大型藻類個体群における配偶体/胞子体の存在比についての公式を発見

大型藻類個体群における配偶体/胞子体の存在比についての公式を発見

2024.03.26
リサーチハイライト
子を産むことで数が増え、死ぬことで数が減る、という特徴は、生物が示す最も基本的な性質といえます。ある時点での個体数とそこで生じる出生・死亡のイベントを数式で記述すれば将来的な個体数変化を予測できるのではないか、という発想は個体群生態学における基本的な考え方になっています。
 
本研究は、海藻などとして知られる大型藻類を対象として行われました。大型藻類ではしばしば、同一種からなる集団(個体群)が、「配偶体」と呼ばれるタイプの個体と「胞子体」と呼ばれるタイプの個体から構成されています。集団に2タイプの個体が入り混じっている、という性質のため、大型藻類の個体群について、その存続性や規模などがどのように決まるのか、という問題は一筋縄で扱うことができません。私はこの問題に対して数理モデルを解析する、という手法で取り組みました。
 
その結果、集団において配偶体(あるいは胞子体)が占める比率を決定する公式を導くことに成功しました。この公式によると、集団における比率は、対象種が示す有性生殖と無性生殖の能力に関連する三要素のバランスで決まります。さらに、対象種の個体群が長期間に渡り存続できるのか?存続できる場合にその規模はどの程度になるのか?という問いにも答えることができました。興味深いことに、疫学などで頻用される基本再生産数(R0)という指標が、大型藻類の個体群動態を理解するにあたり有用であることもわかりました。

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