大学病院− 127 −武者育麻1,2、菊池透1、川名宏1、雨宮伸1,1埼玉医科大学病院小児科、2埼玉医科大学病院ゲノム医療科出生週数相当より身長ならびに体重が小さく生まれた児(Small for gestational age = SGA) は胎生期環境などの影響での子宮内発育不全により、膵β細胞機能異常や筋肉量の減少が認められ、インスリン分泌低下や抵抗性の出現、思春期以降での2型糖尿病の発症などの生活習慣病への進展リスクが報告されている。そのため、一般的な発達や発育だけではなく、思春期領域以降においても、生活習慣病を含めた経過フォローが重要である。また、SGA児の約90%は3歳までに標準身長内へキャッチアップを認めるが、約10%はそのまま低身長のまま経過することが報告されている(SGA性低身長症) 。現在日本においても、2008年10月よりSGA性低身長症に対して成長ホルモン(GH) 治療が行われており、身長予後や体組成の改善が期待され、また認められてきている。一方で、GHはインスリン抵抗性を上昇させるホルモンであり、治療開始による耐糖能の悪化のリスクについては常に注意深いモニタリングが必要であるとされている。また、SGA性低身長症では思春期発来時期が一般健常児と比較し早発傾向であることが報告されている。思春期発来は早期発来である場合には身長予後に対して負の影響をもたらす要因であり、SGA性低身長症では思春期早発傾向が一般的に認められやすいことから特に思春期開始の時期や、GH治療による影響などについて検討していく事が重要である。本研究はGH治療を行うSGA性低身長症における糖代謝を経時的に評価し、GH治療による糖代謝の変化を明らかにすることで、小児の健全な成長・発育についての基本データを確立することである。得意な技術(ノウハウ)データシートの作成データシートの解析(統計解析含む)知的財産・論文・学会発表学会発表武者育麻, 他. SGA性低身長症でのGH治療前の低いインスリン感受性は、治療後のインスリン感受性低下の予測因子となる. 第93回日本内分泌学会学術総会. 2020年7月20日. Web開催.武者育麻, 他. SGA性低身長症GH治療におけるインスリン抵抗性変化は経口ブドウ糖負荷試験でより明らかになる. 第55回日本小児内分泌学会学術集会. 2022年11月2日. 横浜.構成員研究概要SGA性低身長症に対する成長ホルモン治療によるインスリン抵抗性、ゴナドトロピン、体組成に変化に関する研究大学病院小児科助教武者育麻キーワード小児、SGA性低身長症、成長ホルモン、糖代謝
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