人工心肺や集中治療など幅広い分野を担いながら、後輩育成にも携わる姿からは、臨床工学技士という仕事の責任とやりがいが伝わってきます。高校生の頃の「かっこいい」という憧れが、今では多くの命を支える力になっています。
塩野 憧 さんのご略歴
2019年3月 埼玉医科大学保健医療学部臨床工学科卒業臨床工学技士国家試験合格
2019年4月 自治医科大学附属さいたま医療センター (現在に至る)
はじめて知った、“命を支える仕事”
ここなら本気で学べると思えた場所
初めて埼玉医科大学を見学した際、実習室の後ろ半分を占めるほどの機器の多さが印象に残りました。その機器は実際の医療現場で使用していたものであり、学生時代は実際に触れて学ぶことができたのは恵まれていたと思います。
また臨床工学技士免許を持ち臨床経験のある先生が多くいることで、学業のみならず就職を考える際に相談しやすいと思い埼玉医科大学を志願しました。
“わからない”を乗り越えられた4年間
私は勉強が得意な方ではなかったのですが、わからないことをすぐに先生方に相談できる環境があったおかげで、理解を深めながら学ぶことができました。また、校内実習では臨床現場と想定し、規律や身なりに関しても厳しく指導を受けました。それは『信頼される医療人に成長してほしい』という思いのもとでの教えだったと感じています。実際の現場では、医療スタッフだけでなく、患者さんやご家族、業者の方とも関わるため、知識や技術に加えて、そうした姿勢がとても大切です。あの時の学びが今の自分にしっかり活きていると感じています。本物の現場で学べた経験
埼玉医科大学関連病院で臨床実習を行うことができたため、病院ごとの特徴や強みの違いを学びながら幅広い領域について実習を行えました。また卒業した先輩方もいるため接しやすかったのを覚えています。国際医療センターに関しては大学と同じ敷地内にあるため、不安なことがあれば実習の前後で先生のもとへ確認しに行くこともでき、心強かったです。
一緒に頑張った仲間がいたから
友達と一緒に試験勉強したり、実習のレポートを完成させたりと一緒にいる時間が長くなったことで仲良くなれたことが嬉しかったです。研究室があるため先輩後輩と関わる機会があり、先生とも仲良くなれるきっかけとなりました。また部活も多くあり、私はダンス部に所属していましたが学科を超え今でも大切な仲間ができました。部活と勉強の両立が大変でしたが、お互いの分野について知れることや趣味を充実できたことが思い出となっています。
手術室からICUまで、命をつなぐ仕事

現在私は人工心肺業務・手術室業務・透析室業務・集中治療業務・呼吸器業務・機器管理室業務と幅広く携わっています。現在は人工心肺の新人教育を担当しており、日勤・夜勤業務の他に緊急手術・緊急PCPS時の宅直も行っています。
機器の先にある“命”と向き合う
臨床工学技士の仕事は゛対機器゛となりますが、その機器とは患者さんの命に直結する「生命維持管理装置」です。機器の目の前には患者さんがいて私たちの力が救命に関与しているのだと感じることができます。医療機器の点検管理のみならず、呼吸・循環動態の変化に対し装置の操作を行う事や、私たちの視点から医師とディスカッションし最適な医療を提供できることは臨床工学技士としての魅力だと思います。
想像以上に頼られる仕事へ
臨床工学技士として働いてみて、想像していた以上に現場で頼りにされる存在であることを実感しました。その一方で、医療は日々進歩しているため、自分も常に勉強し続けないといけない仕事だと実感しています。実際の医療現場は私たちが思っている以上に多くの医療機器に囲まれています。私たちにとっては当たり前に理解していることでも、医師や看護師さんにはわからないこともあり、そこを支えるのが臨床工学技士の大切な役割です。大変な分やりがいのある仕事なので、ぜひ頑張ってください。

現場が語る、その実力-先輩技士からのメッセージ-
現代医療に医療機器は欠かせません。その医療機器を管理・操作するのが臨床工学技士ですが、医療を担うチームの一員であるため、機器の知識や技術だけでなく、人間性やコミュニケーション能力も求められます。塩野さんは、心臓や血管・肺・腎臓などの大事な臓器の病気を治療する大学病院の最前線で、あらゆる治療機器を操作・管理することができる臨床工学技士です。そして、医師や看護師へ安全な医療機器の操作方法の指導もしていて、皆から信頼される大きな存在です。埼玉医科大学保健医療学部臨床工学科は、塩野さんのように優秀な臨床工学技士を多く育てあげ、全国に送り出している養成校なのです。(百瀬直樹さん、CE経験年数:44年、役職:自治医科大学附属さいたま医療センター臨床工学部参与(前技師長)、日本体外循環技術医学会 前理事長)