論文掲載「がん細胞への細菌感染はがん免疫応答の起点となる」

論文掲載「がん細胞への細菌感染はがん免疫応答の起点となる」

2024.01.22
リサーチハイライト
埼玉医科大学医学部の堀内大講師、村上孝教授らの研究グループは、細胞内に細菌が感染したマウスメラノーマ(悪性黒色腫)細胞を接種すると、メラノーマ由来抗原に特異的な免疫応答が引き起こされることを発見しました。
 
メラノーマ(悪性黒色腫)注1)は代表的な難治性がんです。近年、新しい治療方法として、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が登場しましたが、奏功率は未だ満足できるものではなく、新たな切り口の治療法開発が求められています。
 
今回、同研究グループは、細胞内寄生菌であるSalmonella typhimurium注2)をメラノーマ細胞に感染させると、がん細胞が免疫細胞に認識されやすい形質を示すこと、その感染細胞をマウスに接種するとメラノーマ細胞に対する強力な免疫応答が引き起こされることを見出しました。細菌の細胞内感染を起点とする新しいがん免疫の賦活化方法は、新たながん免疫療法の開発につながるものとして期待されます。

注1)メラノーマ(悪性黒色腫)
皮膚や粘膜などに存在する色素細胞であるメラノサイトががん化した悪性腫瘍。

注2)Salmonella typhimurium
腸内細菌科サルモネラ属に分類される細菌。食中毒の原因菌の一つですが、本研究で用いた VNP-tdT 株は病原性が極めて低くなるよう弱毒化されています。

詳細はPDFにてご覧ください