− 219 −金子恒樹1、大久保訓秀1、照井克生11麻酔学羊水塞栓症は一般的に臨床経過として心肺虚脱型と子宮型に分類されている。主な発症機序は羊水に対するアナフィラクトイド反応と考えられているが、詳細な病態生理は不明であり、治療は対処療法とならざるを得ない。本研究は、羊水塞栓症のアナフィラクトイド反応・凝固障害・臓器障害を一元的に説明する病態として、好中球・血小板・血小板活性化因子(PAF)の複合作用を切り口にして羊水塞栓症の病態生理を解明することにある。母体に侵入した羊水中のPAFは血管内皮細胞を傷害し、濃度依存性に好中球を活性化、血管透過性を亢進させてアナフィラクトイド反応を生じるとともに、PAFは時間依存性にも作用して血小板を活性化し好中球と複合体を形成して好中球細胞外トラップ(NETs)を誘導し、臓器障害や凝固障害を惹起すると着想した。さらには、病態生理に引き続き、我々が他の実験系で、血小板機能を正常化し抗炎症効果を明らかにしている血小板標的性ADP封入リポソーム(H12-ADPリポソーム、血小板代替物)がPAF誘導を抑えることで羊水塞栓症の治療が可能かについても検討する。得意な技術(ノウハウ)妊娠兎を帝王切開し羊水を採取、投与し羊水塞栓症モデルを作成する。血小板標的性ADP封入リポソーム(H12-ADPリポソーム、人工血小板)の作成。知的財産・論文・学会発表1.KanekoK.EarlytreatmentwithFibrinogenγ-chainpeptide-coated,ADP-incapsulatedLiposomes(H12-(ADP)-liposomes)amelioratespost-partumhemorrhagewithcoagulopathycausedbyamnioticfluidembolisminrabbits.AJOGGlobRep.2023Nov;3(4):100280.キーワード構成員研究概要羊水塞栓症病態の解明と治療法の検討麻酔科助教金子恒樹羊水塞栓症、NETs、H12-ADPリポソーム(血小板代替物)
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