− 267 −梅澤佑太1、金尾健人11国際医療センター泌尿器腫瘍科現在、転移進行腎癌の一次治療において、PD-1阻害薬にCTLA-4阻害薬を併用すべきか、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を併用すべきかの判断に迫られるが、治療選択に有用なバイオマーカーは存在しない。CTLA-4阻害薬は、プライミングフェーズにおいてT細胞の抑制シグナルを抑制する以外にも、抗腫瘍免疫応答を抑制する腫瘍浸潤Treg を除去する効果があると示唆されていることから、バイオマーカーの探索には、腫瘍浸潤Treg に着目することが重要と考えられる。Tregは機能的に不均一であることが知られており、effector Treg(eTreg)、naïve Treg、non-Tregのサブタイプに分類されるが、Treg 上にはCTLA-4だけではなく他の免疫チェックポイント分子やCCR4やCCR8といったケモカインレセプターなど、多くの機能分子も発現していることから、腫瘍浸潤Tregの定量と同時に、発現する機能分子を解析することも重要であると考えられる。本研究では「転移進行腎癌の一次治療にニボルマブ、イピリムマブ併用療法が奏功した患者と奏功しなかった患者との間で、腫瘍や末梢血におけるTreg の量や発現する機能分子にどのような違いがあり、それらを単独もしくは組み合わせることにより治療効果を予測するバイオマーカーとなり得るか」を解明する。当施設はニボルマブ、イピリムマブ併用療法を行う患者数が極めて多く、また治療奏功後に腎摘除術を行うことも多いことから、多数の臨床検体を使用した研究を行うことが出来る。研究分担者は固形癌に対するTreg 除去療法の開発研究を行っており、2012年にCCR4分子を成人T細胞白血病の治療標的分子としたCCR4抗体薬の上市に成功している。さらに研究分担者は日本における泌尿器病理診断の第一人者で、現在多くの臨床研究で中央病理医を務めており、本研究の病理学的妥当性が担保される。得意な技術(ノウハウ)転移進行腎癌、CTLA-4阻害薬、Treg構成員研究概要制御性T細胞の機能に着目した、進行腎癌一次治療の選択に有用なバイオマーカーの探索泌尿器腫瘍科助教梅澤佑太キーワード
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