埼玉医科大学研究シーズ集
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1東洋医学科、2リウマチ膠原病科、3総合診療内科、4脳神経内科大学病院− 166 −三村俊英1,2、秋山雄次1,2、鈴木朋子1,3、光藤尚1,4、岡田多恵(非常勤医師)1誤嚥性肺炎は医療・介護関連肺炎のみと誤解されがちだが、近年市中肺炎の5-15%が誤嚥性肺炎であることは全世界的な共通認識となっている。誤嚥性肺炎のマネージメントには「予防」という概念が不可欠で有り、そのためにも誤嚥性肺炎を早期に正しく診断することが肝要であるが、現在誤嚥性肺炎の診断には確固たるバイオマーカーは存在しないため誤嚥性肺炎として拾い上げられていないケースも多く存在すると考えられる。われわれは気管支肺胞洗浄液中のアミラーゼ、ペプシンが誤嚥性肺炎のバイオマーカーとなりうることを報告しているが、それを基に気管内採痰での同項目の測定を検討している。またHRCTによる画像解析なども行い、より精度の高い誤嚥性肺炎の診断を目指す。誤嚥性肺炎予防のカギとなる因子に、ドーパミンの下流に位置し咳反射や嚥下反射に関与する頚部神経節で合成される神経伝達物質サブスタンスPがあげられる。半夏厚朴湯はサブスタンスPの合成を促進することが証明されている。また、誤嚥はフレイルによる低栄養、侵襲、廃用といったサルコペニアを亢進させる要素が加わる事で生じる事も知られており、フレイル・サルコペニア対策としての人参養栄湯などの漢方薬は誤嚥性肺炎予防に大いに期待できるものと考えられる。得意な技術(ノウハウ)基礎研究:アミラーゼ、ペプシン吸入による誤嚥性肺炎モデルの確立唾液アミラーゼによる肺胞上皮細胞の上皮間葉転換の誘導臨床研究:誤嚥性肺炎患者における気管内採痰によるアミラーゼ・ペプシンの測定誤嚥性肺炎患者のHRCT画像の解析知的財産・論文・学会発表学会発表1.Suzuki T,et al.Bronchoalveolar lavage amylase levels can be a biomarker of aspirationpneumonia. European Respiratory Society, September, 20202.Suzuki T,et al.Associations of HRCT findings of aspiration pneumonia with elevated bronchoalveolar lavage fluid amylase and pepsin levels. European Respiratory Society, September, 2023論文1.Suzuki T,et al. Bronchoalveolar lavage (BAL) amylase and pepsin levels as potential biomarkers of aspiration pneumonia.Pulmonology. 2022 16:25 doi:10.1016/j. pulmoe.2022.04.0032.Suzuki T, Kikuchi A, Kaneko A, Arita R, Nogami T, Saito N, Takayama S. A review of frequently used Kampo prescriptions: Part 2-Hangekobokuto. TraditKampo Med. 2023 10(2):103-119誤嚥性肺炎、バイオマーカー、サルコペニア、フレイル、漢方薬構成員研究概要誤嚥性肺炎の診断とその予防東洋医学科教授鈴木朋子キーワード

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