埼玉医科大学研究シーズ集
109/304

大学病院− 107 −三村俊英1、相崎良美1、門野夕峰2、関川三四子21リウマチ膠原病科、2整形外科・脊椎外科関節リウマチは、慢性持続性滑膜炎によって惹き起こされる関節近傍の骨組織破壊と機能障害が特徴の全身性自己免疫疾患である。この病態には腫瘍壊死因子(TNF)とインターロイキン-6(IL-6)が強く関与している。最近の治療薬の進歩にもかかわらず、完全な寛解に至らない患者の多くは、日常生活に影響を及ぼしている。関節リウマチにおける関節破壊は、活性化破骨細胞による骨吸収により進行する。そのため、関節リウマチの診断と治療において、破骨細胞が有望な治療標的細胞と考えられている。破骨細胞の分化は破骨細胞分化因子(RANKL)に依存するが、本研究グループの横田らはマウス骨髄単球および関節リウマチ患者末梢血単球をTNF-αとIL-6で刺激・培養することにより、TNF-αとIL-6誘導性破骨細胞の分化を世界で最初に発見し、注目されている。さらに、関節リウマチ患者の末梢血単球におけるTNF-αとIL-6誘導性破骨細胞への分化能が、関節破壊進行度と相関することを明らかにした。現在、本研究グループはTNF-αとIL-6誘導性破骨細胞を標的とする新しい診断方法と治療薬の開発に取り組んでいる。得意な技術(ノウハウ)マウス破骨細胞とヒト破骨細胞の分化誘導法の樹立。関節リウマチ患者の末梢血・滑膜・骨組織における破骨細胞の分化能の評価とその同定方法の確立。知的財産・論文・学会発表・論文Yokota K. Osteoclast Differentiation in Rheumatoid Arthritis.Immunological Medicine, 2023, 13, 1-6, DOI. 10.1080/25785826.2023.2220931.Yokota K, et al. Characterization and Function of Tumor Necrosis Factor alpha andInterleukin-6-Induced Osteoclasts in Rheumatoid Arthritis. Arthritis & Rheumatology, 2021, 73(7), 1145-1154, DOI 10.1002/art.41666.・学会発表Yokota K, et al. Effects of Janus Kinase Inhibitor on TNF-αand IL-6-Induced Osteoclastsand RANKL-Induced Osteoclasts in Peripheral Blood Monocytes from Patients withRheumatoid Arthritis.American College of Rheumatology Convergence 2023, November 13, 2023.キーワード関節リウマチにおける新規診断方法と治療薬の開発:炎症性サイトカイン誘導性破骨細胞の同定と制御リウマチ膠原病科准教授横田和浩関節リウマチ、関節破壊、破骨細胞、炎症性サイトカイン、転写因子構成員研究概要

元のページ  ../index.html#109

このブックを見る