埼玉医科大学雑誌 第48巻
埼玉医科大学雑誌 第48巻 第1号(令和3年8月発行)
原著
P1-11 | Effects of moderate intensity aerobic exercise on T and NK cells in patients
with hematological malignancies who have low physical activity |
Daiyu Kobayashi, et al |
Original
Effects of moderate intensity aerobic exercise on T and NK cells in patients
with hematological malignancies who have low physical activity
Daiyu Kobayashi1,2)*,Reiko Watanabe2,3),Morihiko Sagawa2),Mitsuru Yamamoto1),Masahiro Kizaki2)
1)Department of Rehabilitation, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
2)Department of Hematology, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
3)Department of Hematology, International University of Health and Welfare Narita Hospital
Although moderate intensity aerobic exercise (MIAE) is known to improve physical function and quality of life in patients with hematological malignancies, the effects on T cells and NK cells have not been fully studied. We sought to clarify the effects of MIAE on T cells and NK cells of patients with hematological malignancies in sterile rooms. We measured the population of T cells and NK cells at two points before and after MIAE in patients and healthy controls and evaluated physical activity using a triaxial accelerometer.In both groups, we observed a significant decrease in the CD4/8 ratio and CD4+/CD8-cells as % of total lymphocytes as well as increased CD4-/8+cells after MIAE. In the patient group, % CD56+/CD16+cells did not change between pre- and post-MIAE, although the percentage of CD4+/CD25+/Foxp3+cells and the CD4+fraction significantly decreased, unlike the control group.Patients with low physical activity were particularly associated with a decrease in the percentage of CD4+/CD25+/Foxp3+cells after MIAE. Our data suggest that MIAE may not be an optimal physical therapy for frail patients with low physical activity. However, further investigations are required to clarify the mechanisms by which MIAE alters T cells and NK cells in patients with hematological malignancies. Furthermore, we also need to examine whether MIAE affects their clinical outcomes.
J Saitama Medical University 2021; 48(1): 1-11
(Received October 28, 2020/Accepted December 24, 2020)
Keywords: hematological malignancies, T cells, NK cells, moderate intensity aerobic exercise, physical activity
Effects of moderate intensity aerobic exercise on T and NK cells in patients
with hematological malignancies who have low physical activity
Daiyu Kobayashi1,2)*,Reiko Watanabe2,3),Morihiko Sagawa2),Mitsuru Yamamoto1),Masahiro Kizaki2)
1)Department of Rehabilitation, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
2)Department of Hematology, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
3)Department of Hematology, International University of Health and Welfare Narita Hospital
Although moderate intensity aerobic exercise (MIAE) is known to improve physical function and quality of life in patients with hematological malignancies, the effects on T cells and NK cells have not been fully studied. We sought to clarify the effects of MIAE on T cells and NK cells of patients with hematological malignancies in sterile rooms. We measured the population of T cells and NK cells at two points before and after MIAE in patients and healthy controls and evaluated physical activity using a triaxial accelerometer.In both groups, we observed a significant decrease in the CD4/8 ratio and CD4+/CD8-cells as % of total lymphocytes as well as increased CD4-/8+cells after MIAE. In the patient group, % CD56+/CD16+cells did not change between pre- and post-MIAE, although the percentage of CD4+/CD25+/Foxp3+cells and the CD4+fraction significantly decreased, unlike the control group.Patients with low physical activity were particularly associated with a decrease in the percentage of CD4+/CD25+/Foxp3+cells after MIAE. Our data suggest that MIAE may not be an optimal physical therapy for frail patients with low physical activity. However, further investigations are required to clarify the mechanisms by which MIAE alters T cells and NK cells in patients with hematological malignancies. Furthermore, we also need to examine whether MIAE affects their clinical outcomes.
J Saitama Medical University 2021; 48(1): 1-11
(Received October 28, 2020/Accepted December 24, 2020)
Keywords: hematological malignancies, T cells, NK cells, moderate intensity aerobic exercise, physical activity
P12-17 | 透析患者における遊離皮弁再建手術症例を伴う頭頸部癌治療の有用性の検討 | 井上 準,他 |
原 著
透析患者における遊離皮弁再建手術症例を伴う頭頸部癌治療の有用性の検討
井上 準*,久場 潔実,林 崇弘,小柏 靖直,蝦原 康宏,中平 光彦,菅澤 正
埼玉医科大学国際医療センター 頭頸部腫瘍科・耳鼻咽喉科
〔令和2年7月9日受付/令和3年2月1日受理〕
我が国の透析患者数は年々増加し2017年には33万人を超え,透析技術・管理の進歩に伴い長期生存が可能となっており,高齢透析患者の増加と共に悪性腫瘍の治療機会が増加することが予想される.当然ながら,透析患者に対する手術治療に関してはさまざまな合併症やリスクがあるが,頭頸部癌領域において透析患者に関する手術治療に関する報告は少ない.
そこで,今回我々は透析中の患者に対して侵襲の高い頭頸部癌外科治療を行った場合の利益やリスクを知ることを目的として,透析中の患者に当院で遊離皮弁再建を伴う頭頸部癌手術を行った症例について検討を行った.対象は,2007年4月から2018年12月まで当院で遊離皮弁再建手術を行った慢性透析患者10例とした(男性6例,女性4例,平均年齢71.3歳),原発部位は口腔癌7例,喉頭癌1例,下咽頭癌1例,顎下腺癌1例であった.維持透析期間は平均3.7年で術後合併症は60%に認めた.3年粗生存率は30%,3年疾患特異的生存率は54.9%であった.当院舌遊離皮弁再建症例との比較では3年粗生存率で有意に舌再建症例の方が良好な結果であった(P=0.01)が,一方3年疾患特異的生存率では有意差を認めなかった(P=0.38).また,局所制御率は90%と良好な結果であった.
術後合併症のリスクは増加するものの,予後,局所制御に関しては癌の良好な制御が得られるため,透析患者においても遊離皮弁再建を伴う頭頸部癌外科治療は有用であると考える.
J Saitama Medical University 2021; 48(1): 12 -17
(Received July 9, 2020/Accepted February 1, 2021)
Keywords: head and neck cancer, free flap reconstructive surgery, maintenance dialysis, complications
透析患者における遊離皮弁再建手術症例を伴う頭頸部癌治療の有用性の検討
井上 準*,久場 潔実,林 崇弘,小柏 靖直,蝦原 康宏,中平 光彦,菅澤 正
埼玉医科大学国際医療センター 頭頸部腫瘍科・耳鼻咽喉科
〔令和2年7月9日受付/令和3年2月1日受理〕
我が国の透析患者数は年々増加し2017年には33万人を超え,透析技術・管理の進歩に伴い長期生存が可能となっており,高齢透析患者の増加と共に悪性腫瘍の治療機会が増加することが予想される.当然ながら,透析患者に対する手術治療に関してはさまざまな合併症やリスクがあるが,頭頸部癌領域において透析患者に関する手術治療に関する報告は少ない.
そこで,今回我々は透析中の患者に対して侵襲の高い頭頸部癌外科治療を行った場合の利益やリスクを知ることを目的として,透析中の患者に当院で遊離皮弁再建を伴う頭頸部癌手術を行った症例について検討を行った.対象は,2007年4月から2018年12月まで当院で遊離皮弁再建手術を行った慢性透析患者10例とした(男性6例,女性4例,平均年齢71.3歳),原発部位は口腔癌7例,喉頭癌1例,下咽頭癌1例,顎下腺癌1例であった.維持透析期間は平均3.7年で術後合併症は60%に認めた.3年粗生存率は30%,3年疾患特異的生存率は54.9%であった.当院舌遊離皮弁再建症例との比較では3年粗生存率で有意に舌再建症例の方が良好な結果であった(P=0.01)が,一方3年疾患特異的生存率では有意差を認めなかった(P=0.38).また,局所制御率は90%と良好な結果であった.
術後合併症のリスクは増加するものの,予後,局所制御に関しては癌の良好な制御が得られるため,透析患者においても遊離皮弁再建を伴う頭頸部癌外科治療は有用であると考える.
J Saitama Medical University 2021; 48(1): 12 -17
(Received July 9, 2020/Accepted February 1, 2021)
Keywords: head and neck cancer, free flap reconstructive surgery, maintenance dialysis, complications
P18-22 | 最重症型重症心身障害児における血清β2 ミクログロブリンを用いた
推算糸球体濾過量の検討 |
飛田和えりか,他 |
原 著
最重症型重症心身障害児における血清β2 ミクログロブリンを用いた
推算糸球体濾過量の検討
飛田和 えりか,荒尾 正人,秋岡 祐子*
埼玉医科大学病院 小児科
〔令和2年10月14日受付/令和3年2月16日受理〕
小児のGFR 推算値(eGFR)算出には,血清クレアチニン(sCr)と身長を用いた男女別のGFR 推算式が頻用されている.ただし,筋肉量が極端に少ない重症心身障害児のeGFR はsCysC で算出することが推奨されている.またその後に作成されたsβ2MG eGFR も筋肉量が少ない患者に適用しうるとされているが,sCysC eGFR とsβ2MG eGFR の整合性は検討されていない.本研究の目的は重症心身障害児におけるsβ2MG を用いた推算式の有用性を明らかにすることである.
【方法】埼玉医科大学病院小児科で在宅医療管理を行っている15歳未満の大島分類1に該当する重症心身障害児12例を対象とした.非感染時の定期受診時におけるsCr,sCysC,sβ2MG 値から算出したeGFR を比較検討した.
【結果】対象年齢は中央値3.7歳,身長は中央値-3.7SD,体重は中央値11.8kgであった.各eGFR の中央値は,sCreGFR 113.1,sCysC eGFR 117.6,sβ2MG eGFR 81.9 ml/min/1.73 m2であった.sCysC eGFR とsβ2MG eGFR の間には,強い正の相関が認められ(r=0.9091, p<0.0001),sβ2MG eGFR は対応するsCysC eGFR よりも全例において有意に低値だった(p<0.0001).sβ2MG が上昇しsβ2MG eGFR が低下する要因として,潜在する炎症性疾患が関与する可能性について検討し,非発熱時で感染徴候がないにもかかわらず7例(70%)にCRP の上昇を認めたことから,体温や血液検査では現れない慢性炎症がsβ2MG の上昇に少なからず影響している可能性が考えられた.
【結論】大島分類1の重症心身障害児では,sβ2MG eGFR はsCysC eGFR より低値であった.sCysC とsβ2MG に影響を及ぼす各因子を十分に検討し腎機能を評価する必要がある.
J Saitama Medical University 2021; 48(1): 18- 22
(Received October 14, 2020/Accepted February 16, 2021)
Keywords: severe motor and intellectual disabilities, serum beta-2 microglobulin, serum cystatin C, serum creatinine,estimated glomerular filtration rate
最重症型重症心身障害児における血清β2 ミクログロブリンを用いた
推算糸球体濾過量の検討
飛田和 えりか,荒尾 正人,秋岡 祐子*
埼玉医科大学病院 小児科
〔令和2年10月14日受付/令和3年2月16日受理〕
小児のGFR 推算値(eGFR)算出には,血清クレアチニン(sCr)と身長を用いた男女別のGFR 推算式が頻用されている.ただし,筋肉量が極端に少ない重症心身障害児のeGFR はsCysC で算出することが推奨されている.またその後に作成されたsβ2MG eGFR も筋肉量が少ない患者に適用しうるとされているが,sCysC eGFR とsβ2MG eGFR の整合性は検討されていない.本研究の目的は重症心身障害児におけるsβ2MG を用いた推算式の有用性を明らかにすることである.
【方法】埼玉医科大学病院小児科で在宅医療管理を行っている15歳未満の大島分類1に該当する重症心身障害児12例を対象とした.非感染時の定期受診時におけるsCr,sCysC,sβ2MG 値から算出したeGFR を比較検討した.
【結果】対象年齢は中央値3.7歳,身長は中央値-3.7SD,体重は中央値11.8kgであった.各eGFR の中央値は,sCreGFR 113.1,sCysC eGFR 117.6,sβ2MG eGFR 81.9 ml/min/1.73 m2であった.sCysC eGFR とsβ2MG eGFR の間には,強い正の相関が認められ(r=0.9091, p<0.0001),sβ2MG eGFR は対応するsCysC eGFR よりも全例において有意に低値だった(p<0.0001).sβ2MG が上昇しsβ2MG eGFR が低下する要因として,潜在する炎症性疾患が関与する可能性について検討し,非発熱時で感染徴候がないにもかかわらず7例(70%)にCRP の上昇を認めたことから,体温や血液検査では現れない慢性炎症がsβ2MG の上昇に少なからず影響している可能性が考えられた.
【結論】大島分類1の重症心身障害児では,sβ2MG eGFR はsCysC eGFR より低値であった.sCysC とsβ2MG に影響を及ぼす各因子を十分に検討し腎機能を評価する必要がある.
J Saitama Medical University 2021; 48(1): 18- 22
(Received October 14, 2020/Accepted February 16, 2021)
Keywords: severe motor and intellectual disabilities, serum beta-2 microglobulin, serum cystatin C, serum creatinine,estimated glomerular filtration rate
P23-28 | MRI 検査時のチアミラールによる鎮静の効果と安全性 | 野々宮瑞紀,他 |
原 著
MRI 検査時のチアミラールによる鎮静の効果と安全性
野々宮 瑞紀1),植田 穣1),秋岡 祐子1),徳山 研一1),山内 秀雄1,2)*
1)埼玉医科大学病院 小児科
2)埼玉医科大学病院 てんかんセンター
〔令和3年2月9日受付/令和3年5月28日受理〕
【背景】MRI 検査は小児の診療に有益な情報をもたらす画像検査法であるが,良質な画像を得るためには体動の抑制のため鎮静が必要な場合が多い.しかし鎮静剤使用においては呼吸抑制などの合併症が報告され,小児の鎮静下MRI検査は十分な安全管理下で施行する必要がある.本研究の目的はMRI検査時の鎮静をチアミラール投与によって行った場合の有効性と安全性を後方視的に検討することによって,安全に小児のMRI検査時の鎮静を実施する際の一知見を得ることである.
【方法】対象は2017年1月~12月に鎮静によるMRI検査目的に当科に入院した患者を,診療録を用いて後方視的に検討した.検討項目は,年齢,性別,鎮静の理由,チアミラール総投与量,合併症,MRI画像の質とし,鎮静に伴う合併症の有無から対象を2群に分類し,合併症発症にかかわる因子を検討した.検査施行中の呼吸状態は,パルスオキシメーターによる経皮的酸素飽和度を指標とした.
【結果】対象は57例であった.対象の平均年齢は平均2歳10か月,男児31例(54.4%),女児26例(45.6%)であった.疾患領域の内訳は中枢神経疾患が35例(61.4%)で最も多かった.鎮静時の平均チアミラール総投与量は4.3 ± 2.1 mg/kg,平均検査時間は33.9 ± 10.8分間であった.MRI画像の質の評価は,全例体動の影響がない画像と判定した.鎮静に伴う合併症は呼吸抑制を4例(7.0%)に認めた.呼吸抑制あり群,呼吸抑制なし群に分類し2群の比較を行った結果,呼吸抑制あり群ではチアミラール総投与量が有意に高かった(p=0.0098).また,チアミラール総投与量が5mg/kg 以上となった症例は15例あり,このうち2例に呼吸抑制を認めた.5mg/kg 未満であった症例は42例であり,2例に呼吸抑制がみられた.チアミラール総投与量 5mg/kg 以上を投与した場合,5mg/kg 未満の場合よりも呼吸抑制出現が統計的に有意に多いことが示された(p=0.023).呼吸抑制は酸素投与を必要としたが,時間経過とともに改善し,重大な合併症には至らなかった.検査時間は,呼吸抑制あり群が呼吸抑制なし群に比べて有意に長かった(p=0.0078).
【結論】MRI検査時の鎮静において,チアミラール総投与量が 5mg/kg 以上では呼吸抑制を来たす可能性が高い.より安全に検査を行うためにはその投与量に留意することが重要である.
J Saitama Medical University 2021; 48(1): 23 -28
(Received February 9, 2021/Accepted May 28, 2021)
Keywords: MRI, thiamylal, sedation, respiratory depression
MRI 検査時のチアミラールによる鎮静の効果と安全性
野々宮 瑞紀1),植田 穣1),秋岡 祐子1),徳山 研一1),山内 秀雄1,2)*
1)埼玉医科大学病院 小児科
2)埼玉医科大学病院 てんかんセンター
〔令和3年2月9日受付/令和3年5月28日受理〕
【背景】MRI 検査は小児の診療に有益な情報をもたらす画像検査法であるが,良質な画像を得るためには体動の抑制のため鎮静が必要な場合が多い.しかし鎮静剤使用においては呼吸抑制などの合併症が報告され,小児の鎮静下MRI検査は十分な安全管理下で施行する必要がある.本研究の目的はMRI検査時の鎮静をチアミラール投与によって行った場合の有効性と安全性を後方視的に検討することによって,安全に小児のMRI検査時の鎮静を実施する際の一知見を得ることである.
【方法】対象は2017年1月~12月に鎮静によるMRI検査目的に当科に入院した患者を,診療録を用いて後方視的に検討した.検討項目は,年齢,性別,鎮静の理由,チアミラール総投与量,合併症,MRI画像の質とし,鎮静に伴う合併症の有無から対象を2群に分類し,合併症発症にかかわる因子を検討した.検査施行中の呼吸状態は,パルスオキシメーターによる経皮的酸素飽和度を指標とした.
【結果】対象は57例であった.対象の平均年齢は平均2歳10か月,男児31例(54.4%),女児26例(45.6%)であった.疾患領域の内訳は中枢神経疾患が35例(61.4%)で最も多かった.鎮静時の平均チアミラール総投与量は4.3 ± 2.1 mg/kg,平均検査時間は33.9 ± 10.8分間であった.MRI画像の質の評価は,全例体動の影響がない画像と判定した.鎮静に伴う合併症は呼吸抑制を4例(7.0%)に認めた.呼吸抑制あり群,呼吸抑制なし群に分類し2群の比較を行った結果,呼吸抑制あり群ではチアミラール総投与量が有意に高かった(p=0.0098).また,チアミラール総投与量が5mg/kg 以上となった症例は15例あり,このうち2例に呼吸抑制を認めた.5mg/kg 未満であった症例は42例であり,2例に呼吸抑制がみられた.チアミラール総投与量 5mg/kg 以上を投与した場合,5mg/kg 未満の場合よりも呼吸抑制出現が統計的に有意に多いことが示された(p=0.023).呼吸抑制は酸素投与を必要としたが,時間経過とともに改善し,重大な合併症には至らなかった.検査時間は,呼吸抑制あり群が呼吸抑制なし群に比べて有意に長かった(p=0.0078).
【結論】MRI検査時の鎮静において,チアミラール総投与量が 5mg/kg 以上では呼吸抑制を来たす可能性が高い.より安全に検査を行うためにはその投与量に留意することが重要である.
J Saitama Medical University 2021; 48(1): 23 -28
(Received February 9, 2021/Accepted May 28, 2021)
Keywords: MRI, thiamylal, sedation, respiratory depression
症例報告
P29-33 | 同種造血幹細胞移植後にアデノウイルス出血性膀胱炎による腎後性腎不全を発症し,
外科治療により改善が得られた急性骨髄性白血病の一例 |
阿南 朋恵,他 |
症例報告
同種造血幹細胞移植後にアデノウイルス出血性膀胱炎による腎後性腎不全を発症し,
外科治療により改善が得られた急性骨髄性白血病の一例
阿南 朋恵,木村 勇太,田中 佑加*,富川 武樹,
渡部 玲子,得平 道英,木崎 昌弘
埼玉医科大学総合医療センター 血液内科
〔令和2年12月7日受付/令和3年3月25日受理〕
急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia: AML)に対する同種造血幹細胞移植後にアデノウイルス出血性膀胱炎(hemorrhagic cystitis: HC)を発症し,外科治療により腎後性腎不全が改善した55歳男性の症例を報告する.症例はAMLに対する同種造血幹細胞移植後に慢性移植片対宿主病(graft versus host disease: GVHD)を発症し,プレドニゾロン(PSL)投与中であった.移植後117日に肉眼的血尿と凝血塊による膀胱タンポナーデ,腎後性腎不全を認め,定量polymerase chain reaction法による尿検査でアデノウイルスHCと診断した.保存的治療では改善せず,両側尿管皮膚ろう造設術により腎後性腎不全が改善し,その後PSL減量によりアデノウイルスHCは軽快した.アデノウイルスHCに対して速やかに外科治療が介入することで,AMLの移植後患者においてもHCの重症化を回避し長期生存に繋がる可能性が示唆された.
同種造血幹細胞移植後にアデノウイルス出血性膀胱炎による腎後性腎不全を発症し,
外科治療により改善が得られた急性骨髄性白血病の一例
阿南 朋恵,木村 勇太,田中 佑加*,富川 武樹,
渡部 玲子,得平 道英,木崎 昌弘
埼玉医科大学総合医療センター 血液内科
〔令和2年12月7日受付/令和3年3月25日受理〕
急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia: AML)に対する同種造血幹細胞移植後にアデノウイルス出血性膀胱炎(hemorrhagic cystitis: HC)を発症し,外科治療により腎後性腎不全が改善した55歳男性の症例を報告する.症例はAMLに対する同種造血幹細胞移植後に慢性移植片対宿主病(graft versus host disease: GVHD)を発症し,プレドニゾロン(PSL)投与中であった.移植後117日に肉眼的血尿と凝血塊による膀胱タンポナーデ,腎後性腎不全を認め,定量polymerase chain reaction法による尿検査でアデノウイルスHCと診断した.保存的治療では改善せず,両側尿管皮膚ろう造設術により腎後性腎不全が改善し,その後PSL減量によりアデノウイルスHCは軽快した.アデノウイルスHCに対して速やかに外科治療が介入することで,AMLの移植後患者においてもHCの重症化を回避し長期生存に繋がる可能性が示唆された.
The effects of surgical treatment on post-renal failure caused by the adenovirus
hemorrhagic cystitis of acute myeloid leukemia after allogeneic
hematopoietic stem cell transplantation
Tomoe Anan, Yuta Kimura, Yuka Tanaka*, Tatsuki Tomikawa,
Reiko Watanabe, Michihide Tokuhira, Masahiro Kizaki
Department of Hematology, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
J Saitama Medical University 2021; 48(1): 29 -33
(Received December 7, 2020/Accepted March 25, 2021)
Keywordsoral: adenovirus hemorrhagic cystitis, acute myeloid leukemia, allogeneic hematopoietic stem cell transplantation,graft versus host disease, cutaneous ureterostomy
hemorrhagic cystitis of acute myeloid leukemia after allogeneic
hematopoietic stem cell transplantation
Tomoe Anan, Yuta Kimura, Yuka Tanaka*, Tatsuki Tomikawa,
Reiko Watanabe, Michihide Tokuhira, Masahiro Kizaki
Department of Hematology, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
J Saitama Medical University 2021; 48(1): 29 -33
(Received December 7, 2020/Accepted March 25, 2021)
Keywordsoral: adenovirus hemorrhagic cystitis, acute myeloid leukemia, allogeneic hematopoietic stem cell transplantation,graft versus host disease, cutaneous ureterostomy
医学研究センター
P35-36 | 医学研究センター | 片桐 岳信 | |
P37-38 | 研究主任部門 | 海老原 康博 | |
P39-40 | 研究支援管理部門 | 小谷 典弘 | |
P41-42 | 共同利用施設運営部門 | 坂本 安 | |
P43-45 | 安全管理部門 | 三谷 幸之介 | |
P46 | フェローシップ部門 | 片桐 岳信 | |
P47-48 | 研究評価部門 | 椎橋 実智男 | |
一括 | 医学研究センターPDF |
表紙PDF 目次PDF 奥付PDF 投稿規定
埼玉医科大学雑誌 第48巻 第2号(令和4年3月発行)
原著
P71-78 | 胸腰椎骨折患者における強直性脊椎疾患と大動脈損傷の合併に関する臨床的検討 | 米本 直史,他 |
原 著
胸腰椎骨折患者における強直性脊椎疾患と大動脈損傷の合併に関する臨床的検討
米本 直史1,2)*,井口 浩一1),澤野 誠1)
1)埼玉医科大学総合医療センター 高度救命救急センター
2)彩の国東大宮メディカルセンター 整形外科
〔令和3年6月11日受付/令和3年9月16日受理〕
緒言:強直性脊椎疾患(Ankylosing spinal disorder:以下ASD)患者における胸腰椎骨折の合併症として大動脈損傷が知られているが,その頻度は報告されていない.本研究の目的は,胸腰椎骨折における大動脈損傷の合併頻度を調べ,ASD患者群と非ASD患者群を比較検討することである.
方法:2014年から2017年に当院で手術治療した胸腰椎骨折143例を対象とした.14例はASD群,129例は非ASD群であった.
結果:大動脈損傷は6例に見られ,4例がASD群,2例が非ASD群であった.大動脈損傷合併率はASD群で28.57%,非ASD群で1.55%であった.ASD群のほうが有意に合併頻度は高く,Odds ratio は25.4倍(95%信頼区間:4.13~156)であった.ASD群の方が非ASD群より大動脈石灰化が強い傾向にあり,大動脈損傷の部位は大動脈石灰化の部位との重複がみられた.AO Spine Thoracolumbar Injury Classification System による骨折型分類では,大動脈損傷患者はB2とB3に限られており,B3の方が大動脈損傷を合併しやすい傾向にあった.ASD患者における骨折形態は,前方伸延損傷(B3)が多数を占めていた.
結論:ASDは胸腰椎骨折における大動脈損傷合併の有意な予測因子であった.ASD患者が大動脈損傷を合併しやすい要因として,大動脈石灰化や前方伸延損傷が考えられた.本研究は単施設の救命救急センターに搬送された重症外傷患者を対象としており,対象患者の偏りが結果に影響を与えた可能性に留意しないといけない.
胸腰椎骨折患者における強直性脊椎疾患と大動脈損傷の合併に関する臨床的検討
米本 直史1,2)*,井口 浩一1),澤野 誠1)
1)埼玉医科大学総合医療センター 高度救命救急センター
2)彩の国東大宮メディカルセンター 整形外科
〔令和3年6月11日受付/令和3年9月16日受理〕
緒言:強直性脊椎疾患(Ankylosing spinal disorder:以下ASD)患者における胸腰椎骨折の合併症として大動脈損傷が知られているが,その頻度は報告されていない.本研究の目的は,胸腰椎骨折における大動脈損傷の合併頻度を調べ,ASD患者群と非ASD患者群を比較検討することである.
方法:2014年から2017年に当院で手術治療した胸腰椎骨折143例を対象とした.14例はASD群,129例は非ASD群であった.
結果:大動脈損傷は6例に見られ,4例がASD群,2例が非ASD群であった.大動脈損傷合併率はASD群で28.57%,非ASD群で1.55%であった.ASD群のほうが有意に合併頻度は高く,Odds ratio は25.4倍(95%信頼区間:4.13~156)であった.ASD群の方が非ASD群より大動脈石灰化が強い傾向にあり,大動脈損傷の部位は大動脈石灰化の部位との重複がみられた.AO Spine Thoracolumbar Injury Classification System による骨折型分類では,大動脈損傷患者はB2とB3に限られており,B3の方が大動脈損傷を合併しやすい傾向にあった.ASD患者における骨折形態は,前方伸延損傷(B3)が多数を占めていた.
結論:ASDは胸腰椎骨折における大動脈損傷合併の有意な予測因子であった.ASD患者が大動脈損傷を合併しやすい要因として,大動脈石灰化や前方伸延損傷が考えられた.本研究は単施設の救命救急センターに搬送された重症外傷患者を対象としており,対象患者の偏りが結果に影響を与えた可能性に留意しないといけない.
A study on the association between ankylosing spinal disorder and
aortic injury in patients with thoracolumbar fracture
Naofumi Yonemoto1, 2)*, Koichi Inokuchi1), Makoto Sawano1)
1) Department of Emergency and Critical Care Medicine, Saitama Medical Center,
Saitama Medical University
2) Department of Orthopaedic Surgery, Sainokuni Higashiomiya Medical Center
J Saitama Medical University 2022; 48(2): 71-78
(Received June 11, 2021/Accepted September 16, 2021)
Keywords: ankylosing spinal disorders, aortic injury, thoracolumbar fracture
aortic injury in patients with thoracolumbar fracture
Naofumi Yonemoto1, 2)*, Koichi Inokuchi1), Makoto Sawano1)
1) Department of Emergency and Critical Care Medicine, Saitama Medical Center,
Saitama Medical University
2) Department of Orthopaedic Surgery, Sainokuni Higashiomiya Medical Center
J Saitama Medical University 2022; 48(2): 71-78
(Received June 11, 2021/Accepted September 16, 2021)
Keywords: ankylosing spinal disorders, aortic injury, thoracolumbar fracture
症例報告
P79-84 | 全身拡散強調MRIで病勢評価し,ペムブロリズマブおよび放射線療法
を含む集学的治療を行うことで完全寛解が得られた進行上部尿路上皮癌(cT4N2M0)の1例 |
水田 瞳美,他 |
症例報告
全身拡散強調MRIで病勢評価し,ペムブロリズマブおよび放射線療法
を含む集学的治療を行うことで完全寛解が得られた進行上部尿路上皮癌(cT4N2M0)の1例
水田 瞳美,竹下 英毅*,鈴木 海,立花 康次郎,香川 誠,杉山 博紀,
中山 貴之,矢野 晶大,岡田 洋平,諸角 誠人,川上 理
埼玉医科大学総合医療センター 泌尿器科
〔令和3年4月15日受付/令和3年10月1日受理〕
79歳女性.左水腎症及び長径8.3cm の左骨盤腫瘤が偶然発見され紹介受診した.尿沈渣で異形細胞を認めたが,膀胱内視鏡検査及び尿細胞診検査で異常を認めなかった.全身拡散強調MRI(DWIBS: diffusion-weighted whole body imaging with background suppression)で左骨盤腫瘍と傍大動静脈・両側総腸骨・正中仙骨リンパ節転移を認め,左尿管癌cT4N2M0 と診断した.集学的治療を行い,治療効果はDWIBSでモニターする方針とした.ゲムシタビン・カルボプラチン療法による導入治療3サイクルで原発巣・リンパ節転移ともに部分奏効(PR)が得られ,7サイクルで原発巣はPRのままであったがリンパ節が完全奏効(CR)したため,左腎尿管全摘・左後腹膜リンパ節郭清術を施行した.病理学的には,原発巣の尿管外へ浸潤した部位に残存腫瘍を認めたが,郭清したリンパ節に癌を認めず,DWIBSでの可視病変は完全に切除したと考えられた.しかし術後3ヶ月のDWIBS で傍大動脈・左内腸骨リンパ節に再発を認めたため,大動脈周囲および骨盤領域に54Gyの救済照射を施行し,引き続きペムブロリズマブを開始した.4サイクルで再発リンパ節がCRとなり,現在計26サイクルを施行し19ヶ月間CRを継続している.DWIBSによる精密な病勢モニターに基づき治療のタイミングを最適化させ,放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬とを併用することで,進行上部尿路上皮癌の予後の改善が期待される.
全身拡散強調MRIで病勢評価し,ペムブロリズマブおよび放射線療法
を含む集学的治療を行うことで完全寛解が得られた進行上部尿路上皮癌(cT4N2M0)の1例
水田 瞳美,竹下 英毅*,鈴木 海,立花 康次郎,香川 誠,杉山 博紀,
中山 貴之,矢野 晶大,岡田 洋平,諸角 誠人,川上 理
埼玉医科大学総合医療センター 泌尿器科
〔令和3年4月15日受付/令和3年10月1日受理〕
79歳女性.左水腎症及び長径8.3cm の左骨盤腫瘤が偶然発見され紹介受診した.尿沈渣で異形細胞を認めたが,膀胱内視鏡検査及び尿細胞診検査で異常を認めなかった.全身拡散強調MRI(DWIBS: diffusion-weighted whole body imaging with background suppression)で左骨盤腫瘍と傍大動静脈・両側総腸骨・正中仙骨リンパ節転移を認め,左尿管癌cT4N2M0 と診断した.集学的治療を行い,治療効果はDWIBSでモニターする方針とした.ゲムシタビン・カルボプラチン療法による導入治療3サイクルで原発巣・リンパ節転移ともに部分奏効(PR)が得られ,7サイクルで原発巣はPRのままであったがリンパ節が完全奏効(CR)したため,左腎尿管全摘・左後腹膜リンパ節郭清術を施行した.病理学的には,原発巣の尿管外へ浸潤した部位に残存腫瘍を認めたが,郭清したリンパ節に癌を認めず,DWIBSでの可視病変は完全に切除したと考えられた.しかし術後3ヶ月のDWIBS で傍大動脈・左内腸骨リンパ節に再発を認めたため,大動脈周囲および骨盤領域に54Gyの救済照射を施行し,引き続きペムブロリズマブを開始した.4サイクルで再発リンパ節がCRとなり,現在計26サイクルを施行し19ヶ月間CRを継続している.DWIBSによる精密な病勢モニターに基づき治療のタイミングを最適化させ,放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬とを併用することで,進行上部尿路上皮癌の予後の改善が期待される.
Advanced node-positive upper urinary tract urothelial carcinoma successfully treated
with multimodal therapy, including pembrolizumab and radiotherapy,
under the surveillance of diffusion-weighted whole-body magnetic resonance imaging
Hitomi Mizuta, Hideki Takeshita*, Kai Suzuki, Kojiro Tachibana, Makoto Kagawa, Hironori Sugiyama,
Takayuki Nakayama, Akihiro Yano, Yohei Okada, Makoto Morozumi, Satoru Kawakami
Department of Urology, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
J Saitama Medical University 2022; 48(2): 79 - 84
(Received April 15, 2021/Accepted October 1, 2021)
Keywordsoral: advanced upper-urinary tract urothelial carcinoma, pembrolizumab, diffusion-weighted whole-body magnetic resonance imaging
with multimodal therapy, including pembrolizumab and radiotherapy,
under the surveillance of diffusion-weighted whole-body magnetic resonance imaging
Hitomi Mizuta, Hideki Takeshita*, Kai Suzuki, Kojiro Tachibana, Makoto Kagawa, Hironori Sugiyama,
Takayuki Nakayama, Akihiro Yano, Yohei Okada, Makoto Morozumi, Satoru Kawakami
Department of Urology, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
J Saitama Medical University 2022; 48(2): 79 - 84
(Received April 15, 2021/Accepted October 1, 2021)
Keywordsoral: advanced upper-urinary tract urothelial carcinoma, pembrolizumab, diffusion-weighted whole-body magnetic resonance imaging
解説
P85-91 | 遠隔システムを用いたオンライン臨床研修指導医講習会の試み | 石橋敬一郎,他 |
解 説
遠隔システムを用いたオンライン臨床研修指導医講習会の試み
石橋 敬一郎1,2)*,側島 久典2,3),辻 美隆2,4),米岡 裕美2,5),木下 牧子6),
中島 宏昭7),村松 俊裕2,8),小山 政史2,9),魚住 尚紀2,10),小川 智也2,11),
黒崎 亮2,12),椎橋 実智男13),三村 俊英14,15),森 茂久1,2)
1)埼玉医科大学 医学部 医学教育学
2)埼玉医科大学 医学教育センター 医学部領域 FD 部門
3)埼玉医科大学 総合医療センター 小児科
4)埼玉医科大学 保健医療学部 共通教育部門
5)埼玉医科大学 医学部 教養教育
6)医療法人愛の会 光風園病院
7)昭和大学 医学部
8)埼玉医科大学 国際医療センター 心臓内科
9)埼玉医科大学 国際医療センター 泌尿器科
10)埼玉医科大学 医学部 生化学
11)埼玉医科大学 総合医療センター 腎・高血圧内科
12)埼玉医科大学 国際医療センター 婦人科(婦人科腫瘍科)
13)埼玉医科大学 情報技術支援推進センター
14)埼玉医科大学病院群臨床研修センター
15)埼玉医科大学病院 リウマチ膠原病科
〔令和3年8月16日受付〕
SARS-CoV-2感染拡大に伴い,各地で臨床研修指導医講習会が中止となっている.本学ではZoomを用いたオンライン医学教育ワークショップや,学生に対する遠隔実習の経験を踏まえて,臨床研修センター,ITセンター,医学教育センターFD部門で協力してオンライン臨床研修指導医講習会を開催した.オンラインでもワークショップ形式を用いた2日間の講習会が遂行でき,講習会の目的が達成できた.1つの大学で研修医教育の問題点が共有できる中での講習会であったことも,オンラインでの意見交換が徐々に円滑になった一因と考えられる.感染対策が取れること,場の安心感や気兼ねなく自分の話ができる環境であること,運営主催者がすべてのプロダクトの作成過程を容易に確認できる点については従来の対面の方式では実現できなかった利点であった.SARS-CoV-2感染の終息次第であるが,今後もオンラインで行う必要がある場合にはさらに改善して行いたいと考える.
遠隔システムを用いたオンライン臨床研修指導医講習会の試み
石橋 敬一郎1,2)*,側島 久典2,3),辻 美隆2,4),米岡 裕美2,5),木下 牧子6),
中島 宏昭7),村松 俊裕2,8),小山 政史2,9),魚住 尚紀2,10),小川 智也2,11),
黒崎 亮2,12),椎橋 実智男13),三村 俊英14,15),森 茂久1,2)
1)埼玉医科大学 医学部 医学教育学
2)埼玉医科大学 医学教育センター 医学部領域 FD 部門
3)埼玉医科大学 総合医療センター 小児科
4)埼玉医科大学 保健医療学部 共通教育部門
5)埼玉医科大学 医学部 教養教育
6)医療法人愛の会 光風園病院
7)昭和大学 医学部
8)埼玉医科大学 国際医療センター 心臓内科
9)埼玉医科大学 国際医療センター 泌尿器科
10)埼玉医科大学 医学部 生化学
11)埼玉医科大学 総合医療センター 腎・高血圧内科
12)埼玉医科大学 国際医療センター 婦人科(婦人科腫瘍科)
13)埼玉医科大学 情報技術支援推進センター
14)埼玉医科大学病院群臨床研修センター
15)埼玉医科大学病院 リウマチ膠原病科
〔令和3年8月16日受付〕
SARS-CoV-2感染拡大に伴い,各地で臨床研修指導医講習会が中止となっている.本学ではZoomを用いたオンライン医学教育ワークショップや,学生に対する遠隔実習の経験を踏まえて,臨床研修センター,ITセンター,医学教育センターFD部門で協力してオンライン臨床研修指導医講習会を開催した.オンラインでもワークショップ形式を用いた2日間の講習会が遂行でき,講習会の目的が達成できた.1つの大学で研修医教育の問題点が共有できる中での講習会であったことも,オンラインでの意見交換が徐々に円滑になった一因と考えられる.感染対策が取れること,場の安心感や気兼ねなく自分の話ができる環境であること,運営主催者がすべてのプロダクトの作成過程を容易に確認できる点については従来の対面の方式では実現できなかった利点であった.SARS-CoV-2感染の終息次第であるが,今後もオンラインで行う必要がある場合にはさらに改善して行いたいと考える.
Online workshop for medical instructors responsible for clinical training of
medical practitioners using a remote system
Keiichiro Ishibashi1,2) *, Hisanori Sobajima2,3), Yoshitaka Tsuji2,4), Yumi Yoneoka2,5), Makiko Kinoshita6),
Hiroaki Nakajima7), Toshihiro Muramatsu2,8), Masafumi Oyama2,9), Naonori Uozumi2,10), Tomonari Ogawa2,11),
Akira Kurosaki2,12), Michio Shiibashi13), Toshihide Mimura14,15), Shigehisa Mori1,2)
1) Department of Medical Education, Faculty of Medicine, Saitama Medical University
2) Division of Faculty Development, Medical Education Center, Saitama Medical University
3) Department of Pediatrics, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
4) Division of General Education, Faculty of Health and Medical Care, Saitama Medical University
5) Department of Liberal Arts, Faculty of Medicine, Saitama Medical University
6) Kofuen Hospital
7) Showa University, School of Medicine
8) Department of Cardiovascular Medicine, Saitama Medical University International Medical Center
9) Department of Urology, Saitama Medical University International Medical Center
10) Department of Biochemistry, Faculty of Medicine, Saitama Medical University
11) Department of Nephrology and Hypertension, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
12) Department of Obstetrics and Gynecology (Gynecologic Oncology), Saitama Medical University International Medical Center
13) Information Technology Center, Saitama Medical University
14) Integrated Center for Postgraduate Medical Education, Saitama Medical University
15) Department of Rheumatology and Applied Immunology, Saitama University Hospital
J Saitama Medical University 2022; 48(2): 85 -91
(Received August 16, 2021)
Keywordsoral: medical instructors responsible for clinical training of medical practitioners, remote system, workshop-format
medical practitioners using a remote system
Keiichiro Ishibashi1,2) *, Hisanori Sobajima2,3), Yoshitaka Tsuji2,4), Yumi Yoneoka2,5), Makiko Kinoshita6),
Hiroaki Nakajima7), Toshihiro Muramatsu2,8), Masafumi Oyama2,9), Naonori Uozumi2,10), Tomonari Ogawa2,11),
Akira Kurosaki2,12), Michio Shiibashi13), Toshihide Mimura14,15), Shigehisa Mori1,2)
1) Department of Medical Education, Faculty of Medicine, Saitama Medical University
2) Division of Faculty Development, Medical Education Center, Saitama Medical University
3) Department of Pediatrics, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
4) Division of General Education, Faculty of Health and Medical Care, Saitama Medical University
5) Department of Liberal Arts, Faculty of Medicine, Saitama Medical University
6) Kofuen Hospital
7) Showa University, School of Medicine
8) Department of Cardiovascular Medicine, Saitama Medical University International Medical Center
9) Department of Urology, Saitama Medical University International Medical Center
10) Department of Biochemistry, Faculty of Medicine, Saitama Medical University
11) Department of Nephrology and Hypertension, Saitama Medical Center, Saitama Medical University
12) Department of Obstetrics and Gynecology (Gynecologic Oncology), Saitama Medical University International Medical Center
13) Information Technology Center, Saitama Medical University
14) Integrated Center for Postgraduate Medical Education, Saitama Medical University
15) Department of Rheumatology and Applied Immunology, Saitama University Hospital
J Saitama Medical University 2022; 48(2): 85 -91
(Received August 16, 2021)
Keywordsoral: medical instructors responsible for clinical training of medical practitioners, remote system, workshop-format
「研究の日」報告
P93 | 第2回「オール埼玉医大 研究の日」開催報告 | 村上 孝 | |
P94-95 | 第2回「オール埼玉医大 研究の日」プログラム | ||
P96-97 | 「研究の日」特別講演
主要組織適合遺伝子複合体クラスI の機能欠損によるドーパミン系異常と精神疾患様行動 |
村上 元 | |
P98-101 | 生活習慣を通じた疾病予防,健康寿命延伸,そして生きがいの醸成
~健康施策の枠組みとヘルスリテラシーの活用~ |
廣岡 伸隆 | |
P102-103 | 聴講した学生からの感想 | 榎澤もゆる,他 | |
一括 | 「研究の日」報告PDF |
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