− 181 −桑原由樹1、佐々木麻衣子1、小林由美子1、菊池聡1、平田優介1、坂井浩佑1、教山紘之1、森山岳1、小山信之1、植松和嗣11埼玉医科大学総合医療センター呼吸器内科喫煙者と非喫煙者の早期肺癌に対する全ゲノム解析から、Polycomb群蛋白であるEnhancerofzestehomolog2(EZH2)およびヒストンH3リジン27トリメチル化(H3K27m3)に関連した新規の喫煙肺癌発症機構の解明を目的とする。これまでに喫煙者および非喫煙者のI期肺腺癌に対するEZH2・H3K27m3発現別全ゲノムシークエンス結果から、変異遺伝子を抽出した。さらに、CopyNumberVariant(CNV)解析を行った後、蛋白質間相互作用、遺伝子クラスター解析を行った。これらの結果をもとに、EZH2およびH3K27m3発現と関連する分子の同定を試みた。CNVは、喫煙者EZH2・H3K27m3低発現群と非喫煙者EZH2・H3K27m3高発現群で高頻度に検出された。一方、喫煙者EZH2・H3K27m3高発現群でCNVが検出された遺伝子のクラスタリング解析、蛋白質間相互作用解析から、DNAmethyltransferase(DNMT)1、S-adenosyl-L-methionine(SAM)、methyltransferase等のメチル化関連遺伝子が病態に関与していることが示唆された。さらに、非喫煙者EZH2・H3K27m3高発現群のほぼ全例で、Mucin3A(MUC3A)遺伝子のミスセンス変異を認めた。以上から、DNMT1、SAM等のメチル化関連分子が、EZH2・H3K27m3を介した喫煙者肺癌発症を規定している可能性が示唆された。また、MUC3Aが非喫煙者肺癌発症に関与している可能性が考えられた。現在SAMと早期肺癌の関係についての解析を進めている。得意な技術(ノウハウ)基礎研究臨床検体からのDNA、RNA抽出。全ゲノムシークエンスからのデータ解析。臨床研究臨床情報収集及び解析知的財産・論文・学会発表論文発表KoyamaNetal.miR-4448/Girdin/akt/AMPKaxisinhibitsEZH2-mediatedEMTandtumorigenesisinsmallcelllungcancer(submitted)学会発表1.小山信之他.喫煙者早期肺癌におけるEZH2発現とバイオマーカー探索.第64回日本肺癌学会学術集会(千葉市)2023年11月4日2.高久洋太郎他.喫煙者早期肺癌におけるEZH2発現とバイオマーカー同定.第64回日本呼吸器学会学術講演会(東京)2024年4月6日(予定)構成員研究概要間質性肺炎合併肺癌における肺癌発症メカニズムの解明とバイオマーカー探索呼吸器内科教授小山信之キーワード間質性肺炎、非小細胞肺癌、転写制御機構、ATAC-seq、CRISPR/Cas9
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