埼玉医科大学研究シーズ集
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大学病院− 128 −武者育麻1,2、味原さや香1,2、沼倉周彦1,2、大竹明21埼玉医科大学病院小児科、2埼玉医科大学病院ゲノム医療科ムコ多糖症II型はライソゾーム病のひとつであり、イズロネート-2-スルファターゼの先天的欠損により発症するX連鎖潜性遺伝性疾患である。重症型では、乳幼児期から発語の遅れなどの中枢神経症状を認め、知的予後が不良となる。全身投与であるイデュルスルファーゼの点滴投与は、身体の症状を改善させられるが、血液脳関門を通過できないため神経予後は改善させられなかった。2021年4月に脳室内投与薬であるイデュルスルファーゼベータが保険収載され、重症型に対して早期から治療が開始されるようになった。当施設は、ライソゾーム病の診療経験が豊富で、特にムコ多糖症では酵素補充療法による治療経験が他の施設より多い。また、新生児オプショナルスクリーニングの精密検査施設であり、ムコ多糖症を含めたライソゾーム病の初診対応も増えることが想定されている。イデュルスルファーゼベータによる脳室内投与治療の状態を経時的に評価することで、本治療の有用性を1施設の治療経過から明らかにし、ムコ多糖症II型の小児症例の予後改善に寄与できる可能性がある。得意な技術(ノウハウ)ムコ多糖症を含むライソゾーム病の診療データシート作成データシート解析(統計学的解析を含む)知的財産・論文・学会発表学会発表Musha I, et al. Optional screening for lysosomal storage diseases in Japan: Comparison of outcomes between starting therapy pre-and post-symptomatically. 14th International Congress of Inborn Errors of Metabolism (ICIEM 2021). 2021, Oct 15.Sydney,Australia.Musha I, et al. Three patients diagnosed with lysosomal storage diseases by optional newborn screening and their family analysis. 日本人類遺伝学会第65回大会.2020, Nov 18. Web開催.構成員研究概要ムコ多糖症II型の中枢神経症状に対する脳室内酵素補充療法の神経予後の研究小児科助教武者育麻キーワードムコ多糖症II型、ライソゾーム病、イデュルスルファーゼベータ、脳室内投与

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