埼玉医科大学研究シーズ集
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大学病院− 175 −山本航史郎1、橋本雄太1,2、芦崎晃一1、新野捺美1,3、松本佳祐1,2、岩崎由希子1,4、神山哲男1、岩瀬哲1,21緩和医療科2救急科3リハビリテーション科4リウマチ膠原病科埼玉医科大学病院の立地する地域特性・社会的な存在意義を鑑み、診療科をあげて地域医療現場にサイバーフィジカルシステム(Cyber physical system:以下CPS)を実装するための取り組みを行っている。CPSとは、フィジカル空間(現実世界)で収集されたビッグデータを、サイバー空間上で集積・分析し、フィジカル空間では不可能な仮想的な実験検討や解探索を行い、最適化設計したプロセスを現実世界にフィードバックするシステムである(図)。特徴は情報収集→分析→介入のサイクルを常時繰り返すことで、現実世界の最適化状態がリアルタイムに生成・維持される点である。その構成要素として、手始めに診療科の医療データベース構築を開始。どのような医療データ形式がAI(Artificial Intelligence)解析を行う上で好ましいかの要件探索、臨床検査数値以外に将来の研究応用も見据えた血清保管体制の構築(マルチオミクスデータの統合解析準備)を行っている。また、診療科独自で開発中の新規センサーを用いた筋活動量モニタリング手法につき、在宅医療現場での応用可能性を探る臨床研究立ち上げ準備を行っている。最終的にはセンサーデータも含めて、クラウド上での臨床データベース構築を行い、地域医療CPSを実現することで、地域医療と地域の中核となる大学病院とを繋ぐ、新たな医療システムを提案し、救急搬送の低減など、地域医療逼迫の現状解決を図る。また、地域医療をフィールドとし、癌以外にも、フレイル・慢性心不全・自己免疫疾患など、慢性病態を抱えた患者の病態を科学的に解明することと併せて、地域・在宅医療と連携し、各疾患の重症化予防を目的とした新しい臨床研究へと展開していくことを予定している。得意な技術(ノウハウ)医療情報データベース構築血清サンプルを用いたマルチオミクス解析(プロテオーム解析、メタボローム解析、トランスクリプトーム解析)新規センサー技術を用いた筋活動量計測手法の開発知的財産・論文・学会発表研究発表1:岩瀬哲“ADLモニタリングによる救急搬送の予防”2019年10月15日毛呂山町・越生町多職種連携研修会研究発表2:岩瀬哲“高齢者の救急搬送ハイリスク検診について”2019年11月27日鹿児島地域緩和ケア連携議会研究発表3:岩瀬哲“ADLモニタリングによるロコモ・フレイルの予防”2020年11月21日第33回日本総合病院精神医学会総会構成員研究概要地域医療CPS構築緩和医療科・リウマチ膠原病科准教授岩崎由希子キーワードCyber Physical system, 地域医療,医療情報,AI解析

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