高度救命救急センター部門

高度救命センター部門の紹介

 当院には、高度救命救急センターがあり、ドクターヘリを運用しながら、全県域から重症疾患患者を集約する外傷センター機能と3次救急医療の充実に努めています。
 リハビリテーション部では、2021年4月より救命センター部門を新設しました。診療チームには、理学療法士(PT)7名・作業療法士(OT)4名・言語聴覚士(ST)1名が在籍しています。主に外傷疾患を中心とした集中治療室(救命ICU)、内因性疾患の集中治療室(GICU)、外傷疾患の準集中治療室(HCU)、救急科の一般病床を担当しています。救命科では四肢・脊椎・骨盤骨折・頭部外傷・胸腹部外傷などの重症多発外傷や脊髄損傷の患者さんへのリハビリテーションを実施しています。GICUでは脳卒中や外科術後などの患者さんへの疾患別リハビリテーションの実施や早期離床・リハビリテーション加算を算定しています。
私たちは、集中治療室に在室中からリハビリテーションを開始し、医師や看護師などの他職種と協働しながら、早期離床・ADLの改善に努め、PT・OT・ST が一丸となって、安全で質の高い超急性期リハビリテーションの提供を目指しています。


















脊髄損傷のリハビリテーション

 脊髄損傷の方のリハビリテーション処方件数(2021年度)は1629件で、多くの症例で術後翌日からリハビリテーションを開始しています。脊髄損傷の麻痺の重症度に応じて、急性期の合併症予防や運動麻痺の改善を目的とした運動療法を積極的に実施しています。理学療法士は、歩行再建に向けて、免荷式トレッドミル歩行トレーニング(Body Weight Support Treadmill Training:BWSTT)にも取り組んでいます。作業療法士は、自助具の調整や上肢機能練習を行い、食事や整容、電子機器の環境調整・操作練習などの日常生活動作の練習を進めています。言語聴覚士は、気管切開を置いている方のコミュニケーション支援を行っています。また、耳鼻咽喉科医師の協力のもとベッドサイドで嚥下内視鏡検査を行い、早期から経口摂取確立を目指した嚥下訓練を実施しています。


















頭部外傷のリハビリテーション

 頭部外傷の方(急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、びまん性軸索損傷など)についても、EICU入室中からリハビリテーションを開始しています。意識障害、運動障害(運動麻痺や嚥下障害、構音障害、失調症など)、高次脳機能障害などに対して、PT・OT・S Tが連携しながら診療を行っています。復職や復学、地域のコミュニティへの復帰など社会参加に繋げるための支援も行っています。
















四肢外傷のリハビリテーション

 四肢・骨盤骨折、胸部外傷、腹部外傷、これらを含んだ多発外傷の方についても、EICU入室中からリハビリテーションを開始します。重症度は、Injury Severity Score(ISS)で16以上の重症外傷入院症例が多いことが特徴です。治療内容に応じて、安静度や運動療法の指示を主治医と密に連携しながら、適切なリスク管理のもと、早期にリハビリテーションを開始しています。主に理学療法士が担当することが多く、骨折に伴う関節機能の改善や荷重制限下での松葉杖歩行・ADL練習を実施しています。作業療法士は、特に手外科疾患に対して入院中のスプリントの作成や外来リハビリテーションでの手指機能練習を行なっています。















GICUでのリハビリテーション

 GICUでは、専任の理学療法士を配置して業務を遂行しています。麻酔科医や各診療科の主治医、看護師、薬剤師、管理栄養士と毎日カンファレンスなどを実施し、病態や治療内容に応じた離床計画や運動療法の内容について検討しながら診療を行っています。また、医師・看護師と早期離床・リハビリテーションチームを形成し、早期離床・リハビリテーション加算の算定も行い、より早期から身体機能の改善や合併症の予防に取り組んでいます。




















その他:多職種連携

 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、救命科医師や看護師、退院支援室、医療福祉相談員、管理栄養士などと定期的にカンファレンスを行い、治療方針やリハビリテーションの進捗状況、病棟での生活状況などを共有しています。安全で質の高いリハビリテーションの提供や病棟連携、適切な退院支援を様々な職種で協力して目指しています。