糖尿病の新たな治療標的Betageninを発見
2025.02.14
リサーチハイライト
膵β細胞の増殖を促進する革新的な糖尿病治療薬の開発に期待
■発表のポイント■
⊳ インスリン分泌を促進する消化管由来因子としてBetageninを同定し、このBetageninは膵β細胞の増殖およびアポトーシス注1)抑制作用も併せ持つことを明らかにした。
⊳ 細胞外に分泌されるアミノ酸配列に基づくBetageninペプチド注2)の合成に成功し、このBetageninペプチドは薬剤誘導性の糖尿病モデルマウスの病態を改善した。
⊳ マウスにBetageninを強制発現させると、糖尿病が改善し、膵β細胞量が回復した。
⊳ Betageninを標的とした創薬研究の発展により、新しい糖尿病治療薬の開発が期待できる。
⊳ インスリン分泌を促進する消化管由来因子としてBetageninを同定し、このBetageninは膵β細胞の増殖およびアポトーシス注1)抑制作用も併せ持つことを明らかにした。
⊳ 細胞外に分泌されるアミノ酸配列に基づくBetageninペプチド注2)の合成に成功し、このBetageninペプチドは薬剤誘導性の糖尿病モデルマウスの病態を改善した。
⊳ マウスにBetageninを強制発現させると、糖尿病が改善し、膵β細胞量が回復した。
⊳ Betageninを標的とした創薬研究の発展により、新しい糖尿病治療薬の開発が期待できる。

埼玉医科大学医学部中央研究施設の豊島秀男客員准教授、横尾友隆准教授、筑波大学医学医療系の島野仁教授、順天堂大学大学院医学研究科難病の診断と治療研究センターの岡﨑康司センター長、大阪大学大学院生命機能研究科の髙島成二教授らの共同研究グループは、消化管から分泌される生活習慣病に関連する液性因子を広く探索し、糖尿病治療の新たな候補分子としてインスリン分泌促進と膵β細胞注3)増殖促進の二つの作用を併せ持つ消化管由来ペプチドBetagenin(ベータジェニン)を発見しました。
Betageninは動物モデルで糖尿病を改善する効果があり、その作用機序を詳細に解析すると重要なことに、糖尿病によって減少した膵β細胞を再生することが明らかとなり、長期的な血糖コントロールを改善する画期的な治療法につながる可能性があります。
本研究成果は、Journal of Biological Chemistryのオンライン版に2025年1月16日(木)付で公開されました。
DOI:10.1016/j.jbc.2025.108202(https://doi.org/10.1016/j.jbc.2025.108202)
注1)アポトーシス 細胞が構成している組織をより良い状態に保つためのプログラム細胞死のこと。
注2)ペプチド 2つ以上のアミノ酸がペプチド結合でつながったもので、ホルモンや酵素など生理作用をもつものが知られている。
注3)膵β細胞 膵臓ランゲルハンス島にあり、インスリンを合成・分泌する細胞のこと。
- 【プレスリリース】糖尿病の新たな治療標的Betageninを発見