高校生の皆様へ 進路担当教授からのメッセージ -当学科における就活支援-

皆さん、こんにちは
本コラムでは、卒業後のさまざまな進路とそこに向かう就職活動をご紹介します。
はじめに ~臨床工学技士の重要性~
臨床工学技士の医療現場や企業での重要性はますます高まってきています。
それを端的に示す新聞記事を紹介します。2010年に臓器移植法が改正され、大幅に臓器提供件数が増えたにも関わらず、臨床工学技士の不足が原因の一つで移植手術が見送られることがあるというのです(読売新聞記事 、続報)。高度な手術現場では、臨床工学技士が欠かせないのに、絶対数が足りていないのです。
当学科では一人でも多くの卒業生を送り出すため、就職に関する支援(就活支援)に力を入れています。
臨床工学技士の仕事の詳しい中身は、本ウエブサイトの「よく頂く質問」や、臨床工学技士というプロフェッショナルが誕生したころの、まさに始まりの頃をご存じの「レジェンド」の先生方のインタビュー(Our professional stories)をご覧ください。
まずは、王道といってよい、病院への就職です。
患者さんの命を直接支える喜びと達成感は、何ものにも代えがたいものがあるのではないでしょうか。
病院就職は、これまでも当学科の基本的な就職先として、埼玉医大の擁する3病院に加え、埼玉県、東京都など首都圏全域、さらには学生さんの出身地に近い病院への就職にも多くの実績があります。
特に埼玉医大の3病院には3割を超える卒業生が就職しています(下図参照)。大学病院を持たない他校に比べると、本院クラスの大病院が3院もあることは本学の最大の特長といえます(病床数は2700床と全国屈指)。高度な最先端の医療現場での臨床経験が得られ、将来のキャリア形成にも大きな意味を持ちます。3年生での臨床実習は、この附属病院で完結しますし、近隣の臨床工学技士養成校の臨床実習も受け入れております。
実際、卒業した先輩たちが生き生きと働いている姿を、臨床実習で垣間見ることができ、実習で自身の働くイメージが固まったという人も多くいます。また、他の病院からも、本学の卒業生であるというだけで、安心感をもってくださっています。

就活支援としては、前述のレジェンド教員を含む臨床工学技士教員2名体制でエントリーシートの書き方、作法、模擬面接などを手厚くきっちりと行っています。なんといっても、臨床工学技士の業界を知り尽くした豊富な経験をもつ先生方ですので、採用する側の気持ちも汲んだ的確なアドバイスがなされ、学生さんたちにもとても好評です。また外部講師を招いての各種説明会なども開催しています。自分を見直し、各病院に見学に行き、自身にあったところはどこなのか、ときに病院選びに悩んだりする場合でも、親身に相談に乗って下さり、適切なアドバイスを頂けます。
さて、次は医療機器メーカなどへの就職です。
意外に思われるかもしれませんが、実は、医療機器メーカから熱心なオファーを多くいただいております。とくに大学病院をもつ本学で医学教育、臨床実習、卒業研究を学んだ学生さんを一人でも多く採用したいとおっしゃるメーカさんもあるのです。
実は、医療機器メーカの最前線では、現場の医師や技士さんたちときちんとコミュケーションをとって、メーカの持つ多くの製品群を的確に提供することが求められているのです。
共通言語である医学知識、医師や看護師、診療放射線技師などのコメディカルの働きを目の当たりにして学んだ医療の現場への理解、かつ、医療機器の工学的原理を把握している当学科の学生さんたちは、理工系学部を卒業した学生さんたちとは異なったアドバンテージを持っています。
学びの集大成としての臨床工学技士国家資格は企業就職においても重要で、中には国家資格取得が必須となる企業もあるくらいです。
実際の職種としては、技術・知識を生かした最前線のエンジニア職や、医療機器開発や製品の品質保証にも携わったりする場合もあります。また病院へ就職し、臨床経験を積んだのちに企業へ移るケースなどもあり、企業側の臨床工学技士への期待は高まるばかりです。
医療という大きな世界の中で、病院とは違った形で学びを生かし、患者さんのために新しい医療機器を提供するなんて、とても素敵なことではありませんか。
本学科には、トップメーカでの研究開発職(職歴30年以上)にあった教授を2名擁しています。企業在籍時に、面接を多く経験しており、企業面接の裏側、企業(人事・技術部門・役員レベル)が何を重要視しているか、面接でのNGワード、場合により企業研究も学生と一緒に行うなどなど、豊富な企業経験に裏打ちされた積極的な就活支援を行っています。今年も、医療機器メーカを招き、企業説明会を開催します。各企業の考え方を学ぶよい機会ですし、学生さんたちも自分の進路を真剣に考えるステップになります。
最後に、大学院進学について紹介します。進路の選択枝として、自身の研究をもう一歩進めたい、極めたいと希望する学生さんがいます。卒業研究で初めて取り組む「研究」というものの、奥深さや面白さに触れて、もっとやってみたいと思うのです。
修士課程修了後は、学部卒よりも専門性が一段と高まった状態で前述の病院や企業就職します。病院・企業でより上位の職位につくことも多いです。昇進のための条件になっているケースもあります。病院で働きながら、社会人修士課程を修める方も相当数いらっしゃいます。また数は多くはないものの、博士課程に進み、教員・研究者を目指すケースもあります。
大学院修了の場合、研究に対する向き合い方や自身の研究の方法論を会得しております。ですので、就職先でも課題解決に取り組む場合、「攻め方」や「解決のプラン」が自力で建てられる基礎力があります。むろん学会発表も経験しているので、論文の書き方、勘所もわかっています。
大学院進学は所属研究室の指導教員が支援するケースが多いのですが、中には他大学の大学院を目指す方もいて、その場合は、指導教員のみならず目指す大学に明るい教員が対応したりしています。
最後に
さて、卒業後の進路を3種類、紹介いたしました。
少しでも、具体的なイメージがわいてきたら幸いです。
当学科では、どの進路に対しても、経験豊富な教員が学生さんと真摯に向き合いサポートしています。
ぜひ当大学に来ていただき、私たちとともに学び、臨床工学技士として羽ばたいていってもらいたいと願っています。