子宮内膜細胞が胚発生に必要なオクタン酸を分泌することを発見

子宮内膜細胞が胚発生に必要なオクタン酸を分泌することを発見

2024.08.30
リサーチハイライト

胚の受け入れの新しい機能は栄養供給の準備

埼玉医科大学 医学部 中央研究施設の水野由美講師、同産科・婦人科梶原健教授と女子栄養大学栄養学部石原理教授らの研究グループは、子宮内膜細胞が脱落膜化という分化をする際に、胚発生に必要なオクタン酸(中鎖脂肪酸の一種)を分泌することを明らかにしました。このことは、母体側が行う胚の受け入れ準備について“ベッド”の準備以外にも“栄養供給”の準備という新たな機能を明らかにしています。また本研究結果は、反復流産や着床障害、不妊症の原因解明や治療応用に役立つ可能性があります。本研究は、Biomolecules誌に2024年8月16日に掲載されました。

<発表のポイント>
  • 子宮内膜細胞が脱落膜化という分化の際に胚発生に重要なオクタン酸を分泌する
  • 子宮内膜細胞は胚を受け入れるベッドとしての役割のほかにエネルギーも供給する
  • オクタン酸の分泌には子宮内膜のミトコンドリアが絶妙な調節を行っている
  • オクタン酸が存在すると子宮内膜への絨毛細胞浸潤が促進される
  • 本研究の内容は不妊症などの原因解明や治療に役立つ可能性がある
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