地域基盤型IPE

地域基盤型専門職連携実践

平成24年度文部科学省大学間連携共同教育推進事業
「彩の国地域住民の暮らしを支える連携力の高い専門職育成」

埼玉県内の保健医療福祉専門職を養成する埼玉県立大学、埼玉医科大学、城西大学に加え、生活環境デザインコースを持つ日本工業大学が加わり、 来たるべき高齢社会の住民の暮らしを支えることのできるような視点を養い、連携できる専門職を育成することを目的に平成24年度から平成28年度まで 専門職連携教育(Interprofessional Education:IPE)に取り組み、彩の国連携科目を構築しました。この事業の事後評価については、最高位の評価を得ることができました。
(日本学術振興会へのリンク地域連携―整理番号18)
文部科学省のプロジェクトは終了しましたが平成29年度以降も継続してプロジェクトが進められるよう、4大学および埼玉県による「協定書」を締結して、学部学生の地域基盤型専門職連携教育と県内職能団体との意見交換会やワークショップ研修会などを企画し、県内の連携力育成・推進を目指した取り組みを行っています。

専門職連携教育(Interprofessional Education)

英国のCAIPEの定義 (Center of Advanced InterprofessionalEducation:専門職連携教育推進センター)
「複数の領域の専門職者が連携およびケアの質を改善するために、同じ場所で共に学び、
お互いから学び合いながら、お互いのことを学ぶこと(CAIPE 2002)」
多くの専門職種が連携するためには、患者を中心にそのケアの質の向上を目指して、目的を共有すること、お互いを尊重し対等な人間関係を構築することが求められています。
 
本学では埼玉県立大学が平成19年度から4年生全学科必修科目として実施してきた埼玉県内約80施設において展開される地域を基盤とした専門職連携教育(IP演習:現在はIPW実習)に参加し、看護学科、理学療法学科、作業療法学科、社会福祉学科、健康行動開発学科(歯科衛生士、臨床検査技師、養護教諭、体育教諭等々)の学生と連携し、患者・利用者の個別の支援計画を作成することを通してチーム形成、多職種の理解のプロセスを体験し、自らの専門性について考える実習をおこなっています。
また、彩の国連携力育成プロジェクトを通して構築した緩和ケアIPW演習でシナリオを用いて末期癌の模擬患者さんからインタビューを行い支援計画を検討するIPW演習も行っています。

埼玉県立大学のIPW実習の目標

埼玉県立大学のIP演習の目標

埼玉県立大学のIPW実習のチーム構成

埼玉県立大学のIPW実習のチーム構成

医学教育におけるIPE

医学部卒前教育におけるIPE導入への期待

IPW実習参加の医学生においては、専門職連携の重要性を理解し、意欲の向上・日常生活の振り返りが行われることが明らかになりました。また、実習を通して病気ばかりではなく人を診ることの重要性や、退院後の生活まで含めて患者であるということを再認識し、地域医療に関する意識が高まりました。医学教育モデル・コア・カリキュラム令和4年度版で新たに採用された資質能力である「GE総合的に患者生活者をみる姿勢」を身につけるための教育に、先んじて取り組んで来ました。地域の現場で学ぶことで、学生の意欲の向上を引き出すことができ、『他学部・他領域の視点が学べるIPW実習は続けたほうがよい。』『患者さんと向き合える良い実習だと思う。』『後輩にも参加してほしい。』など、学生からも高い評価を得られています。令和4年度からは、医学部保健医療学部4学科の3年生全員が参加し、合同IPEをスタートしました。ヒヤリハット事例を用いたRCA演習と高齢女性の暮らしを支える支援計画を立案する演習を少人数のグループで取り組みます。
地域医療に貢献できる医療人を育てるための教育の取り組みとして、今後さらに、地域との連携を深め、IPW実習の質の向上を図り、自ら問題解決に取り組む学生の教育を目指しています。

保健医療福祉介護教育等の専門職、施設との連携

地域の連携力の育成推進を目指して、彩の国連携力育成プロジェクト(SAIPE)と埼玉県内職能団体(医師会、栄養士会、介護支援専門員協会、看護協会、公認心理師協会、歯科医師会、社会福祉士会、理学療法士会、薬剤師会)が連携し(Sai_UPPs:彩の国University,Prefecture,Professionals)年に2回意見交換会を実施し、連携の課題を共有しています。連携協働しながら取り組む企画(IPWカフェ、キャラ化・あるあるワークショップ、連携の現場取材、連携できる人ってどんな人?を考えるワークショップなど)を立ち上げ、取り組んでいます。