教 育

    • 生理学

       生理学は、人体のはたらき(機能)とその調節を取り扱う学問です。ヒトの体は、臓器などのさまざまなシステムが全体として調和することで、個体としての活動をつくりあげています。
      この複雑な全体像をとらえるための大きな柱となるのは、
      (1)分子レベルから個体レベルまでの知識修得と理解、と、
      (2)各システム相互の関係の理解、です。
       生理学教育においては、臓器などのはたらきの理解だけではなく、ホルモンや神経系によって行われる調節を理解させることが大切です。このためには、正常 な体のはたらきを、日常の体の状態や変化(走ると心臓がドキドキして息が切れるなど)に当てはめることが役立ちます。また、自分や周囲の人の体調が悪いと きや病気のときに体でどの様なはたらきや調節がうまくはたらいていないかを考えることも役立ちます。講義では解説だけではなくこのように考えることも触発 したいと思います。

    • 医学部教育

      埼玉医科大学の期待する医療人像」を実現するために、以下の3つの領域を重視した教育をおこなっています。

      統合的な理解
       雑多な知識の詰め込みにならないように、ヒトの全体像の理解をめざしています。
      埼玉医科大学医学部では6年一貫統合カリキュラムで教育をおこなっており、生理学教室が担当するのは、2年生の「人体の構造と機能2コース」「細胞生物学2」「選択必修(医学基礎実験、情報科学、科学英語)」などです。

      人体の構造と機能2コース 構成ユニット 
      エネルギー系 機能系実習
      情報系 構造系実習
      調節系  

      統合カリキュラムのもとでは、生理学は「人体の構造と機能2コース」などの2年生の教育に限られません。そのため、新入生の導入教育から病態生理の理解まで、いろいろな科目群を分担・担当しています。

       1年生:
        医科学への道すじコース
        細胞生物学1コース
        人体の構造と機能1コース
       1~4年生
        医学概論
        臨床推論

      問題解決の探求:リサーチ・マインドの涵養
       将来、医療の現場で新たな問題に遭遇するとき、問題を抽出し、学んだ知識を生かし、その解決に向けて探求することができる。そういう「リサーチ・マイン ド」を育てることも私たちの目標です。そのために、以下の「夏期休暇中の学生受入プログラム」「通年研究プログラム」「春期休暇研究プログラム」(総略称 課外プロ) を実施しています。
      パッチクランプ法 ~1つの神経細胞から神経活動を記録する~  生理学 連絡先
      マウスの網膜スライス標本中の神経細胞にパッチクランプ法を適用し、活動電位や活動電位を形成している電流成分を観察する。
      フグ毒(テトロドトキシン)や興奮性伝達物質(グルタミン酸)が、活動電位の発生パターンに及ぼす影響を観察する。
      田丸文信

      tamalu(at)saitama-med.ac.jp

      049-276-1152

      41-2083

       1~2日間/回 最大3人(1人/回)
      網膜神経細胞の個性を分子レベルで見てみよう  生理学 連絡先
      時計遺伝子Bmal1プロモーターにホタル由来の光る遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子)を繋いだレポーター遺伝子を一般的な培養細胞に人工 的に入れて、光る量の変動から時計遺伝子の活動性が24時間周期で変動しいることを調べて、細胞レベルで24時間のリズムがあることを確かめます。また、 これと同じレポーター遺伝子を人工的に導入したトランスジェニックマウスを用いて、肝臓や心臓などの臓器レベルでも、24時間のリズムがあることを確認し ます。 池田正明
      熊谷恵

      mikeda(at)saitama-med.ac.jp

      049-276-1149
      042-984-4441

      41-2079
      42-2506

      生理学(毛呂山)およびゲノム医学研究センター(日高)で実施する。

      体内時計のリズムを強化する因子を探す  生理学 連絡先
      時計遺伝子の発現は24時間周期で変動するが、老化によって振幅が低下したり、癌細胞ではリズムが見られなくなったりする現象がありま す。時計遺伝子のリズム変動が低下したり無くなる原因は何だろうか、またそれを回復する手だてはあるのか、さらには、リズムを強化する因子はあるのか。こ のような生体リズムの根本的な課題に取り組みます。実験を行ってデータを出し、学会・論文発表をめざします。 池田正明
      熊谷恵

      mikeda(at)saitama-med.ac.jp

      049-276-1149
      042-984-4441

      41-2079
      42-2506

      2-3人

      生理学(毛呂山)およびゲノム医学研究センター(日高)で実施する。

      文献から視覚情報処理を知ろう  生理学 連絡先
       視覚情報処理(形態認識、色覚等)に関する文献(書籍、総説、論文等)を参加者が輪読し、担当者が解説をする。 渡辺修一

      siwata(at)saitama-med.ac.jp

      049-276-1151

      41-2082

      制限無し
      『最新の医学研究』に参加しながら、同時に『科学英語力』も鍛える!  生理学 連絡先
      本プログラムでは、電気穿孔法と言う迅速簡便に動物個体に遺伝子導入できる手法を利用し、疾患型遺伝子をマウス組織に導入すること で、疾患モデル動物を作製し病態解明や治療法の開発につながる研究を行い医科学研究の最先端に触れてもらう。意欲のある学生には学会発表論文発表を行って もらう。
      また、本プログラムでは、英語を『活用』して最新の科学を楽しく学ぶことも目的とする。
      但し、単に科学英語論文を読むだけでなく、「最新の科学ニュース」を英語で聞き、理解することで、科学英語に親しみながら最新の医科学の知見に触れてもらう。
      1 マウスに自由自在に遺伝子導入し、疾患モデル動物を作る
      2 英語で『最新科学』を楽しく学ぶ
      <連携する通年プログラム>
      微生物学・赤塚俊隆先生の英語で学ぶ最新医学

      <医学研究プロジェクトの例> 1)脳神経疾患プロジェクト。マウス胎児脳に子宮内電気穿孔法によって疾患型遺伝子やノックダウンベクターを導入し、生後0~16日まで発生させる。こ の遺伝子操作が、神経細胞の移動や機能分化に及ぼす影響を、様々な解析手法で調べ、精神神経疾患の理解につなげる。 2)) in vivo 電気穿孔法を用いた膀胱癌の遺伝子導入治療法の開発 正所性膀胱癌モデルマウスの膀胱癌組織に対して、in vivo電気穿孔法により被貪食作用や細胞死の抑制に働く細胞表面抗原分子の急性ノックダウンを行い、癌の進行における効果を解析する。 泌尿器科(堀永実講師、朝倉博孝教授)との共同研究 3) in vivo電気穿孔法を用いた眼咽頭筋ジストロ フィ発症機序の解明 稀少疾患眼咽頭筋ジストロフィ(OPMD)の原因遺伝子PABPN1の疾患変異型をマウス筋肉組織へin vivo 電気穿孔法により導入し、OPMDの疾患モデル動物を作出する。このモデルマウスを解析することで、この疾患の病理を分子レベルで理解し、将来的な治療法 の開発を目指す。 神経内科(荒木信夫 教授、溝井令一先生)、池田教授、熊谷助手との共同研究 *夏期又は、春期休暇中のみの短期間の参加者には、1)~3)の実験を見学し、希望者には一部の過程を体験してもらう。 **通年でのプログラム参加者には、是非とも『学会発表や論文発表を目標として』プロジェクトを担当してもらいたいと考えている。
      英語で科学を学ぶプログラムでは、月並みな「科学英語を学ぶ」ことは目指さない。英語は目的ではなくて、手段である。すなわち、本プログラムでは英語を活用して最新の科学 を楽しく学ぶことを目的とする。具体的には、単に科学英語を読むだけでなく、「最新の科学ニュース」を英語で聞き、理解することで、科学英語に親しみなが ら最新の医科学の知見に触れる。ゲーム性を持たせて皆で楽しく学ぶ予定であるが、もちろん教官がヒアリングのポイントや科学的な重要性の説明などを懇切丁 寧に行う。 ①サイエンス・ニュースを英語で聞き取る ②医科学の最新のDVD(closed caption 英語字幕付き)を視聴する。 ③英語論文抄読会Journal Club(連携プログラム参照)

      中尾啓子
      池田正明
      赤塚俊隆
      佐々木貴浩
      knakao(at)saitama-med.ac.jp
      mikeda(at)saitama-med.ac.jp
      akatsuka(at)saitama-med.ac.jp
      sasakit(at)saitama-med.ac.jp

      049-276-1150

      41-2080

       ①セミナーへの参加あるいは見学のみなら2日間からでも可能
      ②学会発表又は論文発表を目指す場合は、プロジェクトの内容により日数は応相談(多年度の実施も可能)  受け入れ人数の上限は、参加形態による


      ともに学び、考える:師弟同行
       私たちは、学生さんとともにあって、よい素材を提供し、よりよい学習の仕方を提示したいと考えます。そのために、質問、意見、要望などを常に受け入れる、開かれた教室をめざしています。

    • 大学院教育

       生理学教室では、おもに神経科学に関する基本的知識・概念とそれらの応用を指導し、広く医学研究の発展に寄与できる人材を育成することを目標にしています。
       講義においては、研究における論理,実験の計画・手技の実際,が分かり,興味が一層湧くようになることを目標とします。
       実際の研究指導においては、上記と共に,独立した研究者としての土台を築くことを目標とします。問題のヒント及びそれを探求する為の実験系を提供します が、実際に具体的な問題(テーマ)を決定し解決のための具体的実験計画を立案し、実施するのは大学院生自身です。それは、このような経験こそが将来医療の 場における問題解決の際に真に役立つと考えるからです。

      主な担当科目は以下の通りです。

       生理学特別演習1[博士]
       生理学特別実習1[博士]
        担当:池田正明、中尾啓子

       生理学特別演習2[博士]
       生理学特別実習2[博士]
        担当:渡辺修一、中平健祐、菅理江

      その他に以下の共通科目を担当しています。

      実用実験医学特別講義:パッチクランプ法[修士、博士]
        担当:渡辺修一
      生体・病態医科学特論 [修士]
        担当:渡辺修一
      脳科学特論:神経で働く分子から精神・神経疾患まで:[修士]
        担当:池田正明

      渡辺修一、池田正明