てんかん学会認定研修施設として、てんかん専門医の育成とてんかん医療の進歩に貢献しています。
てんかんセンター長 山内秀雄