埼玉医科大学研究シーズ集
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Murakami G, Hirasaki M, Murakoshi T. Comprehensive analysis of gene expression in a maternal immune activation mouse model of developmental disorders.第43回日本神経科学会.2020年7月.Meng HR, Suenaga T, Edamura M, Fukuda A, Ishida Y, Nakahara D, Murakami G*. Murakami G*, Edamura M, Furukawa T, Kawasaki H, Kosugi I, Fukuda A, Iwashita T, 医学部− 27 −村上元1、川村勇樹1、平﨑正孝2、村越隆之31教養教育、2がんゲノム医療科、3生化学発達障害は世界的に大きな社会問題である。しかしその発症機構には複数の遺伝子における遺伝的要因と環境的要因が絡み合っているため複雑でまだわかっていない。近年になり免疫特権であると考えられていた脳にも様々な免疫分子が存在し、神経細胞間結合の削除という神経細胞特異的な機能を併せもつことが明らかにされている。その中の1つである免疫応答で中心的な役割を担う主要組織適合遺伝子複合体(MHC、人ではHLA)も着目されており、発達障害患者の遺伝子を用いた研究でもMHC遺伝子が発達障害に関わることが多く報告されている。私はこれまでの研究において、発達障害に深く関わるドーパミン神経細胞にもMHCが発現し、ドーパミン神経細胞への興奮性神経結合を特異的に減少させることを明らかにした。興奮性神経結合と抑制性神経結合はバランスをとる事で脳機能は正常に保たれるが、MHCの機能欠損マウスは興奮性神経結合だけを減少させ、バランスが崩れる結果、薬物依存や発達障害様行動を引き起こすことを発見した。現在、様々な種類のMHCがドーパミン神経細胞に発現し、それぞれ異なる神経特異的な働きをしている事がわかってきている。将来的には、これ等の精神に深くかかわるドーパミン系神経細胞と免疫系の重要因子であるMHCの関係を調べることで、“精神と免疫の相互作用を明らかにする”ことを目指している。得意な技術(ノウハウ)マウス個体を用いた実験。マウスを用いた行動実験。知的財産・論文・学会発表学会発表/論文村上元.主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHCI)の機能欠損によるドーパミン系異常と精神疾患様行動.第2 回「オール埼玉医大研究の日」特別講演.2021年11月.Functional MHCI deficiency induces ADHD-like symptoms with increased dopamine D1 receptor expression. Brain Behav Immun. 2021, 97, 22-31. Nakahara D*. MHC class I in dopaminergic neurons suppresses relapse to reward seeking. Science Advances. 2018, 4, eaap7388.神経ドーパミン発達障害免疫構成員研究概要精神と免疫の相互作用を明らかにする教養教育講師村上元キーワード

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