大学病院− 164 −芳賀佳之1、松本佳祐1、橋本雄太1、石黒睦子1、内藤友亮1、高平修二11大学病院救急科医療資源の適正分配を意図した不必要な救急車使用削減に資するため人工知能(AI)を用いて救急搬送患者の短期間での再搬送の予測可能性を研究した。救急医療の現場で患者受診時に入手できるデータ12,000例分をもとにAIモデル(ニューラルネットワーク)によって救急搬送患者の再搬送の予測を行った。診療記録(カルテ)の医学的記載ではなく、受診患者台帳など情報量は小さいがアクセスしやすい情報源から得たデータを使用した。モデルの説明変数として1.年齢、2.性別、3.重症度、4.CPAOA(来院時心肺停止)、5.当日帰宅、6.近隣もしくは7.遠隔救急隊の搬送、疾患分類(8.呼吸器、9.消化器、10.脳神経.11.中毒、12.泌尿器、13.外傷、14.精神)および15.生活保護受給の15項目を選択し、目的変数を2日、30日、90日以内の再搬送として「再搬送あり・なし」の2値分類を行った。SMOTE法により不均衡データを修正した後にプログラム言語Pythonを使用して構築した隠れ層3層のニューラルネットワークで予測を行ったところ、2, 30, 90 日以内再搬送の予測正答率はそれぞれ0.822, 0.776 および0.728,であり、低情報であってもビッグデータとすることで十分精度の高い予想が可能であることを見出した。本研究の結果から、ビッグデータを使用したAIによる患者行動予測の可能性が示唆され、このモデルはさらに別個の患者行動予測に応用可能であることが示唆される。得意な技術(ノウハウ)基礎研究Pythonによるneural networkモデルの開発(ライブラリとしてtensorflow keras を使用)AIモデル開発へのノーコードアプリケーション(Orange3)の応用臨床研究容易にアクセス可能な患者情報のビッグデータを用いたneural networkによる救急再搬送の予測知的財産・論文・学会発表学会発表1.芳賀佳之.医療現場でアクセスしやすい患者情報のビッグデータを用いたneural networkによる救急再搬送の予測可能性.第5回日本メディカルAI学会。2023年6月17日2.芳賀佳之.AI(人工知能)による救急再搬送の予測可能性.第50回日本救急医学会総会。2022年10月19日論文Yoshiyuki Haga, Keisuke Matumoto, Yuuta Hashimoto, Chikako Ishiguro, Shuji Takahira.Neural network using less informative data predicts repeated ambulance transport with short intervals, Acute Medicine and Surgery(Under peer review).行動予測救急再搬送人工知能ビッグデータ構成員研究概要AIによる救急患者の行動予測大学病院救急科教授芳賀佳之キーワード
元のページ ../index.html#166