埼玉医科大学総合医療センター薬剤部

セントラル業務説明

調剤室

医師の発行した処方箋に基づき、患者さんのお薬を調製(調剤)する部署です。

■外来を受診される患者さんへ

1) お薬のお渡しについて
準備が整いましたら薬剤部『お薬お渡し口』の上のプラズマディスプレイにお薬引き換え番号を表示いたしますので、窓口に引換券を提出し、お薬を受け取りください。


2) 注意事項
お薬の一包化(一回量包装調剤)、錠剤の粉砕、軟膏剤の混合等を必要とされる患者さんのお薬の調剤には時間がかかることがあります。手帳シールの希望、お薬について詳しい説明を希望される方には「お薬説明コーナー(薬剤部時間外窓口)」にて説明をいたしますので、薬剤師にお尋ねください。


■私たち薬剤部員の安全・安心な調剤への取り組み

調剤過誤撲滅のためのPDA※の利用
医薬品の梱包や包装にあるバーコードと処方データとの照合により、正確な取り揃えを実現しています。
※PDA = Personal Digital Assistant

作業空間の5Sの推進
5Sとは整理・整頓・清潔・清掃・躾(しつけ)です。効率的で効果的な業務が行うことができるよう日々、調剤室内の環境作りを行っています。

患者さんのお薬待ち時間を短くする努力
処方箋調剤の進捗状況をモニター等で把握することにより待ち時間の短縮を心掛けています。

患者さんとのお薬交付時の協働確認
当院では病院全体でチーム医療を実現し、医療安全に取り組んでいます。患者さんもチーム医療の一員であり、最終確認者です。一緒にお薬交付内容の確認のご協力をお願いします。

薬薬連携の強化
薬薬連携とは、病院薬局と保険薬局との連携のことです。院外処方箋の普及により、地域の保険薬局との連携を強化しており、定期的な情報交換や勉強会を行っており日々の疑問や問題解決に取り組んでいます。

明るい職場つくりと薬剤師としての資質の向上
安心・安全なお薬を提供するために明るく働きやすい環境作りと、研究や勉強に努めています。


製剤室

主として院内製剤の調製業務を行っています。

■≪院内製剤≫とは

≪院内製剤≫とは
患者さんの病態やニーズに対応する必要な医薬品が様々な理由で市販されていないため、薬剤師が医師の求めに応じて院内で独自に調製している製剤になります。薬局製剤とは異なり、病院の院内製剤は処方内容等に関する制約はなく届け出も不要となっています。それは院内製剤が調剤の一部であるとの認識によるものであり、そのため院内製剤は医薬品医療機器等法上の医薬品ではなく、販売や譲渡は認められていません。

当薬剤部では院内製剤を日本病院薬剤師会「院内製剤の調製及び使用に関する指針」を参考にし、以下の3つに分類しています。

クラス 概要
クラスⅠ ●医薬品を原料とし、承認範囲外で使用かつ身体へ侵襲性が大きいもの
●試薬等を原料とし、治療診断目的で使用するもの
クラスⅡ ●医薬品を原料とし、承認範囲外で使用かつ身体へ侵襲性が小さいもの
●試薬等を原料とし、治療診断目的ではないもの
クラスⅢ ●医薬品を承認範囲内にて使用するもの
●人へ使用しないもの  

院内製剤の使用にあたっては、病院内で科学的・倫理的妥当性を十分に吟味し、特にクラスⅠ、Ⅱ(一部除く)の院内製剤に関しては実際に使用される前に患者さんへ有効性および安全性を十分に説明・同意を得た上で使用されます。


TDM室

治療薬剤の血中濃度の測定と評価を行うことにより、薬物療法の有効性と安全性の確保に尽力しています。また、薬毒物中毒の起因物質の分析を行っています。

■TDM業務

TDM業務とは
医薬品を添付文書記載の用法・用量通りに投与すると、一部の患者さんでは十分な治療効果が得られない一方で、効果が強く現れ、副作用を発現する患者さんもいます。これらは薬物の体内での動き(体内動態;吸収、分布、代謝、排泄)や薬物に対する感受性に個人差があり、規定の用法・用量では最適な薬物治療のできない場合があります。
そこで治療効果や副作用に関する様々な因子(症状、薬物血中濃度や臨床検査値など)をモニターし、患者さん一人一人に合わせた最適な薬物治療を支援することをTDM(Therapeutic Drug Monitoring)といいます。

TDMの必要性
TDMのなかでも薬物の効果や副作用の発現と、血液中の薬物量(薬物血中濃度)に相関関係のある薬物に関して、薬物血中濃度をモニタリングしながら投与量の調節を行っています。特に至適濃度と副作用発現濃度が近接しているため投与量の調節が困難な薬物については、薬物血中濃度を測定し、投与量・用法を調節し、効果を最大限に発揮し、副作用を発現することなく、患者ごとに最適な薬物治療の実施が必要とされます。
また診療報酬として、薬物血中濃度を測定し、その結果に基づき投与量を精密に管理した場合、「特定薬剤治療管理料」の算定が認められています。

当院において
18品目は薬剤部内にて測定可能で、うち9品目の投与設計を行っています。年間約6000件の測定し、年間約600件の投与設計をしてます。(平成27年7月現在)
また、2014年6月より医師と事前に協議したプロトコルに基づく薬物治療管理(Protocol-Based Pharmacotherapy Management:PBPM)として薬剤師が抗菌薬の血中濃度測定オーダを発行し、測定、薬物投与計画提案を実施して、シームレスで質の高い治療支援を目指しています。


■中毒起因物質分析業務(高度救命救急センター支援)

当薬剤部では昭和61年の救命救急センター開設当初から、薬毒物中毒により搬入される患者の中毒起因物質に関する情報提供や、起因物質の分析により救命救急医療に貢献してきました。平成11年3月に高度救命救急センターに昇格した際に、和歌山ヒ素カレー事件やサリン事件に代表される薬物・毒物による事件が多発したことを受け、毒劇物等解析機器整備事業により各種分析機器が配備された結果、更に詳細な中毒起因物質の分析が可能となりました。精神神経系用薬や農薬、ヒ素化合物やシアンなどの工業用薬品も検出可能で、これら中毒起因物質を定性・定量分析し、救命救急医療に有用な情報を提供しています。
現在、3名の薬剤師がこれら分析業務を担当し、24時間対処可能な体制(当直、日直時間帯は電話による呼び出しにより出勤)を取っています。


医薬品管理室

医薬品管理室では、主に以下の3点を行っています。

  1. 医薬品の購入、供給、品質管理
  2. 注射薬処方箋による注射薬個人別セット
  3. 抗悪性腫瘍薬使用届けの点検と保管・管理

■業務内容

1)医薬品の購入、供給、品質管理
当院採用医薬品数は約1700品目あり、その全ての購入、供給および品質の管理を行っています。薬剤部倉庫内の全医薬品在庫数量および発注数量はコンピュータで管理しており、適正在庫数を確保しつつ、薬剤部在庫数を最小に抑えるよう日々努め、定期的に棚卸しを行い、医薬品の在庫数量、使用期限を厳しくチェックしています。また、病棟・外来・中央診療部門へ供給した医薬品についても保管・管理状況が適切か否か、6ヶ月に一度定期的に点検を行い、適切でない場合は各部署への指導を行っています。 さらに、当院は災害拠点病院に指定されているため、大規模災害時に対応できるよう災害用医薬品を管理しています。

2) 注射薬個人別セット
全病棟入院患者の注射薬は、注射薬指示処方箋に基づき毎日翌日分を患者個人別にセットし、各病棟へ交付します。注射薬・輸液を取り揃える際は、投与量、手技、配合変化、投与速度等をチェックし、疑義がある場合は医師へ問い合わせをします。

3) 抗悪性腫瘍薬使用届
全病棟、外来にて抗悪性腫瘍薬(注射薬)を使用する際は、事前に抗悪性腫瘍薬使用届を患者同意書と共に薬剤部へ提出することになっています。提出された使用届の内容は、当院の登録レジメンを基にチェックを行い、疑義がある場合は医師へ問い合わせをします。抗悪性腫瘍薬は、使用届の監査終了後、注射薬指示処方箋に基づき使用届の内容と照らし合わせ、投与量、手技、投与速度、休薬期間等、問題がないことを確認してから患者個人別に取り揃えます。

以上が主な医薬品管理室での業務ですが、仕事をするにあたって日々の勉強と知識向上は欠かすことはできません。病院薬剤師として有意義に働くことのできる、やりがいのある部署です。


医薬品情報(DI)室

医薬品情報室では「医薬品に関する様々な情報の中から、良質かつ適正な薬物療法を推進するための情報を医師、薬剤師、看護師、その他の医療従事者に対して提供し、医療の向上と効率化に寄与すること、またこれら業務の遂行に対し、迅速かつ適切に対応できるよう、情報の収集、整理、保管および加工とその専門的評価に努めること」を目的とし、薬剤師3名にて以下の業務を主に行っています。

  1. 医薬品に関する情報の収集、評価、加工、整理、保管
  2. 医師、薬剤師、看護師、その他の医療従事者からの質疑応答による医薬品適正使用の支援
  3. 患者さん向け医薬品情報提供書「お薬の説明書」の作成
  4. 薬事委員会等の資料作成
  5. 当院の薬剤部ホームページ(内部向け)による医師、薬剤師、看護師、その他の医療従事者への情報提供(院内採用医薬品一覧、薬事委員会議事録、新規採用医薬品一覧、採用削除医薬品一覧、医薬品・医療機器等安全性情報、緊急安全性情報(ドクターレター)など)

医薬品情報室は薬剤部の窓口としての役割も担っており、製薬会社のMR(医薬情報担当者)等からさまざまな情報がもたらされます。

■例えば

添付文書の改訂、効能・効果追加、包装仕様変更、医薬品の回収、製造・販売中止、供給不安定あるいは一時停止、医薬品コード変更、新薬の発売、講演会の案内、・・・・
これらの情報を選別・整理し、適切な部署へ正確にわかりやすく伝えなければなりません。時には緊急に伝達しなければならない場合もあります。

■「病棟薬剤業務実施加算」の算定要件として

2010(平成22)年には「医薬品安全性情報等管理体制加算(入院中1回に限り50点)」が新設され、医薬品情報室が医薬品の安全性情報を収集し、その重要度に応じて速やかに必要な措置を講じる体制が評価されました。
この加算は、2012(平成24)年に新設された「病棟薬剤業務実施加算」の算定要件として引き継がれており、医薬品情報室の活動は病棟業務を行う上でも必要不可欠なものとなっています。

今後も、より積極的な医薬品に関する情報提供活動により当院の適正な薬物療法を支援できるよう、薬剤師のスキルアップを計りたいと考えています。


麻薬管理室

現在、日本人の死因の第1位はがんであり、がんに伴う疼痛により患者さんの日常生活が著しく阻害され、Quality of Life(生活の質:QOL)の低下が大きな問題となっています。疼痛緩和医療では、麻薬による薬物療法が重要な位置を占めています。

1)わが国の麻薬施用量

1989年にわが国ではモルヒネ硫酸塩水和物徐放錠(MSコンチン®錠)が発売され、モルヒネ製剤を中心とした麻薬の施用量は年々増加傾向にあります。しかし、アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリスなどの先進諸国と比較すると麻薬施用量は最下位であり、わが国における疼痛緩和医療の普及は十分とはいえません。

2)当院採用の麻薬の種類

当院では、注射薬8品目および内服・外用薬27品目の合計35品目の麻薬が採用されており(平成27年7月現在)、「麻薬及び向精神薬取締法」に基づいた麻薬の管理をしています。癌性疼痛の緩和に使用される医薬品としてはモルヒネと並んで3大強オピオイドと称されるオキシコドンおよびフェンタニルがあり、当院ではそれぞれオキシコンチン®錠、オキノーム®散、オキファスト®注、デュロテップ®MTパッチ、フェントス®テープおよびフェンタニル®注射液が採用されています。

3)疼痛緩和医療について

現状ではモルヒネ製剤を中心とした疼痛緩和が行われています。モルヒネ製剤には内服薬の他にも坐薬や注射薬なども存在し、患者さんの状態に合わせた薬剤を選択することが可能です。また副作用回避の目的や患者さんにとって疼痛が軽減でき、QOLの向上を図れるように、モルヒネ以外の麻薬に変更することによる疼痛緩和医療の推進も重要であると考えられています。


治験管理室

当院は、治験薬管理業務と治験事務業務の両面で治験を支援管理しています。

1)治験薬管理

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(GCP)では、治験薬を保管・管理するために治験薬管理者を定めることが規定されており、当院では薬剤部長が指名されています。治験薬は原則として薬剤部で管理されており、その実務は薬剤師1名が担当しています。業務内容は、治験依頼者(製薬会社など)から提供された治験薬の受入、保管、被験者から返却された治験薬の確認、治験依頼者への治験薬返却や保管温度管理などがあります。また、治験薬の交付は電子カルテのオーダリングシステムにも対応しており、薬剤部員全員が携わっています。治験薬は、被験者毎にプラセボや実薬など薬剤が異なっている場合や、他の薬剤(同効薬など)の併用が禁止されている場合があり、交付には注意が必要です。

2)治験事務

治験事務は治験審査委員会事務室も兼ねて臨床研究支援センターが担っています。当院の治験審査委員会(IRB)は毎月1回、年10回開催されています。IRBで審査対象となるのは、医薬品および医療機器の治験(第Ⅰ相~第Ⅲ相)、製造販売後調査、製造販売後臨床試験ならびに臨床性能試験です。臨床研究支援センターは、治験などの申請の受付、審査のための資料収集・作成、IRB開催および議事要旨の作成、契約の締結手続き、治験依頼者や治験責任医師との様々な文書や報告のやり取りなどに関する業務を担当しています。臨床研究支援センターは、治験業務の効率化と質の向上を目標として治験審査委員会のIT化にも取り組んでおり、IRBではタブレット端末を利用しています。


埼玉医科大学

総合医療センター

薬剤部

〒350-8550 埼玉県川越市鴨田1981



日勤帯 8:30〜17:30
当直帯 17:30〜8:30
当直帯/日曜祝日は調剤室2名体制


※院外処方箋に関するお問合せは原則各診療科か院外薬局へお願いします。

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