大学病院− 94 −井上郁夫1,5,6、金子昌弘1、齊藤太吾1、水谷元1、池上裕一1、安田重光1、竹中康浩1、佐藤毅2、中野貴成3、池田正明4、山内洋子5,6、後藤誠一6、丸山義明5,6、富谷智明5、平崎正孝7、半田花恋8埼玉医科大学1内分泌・糖尿病内科、2口腔外科、3生化学、4生理学、5健康推進センター、6予防医学センター、7国際医療センターがんゲノム科、8保健医療学部我々が見出したPparγ1 のRNA産物スプライシングバリアント(SV)(図1A,B緑部)の蛋白質産物は、脂肪誘導に関連しないとされたPPARγ1と全く同し蛋白配列である。しかしながら、その機能が脂肪誘導に関連し得ることを以前明らかにした1)。加えてこの新規SVが時計遺伝子と関わることも見出してきた2,3)。我々はCre(recombinase)-loxP(target site)とFlp(recombinase)-FRT(target site)の2種類のrecombinaseとtarget siteの組み合せた全く新しい独自のコンストラクトを考案し、構築(図2の(2) (3) (5))した4)。そして、Cre発現マウスとFlp発現マウスとそれぞれを掛け合わせPparγ1特異的エクソンA1のKOマウス、Pparγ1特異的エクソンCのKOマウスを作製した(図3)。結果は、①エクソンCのKOホモマウスは胎生致死を認めず成長・成熟・繁殖し、②エクソンAのKOホモマウスは胎生15.5日齢以降そのメンデル比が乱れ胎生致死で、その原因が核内倍化異常であることが判明した4)。しかしながら、1/600の確率で生まれないはずのマウスが生まれることも明らかとなり、現在、量子力学のトンネル効果で説明している。以上の結果は、Pparγ1のプロモータ機能により胎内での生存日数が制御されていることが明らかとなった。加えてPparγ1のプロモータが妊娠維持機構に関与することから、これらを解析することで、ヒトでの流産、早産等の予防、治療の可能性が示唆される。得意な技術(ノウハウ)①培養細胞を用いた細胞分化誘導実験、②マウスES細胞の分化多能性と自己増殖性研究、③遺伝子改変ポテンシャルエネルギーモデル解析知的財産・論文・学会発表1)Takenaka Y, Inoue I, et al. PLoS One 2013; 8: e65583.2)Inoue I, et al. J Atheroscler Thromb 2005;12: 169-74.3)Takahashi S, Inoue I, et al. J Atheroscler Thromb 2010;7: 73-83. 4)Nakano T,Inoue I, et al. Dev Biol 2021; 478: 222-35.①特許出願等池田正明、井上郁夫、他. 新規Pparγプロモーター配列、及びその応用特願2009-116845.2009/05/13研究概要PPARɤ1、核内倍化、プロモータ、量子力学トンネル効果構成員PPARɤ1と核内倍化(妊娠維持機構)~新規プロモータKOマウスでの検討~内分泌内科・糖尿病内科教授井上郁夫キーワード
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